2015GPSアメリカ大会 女子シングル

この2015-16のフィギュアスケート女子シングルは、浅田真央の復帰ばかりに焦点が当てられがちですが、主役の座は渡さない!とばかりに、メキメキと力をつけているのが現全日本女王である宮原知子。
今季のグランプリシリーズ開幕戦となるアメリカ大会には、その彼女がエントリーしているので、本当に楽しみ。
昨季は世界選手権で銀メダルも獲得し、名実ともに世界のトップスケーターの仲間入りを果たした宮原さんが、その地位を不動のものにする、いやそれ以上の地位を狙うためにもぜひ好スタートを切って欲しいものです。
ただ、アメリカ大会の優勝候補は宮原さんではなく、地元のアイドル、グレイシー・ゴールド。
宮原さんはその対抗馬の一番手、そしてダークホースが昨季のジュニア女王、エフゲーニャ・メドベデワ(ロシア)といったところになるでしょう。
では、そんあアメリカ大会の簡単に振り返ってみたいと思います。

これがシニアデビューとなる中塩美悠さんは、SP冒頭の3T+3Tを力技で降りると、3Fはタイミングが合わずにややつんのめった着氷、それでもステップアウトしたりしなかったところに根性を感じます。
そして後半の2Aも慎重に降りて、これは上々のデビューになりそうだ、と思われたところの2つ目のスピンがバランスを崩すミス。股関節の怪我でスピンの練習が不足していたそうです。
それでもミスを引きずらず、ステップシークエンスでは体を大きく使ってマンボのエネルギーをよく表現できていましたし、全体の滑りもブレードが氷を正確に捉えていて基本技術の高さを見せてくれました。
緊張を自分なりに上手くコントロールしているところも素晴らしかったです。
SPは57.01(31.99・25.02)で8位。
FSでは始めの3Sからのコンボ予定がオーバーターンでシングルジャンプになり、次の3F+2Tは降りたものの、3Loで転倒という慌ただしい序盤戦。
怪我をおしてスピンを2つ回ってからの後半冒頭の3Sも着氷をミスしてしまい、演技崩壊の危機。
しかし、中塩さんというのは本当に根性のある選手で、そこからの2A+3T+2Tを降りると、次の2Aにもリカバリーで+3Tをつける果敢な攻め!これは惜しくもURになってしまったものの、その意気やよし!ですね。
ステップシークエンスの後も2Fに抜けるなど、本人も悔し涙のGPSデビューになっちゃいましたけど、この経験をいい糧にして欲しいものです。全日本を楽しみにしています。
FSは96.28(47.33・49.95・減点1)、合計153.29で11位。

いつの間にかシニアでのキャリアも長くなり、今大会では最年長となった今井遥さんは、SPで2A、3S+3Tと決めて勢いよく滑り出したものの、後半の3Fで崩れるような着氷になって大きくお手つき(UR)。
SPの『マラゲーニャ』は昨季からの持ち越しで、演技内容はまとまっていただけにこれは惜しかった。
SPは56.52(TES2918・PCS27.36)で9位。
巻き返したいFSでは2A+3T、3F+2T+2Lo、3Lz(ややエラーか)と立て続けに決めて、大いに期待が膨らむも、後半の2A+3Tが回転不足で詰まった着氷になると、そこから3Fで転倒、抜けた1Loとなっての大崩れ。
FSは2年前の『恋人達の夢』ということで、全体に落ち着いて丁寧に滑ることができていたものの、またしてももったない結果となってしまいました。SPとFSでまったく似たようなミスを繰り返しちゃいましたね…。
FSは102.13(50.54・52.59・-1)、合計158.65で10位。
演技後のインタビューでは「緊張しちゃって…」と若手選手のように顔を上気させて語る今井さん。
いつまでも変わらないところがこのひとの魅力であり、ちょっと残念なところですかね…。

