2015GPS中国大会女子シングル(前) 浅田真央を狙う若手たち

2015GPS中国大会は浅田真央の復帰戦ということで、ファンや日本国民は浅田さんの華々しい優勝を期待しているわけですが、いまの女子フィギュアはそう簡単な世界ではありません。
この大会に出場するエレーナ・ラジオノワとアンナ・ポゴリラヤは200点超えパーソナルベストを持っていますし、浅田さんといえども、ミスを繰り返せば足元をすくわれてしまいます。
フィギュアスケートは”序列”の競技です。
スコアの半分を占めるPCSとかいいうわけのわからない評価基準は、選手の立ち位置が強く影響するので、それを上げるためにも選手たちは自分より格上の選手を倒す必要があるのです。
そういう理屈のなかで、力のある若手から見れば、現在世界の序列トップに位置する浅田真央は美味しい獲物かもしれません。
「マオを下して自分の序列を上げる!」、そう虎視眈々と爪を研いでいるわけです。
浅田真央が帰ってきた世界はそういう弱肉強食の世界です。
そこでは弱みを見せればとことんまで付け込まれます。かつての王者や女王が復帰戦を慎重に選ぶのはそのためです。
ところが浅田真央というひとはB級にエントリーすることなく、ジャパンオープンという花試合を経たとはいえ、いきなりGPSという厳しい舞台を選んだのです。普通では考えられないことです。
しかし、この”フィギュアの常識”を無視する態度こそが浅田真央なんです。序列だのなんだのといったみみっちいことを気にしていたら浅田真央ではありません。
自分のチカラを信じて、ただただ前へ突き進む。それが浅田真央のフィギュア道。
その道は、数え切れぬほどの艱難辛苦が横たわっていますけど、真っ直ぐに伸びているので見晴らしだけは抜群です。
だから上を向いて歩いて行けばいいんです。浅田真央も我々も!
というわけで、ドキドキワクワクの中国大会女子シングルを振り返ってみたいと思います。

浅田真央追撃と一番手と目されるエレーナ・ラジオノワ(16歳)は昨季とは明らかに体つきが変わり、全体的に大きくなって、筋肉もついてきました。足だけが長かった昨季よりはバランスはいいかも。
しかし、その体が邪魔をしたのか、SP『ジュテーム』冒頭の3Lzはやや詰まってコンビネーションにならないミス、得意だったスピンも柔軟性は維持するも、勢いは落ちたように見えます。
そして後半の3Loに+3Tをつけてリカバリーにいったわけですが、ここは回転不足(UR)でおっとっと。リカバリーも得意だったんですけどね…。
次の苦手のアクセルも1Aになってしまい、ステップシークエンスでも彼女ならではの爆発的なエネルギーが出てきません。
演技全体も靴が重そうな感じはなくなったものの、いい意味でも悪い意味でも”落ち着いた”という印象でした。
でも、勢いとキレがないとラジオノワらしくありませんよね。
SPは58.51(TES27.06・PCS31.45)で6位。
こうして期待よりも不安が残るなかでFSを迎えたラジオノワですが、強引な3Lz+3T、エラー気味の3F、3Lz転倒というなんとも微妙な序盤戦。
スピンを挟んでのステップでもスピード感や動きの明確さが出てこないのでちょっと寂しい『タイタニック』。
後半は冒頭の3F+1Lo+3Sを食らいつくように決め、2Aも慎重に降りるも、3Loは両足でふんばる着氷。
やはりジャンプのフィーリングがおかしくなっています。
こうして昨季まであった良いところが影を潜めたように見えるラジオノワですが、ひとつだけ変わらぬ部分があるんです。
それは”体力”。
終盤のコレオはスピードがまったく衰えませんし、2Aにも+2Tをつけ、最後は彼女らしいピンと伸びたビールマンスピンでフィニッシュ。なんとなく尻上がりな感じになるのはさすがでした。
FSは125.77(61.28・6549)、合計184.28。
体力というのは演技全体を鮮やかにする大きな武器ですし、練習だってより多く積めるわけです。
いまの体に慣れてゆけば以前の個性もまた出てくるでしょうし、そこからが新しいラジオノワです!

ロシアからのもうひとりの刺客、アンナ・ポゴリラヤのSPは『バイオリンと管弦楽のためのボレロ』。
長い手足を大胆に使う振り付けと、恐れを知らぬスピードが持ち味の彼女ですが、冒頭の3Lzでお手つきするとそこから強引に持って行った+3Tも回転不足での転倒。怪我が心配なくらい豪快な転倒でした。
それでも3Lo綺麗に降りると、勢いのあるレイバックスピン、後半もターンからの2Aをビシッと決めて立て直したのは立派。
しかし、次のスピンで途中でほどけるミス。こういうポカは彼女の癖でしょうね。
ただ、ステップは深いエッジで素晴らしくスピードにのっていて見応えがありました。踊りも軽やかでしたしね。
SPは61.47(TES31.37・PCS31.10・減点1)で4位。
FSは衣装もばっちり決まった『シェヘラザード』で、スピードにのった助走から抜群の3Lz+3Tを成功させてのスタート。
長い腕を生かした演技からのぎこちない3Lo+1Lo+3Sもまとめていい流れだったのですが、3Lzで踏み切りから軸が斜めになった大転倒(SPと一緒)。転び方が怖い。
それでも果敢に立ち上がったポゴリラヤは深いエッジと長身を生かしたステップシークエンスでアラビアンな世界を作ると、スピンもしっかり回って、美女オーラ(なんと17歳)を発しながら柔らかく踊ってからの後半冒頭の2Aも軽々着氷。
こうして流れを取り戻したかに思われたものの、3Loでまたもや酷い形の転倒をしてしまって(跳び急ぎか)、その流れもせき止められてしまいます。
次の2Aは綺麗に降りるも、3Fでお手つき、最後は気合が入ったいいスピンを2本回って意地を見せましたけど、七転八倒といった感じの残念な演技となってしまいました。
FSは122.69(59.66・65.03)、合計184.16。
どうやら体型変化は昨季から続いているようで、今季もそれに苦しめられそうですね。
ただ、身ごなしの雑な部分はだいぶ減ってきて、全体的に美しく整ってきているので、この我慢のときを乗り越えれば、大きな花が開くと思います。まだまだ若いんです!

昨季はGPS初優勝、全日本2位、四大陸3位、世界選手権6位と、一気にトップ選手の仲間入りを果たしたシンデレラガール、本郷理華のSPは、リンクの先輩