ソチ五輪の花のひとりだったユリア・リプニツカヤも昨季は苦しいシーズンでしたけど、本人も「今季こそ!」という意気込みはあったと思うんです。
しかし、リンクに姿を見せた彼女は、我々の知っている彼女と比べると、明らかに体のサイズがアップしていました。
98年6月生まれの17歳ということで、いまがまさに体型変化の時期なのでしょう。
SPでは強引な感じの3T+3Tを決めてスタートするも、3Fでおっとっと、2Aは正確。
もともとジャンプに大きさがあるタイプではありませんが、さらに浮いている時間が短くなったような…。
キャメルスピンでは持ち前の柔軟性は見せるもバランスが悪く、ステップでは明らかに体が重く、動きがもっさり。
音は取れていますけど、切れがないので『エルビスメドレー』の華やかな雰囲気が出てきません。
また、演技を結ぶ代名詞のキャンドルスピンも、キャンドル状態が短く、回転に勢いがないのですから悲しくなってきました。
これはかなり難儀な状態です。
SPは62.24(30.84・31.40)で5位。
こうなるとFSをまとめ切れるのか誰もが心配になるなか、冒頭の3Fが回転不足でステップアウト、次が1Lzという目を覆いたくなる出だし、3Sは降りるも、3Fでまたしても着氷を乱してコンボになりません。
後半冒頭の2A+3Tは完璧に降りて意地を見せたのはさすがでしたけど、2A+2Tと3Tは明らかに勢いの足りないジャンプ。
時間が進めば進むほど疲れからかスケーティングスピードが落ちてきて、演技の面でも技術要素の面でも精彩を欠いてゆくのがわかります。
リプニツカヤ本人も演技終了後は涙を浮かべて呆然とした表情。
何か見てはならないものを見てしまった、という寂しい思いだけが残りました。
FSは108.39(47.48・60.91)、合計170.63で6位。
日本には”一時の花”という言葉がありますけど、そこを乗り越えて”まことの花”を咲かせるのが芸能者の生きる道です。
がんばれリプニツカヤ!

引き締まった表情と背中で堂々とリンクインしてきたときの風格、『ファイアーダンス』に合わせて大胆に滑り出したときの迫力、やはり今季の宮原知子は何かが違う。全日本女王という気高い地位が、彼女の潜在的な女王気質を引き出したのかもしれない!
冒頭の3Lzでややバランスを乱すとも、そこから力で+3Tに持って行くと、安定感抜群のスピン、エネルギッシュなステップ、動きの大きさ、スケートのスピードがプログラムのスケール感を醸し出します。
後半の3Fは詰まったようになるも、2Aはしっかり着氷、最後は得意の逆回転スピンでフィニッシュ!
演技の流れに一切の淀みがなく、燃え滾るような集中力を感じました。
トム・ディクソンの振り付けも宮原さんの新たな魅力を引き出していてとってもよかった。
これは宮原さんを代表するプログラムになるかも。
SPは65.12(33.14・31.98)で3位。
3FがUR判定で残念でしたけど、これならまだまだ優勝を狙えるスコア。ジャパンオープンで見せた『ため息』の演技ができれば逆転はある!
本人もおそらくそんな意気込みで入ったであろうFSでは、3Lz+2T+2Lo、3Loを鮮やかに決めると、ブレードが氷に吸い付くような美しいステップシークエンス、そしてSPで気になる3Fも気持ちで着氷(ややURか)。
コンビネーションスピンも丁寧に回って追い上げムードでしたけど、後半冒頭の3Lzでまさかの転倒、回転も足りていない感じでこれは本当に手痛い。
普通ならばこれで集中力が切れそうなものですが、鋼のメンタルを持つ宮原知子は2A+3Tをものの見事に決めると、ウォーレイからの3S、最後の2A+3Tもきっちり揃えた!
また、終盤もスタミナが一切落ちてこないので、コレオシークエンスも輝きますし、結びのレイバックスピンも鮮やかなもの。
全日本女王の名にふさわしい演技でした!
ただジャンプのミスもあってFSは122.95(60.05・63.90・減点1)とあまり伸びず、合計も188.07で3位。
悔しいですけど、修正箇所も明らかですし、次は絶対にもっといい演技をしてくれはずです。それが宮原知子ですからね!
それにしも今季の宮原さんの”進化”は本当に凄い。
体の使い方やスケーティングといった技術面でのレベルアップは明らかですし、演技の面でも「私を見て!」という表現者として必要不可欠な雰囲気が出てきたのもいいですね。
技術寄りだった彼女が”魅せるスケーター”としても評価されるシーズンになると断言しておきます!

昨季と違っていいオフが過ごせたのか、グレイシー・ゴールドは体もすっきり絞れて調子もよさそう。ジャパンオープンでも動きがよかったですよね。
SP『エル・チョクロ』では3L+3Tを鮮やかに決めると、調子のバロメーターともいえるスピンも十分なキレ、上半身を大きく柔らかく使う演技で会場のファンにアピールすると、SP首位を掴みとる後半3F!のはずでしたけど、これがあっさり2Fになるミス。フリップは苦手なのでループでいいと思うんですけど、回避してばかりいるとFSに響くということでしょうかねえ…。
しかし何食わぬ顔で2Aを着氷し、そのは華やかな顔立ちに負けないくらい気品あるステップシークエンス、軸のしっかりしたスピンでフィニッシュ。
教科書通りに演技しがちなゴールドも、今季はそこに自分なりの色が出てきたように思います。
SPは65.39(32.14・33.25)で2位。目を疑うような高得点。
いくら彼女のホームでも宮原さんより高いなんて悪い冗談です。フリップのところはまるまる点数がないんですよ!
まあ、おそらく大きなミスをしたからこそPCSやGOEで手厚く看護されているんでしょうけどね…。
これで優勝戦線に留まったゴールドですが、FSでも瑕疵があれば、たとえ優勝しても”疑惑”がついてまわります。
それをさせないためにも内容が求められるFS『火の鳥』では、3Lz+3T、3Lo、正確な振り付けのステップシークエンス、2Aという素晴らしく整った前半戦、スピンを挟んでの大事な後半冒頭も2A+3T+2Tを豪快に着氷!
しかも懸案の3F+2Tも決めるのですから、これには私も脱帽です。
そしてスピードに乗った3Lz、会場の盛り上がりによって火力を増したコレオシークエンスと、栄光に向かってまっしぐら!
しかし最後のサルコウが惜しくも2Sに。これは本当にもったない。
それでも演技の流れにはまったく影響がなく、気合も途切れることなく、美しいレイバックスピンとコンビネーションスピンで完全燃焼したゴールドは華やかな笑顔。
いやあ素晴らしかった!
FSは137.41(68.48・68.93)、合計202.80。
ちょっと高すぎる気もしますけど、これがホーム加点というやつでしょうか…。
ただ、今季のゴールドがいい感じなのは事実で、気が早い話ですけど、今季こそ世界のメダルを取るかもしれませんよね。

200点を超えたゴールドに初のGPSアメリカ大会制覇が見えてきたわけですが、それを阻もうとするのはロシアが毎年のように送り込んでくる”天才少女”という名の可愛らしい刺客。
今季のエフゲーニャ・メドベデワは手足が棒のように細くて、無理をすれば壊れてしまいそうな女の子ですけど、競争厳しいロシアで這い上がってきただけにその強さは本物です。
SPでは柔軟性を生かした面白い振り付けて『白夜の調べ』の曲調を醸し出してからの軟体スピン、そしてシンプルで優雅なステップシークエンスで前半をしっとりと終わらせると、勝負の後半は3F+3T、2A、3Loを全て手を上げながら跳ぶタノジャンプで成功!
最後2つのスピンも落ち着いて回って、この奇策ともいえる難しい構成をノーミスでまとめたのは本当に立派。デビュー戦とは思えない落ち着きぶりでした。
トゥクタミシェワのような天賦のジャンプ能力やリプニツカヤの脅威のスピン、ラジオノワの無尽蔵のスタミナとエネルギーといった、驚くようなの個性はなく、器としてはひとつ小さいでしょうけど、他のロシア選手のようにバタバタしたところがなく、体を優雅に使うことができるのはこのひとの素晴らしい個性でしょうね。まだまだジャンプに癖があったり、ブレード使いに難があったり、動きに雑なところがあったりしますけど、全体が磨かれてゆけばうっとりするような美しい選手になると思います。今後が本当に楽しみですね。
なんて思っていたらSPが70.92(39.66・31.26)という高い得点で私はびっくり仰天。これではすでに”完成している選手”のようです。私とジャッジでは違うものを見ていたんでしょうか…。
そうして”アウェイ”でのSP首位が重荷になるかと思われたFS『ウォリスとエドワード』でのメドベゼワですが、3F+3T、3Lzを思い切りよく跳んでスタートするも、靴が重そうなステップではときおりバランスを崩す場面があって、ちょっと嫌な雰囲気。
しかし後半は3Fと3Loを立て続けに決めて、盛り返すのですから、ジャンプの精度というのが彼女の武器なのでしょう。
かと思ったのも束の間、次の2Aでまさかの転倒。
どうもこのあたりから足腰に粘りがなくなってきます。やはりスタミナ面では不安がありそう。
ただ、それでも3S+3T+2Tと2A+2Tを食らいつくように着氷するのですから、技術と根性は本当に素晴らしい。
終盤のコレオでは軟体を生かしたポジションで会場を沸かせ、最後2つのスピンも気持ちで回るところなどもシニアデビューに賭ける意気込みが伝わってきて好印象でした。
FSではSPでも見られた全体的な拙さや体力不足がより露わになったような感じはありましたけど、必死さが伝わる演技は思わず応援したくなります。
本当にこれからの成長が楽しみな選手です。FSでは苦労しましたけど、上々のデビュー戦だったのではないでしょうか。
そうして出てきたFSのスコアは135.09(68.93・67.16・減点1)、合計206.01。
さすがにホーム加点のゴールドには及ばないでしょうけど、十分な結果ですよねえ…、え…、いや…、及んでいます!勝っています!びっくりしました!
SPもそうですけど、私が思っているよりメドベデワのPCSやGOEの評価が高いんです。
特に宮原さんとのPCSの差なんて私には理解できません。ゴールドも高すぎますし。

開幕戦を見る限り、どうやら今季のフィギュアも難解なものになりそうです。
日本勢だけはそれをシンプルにして欲しいものです!
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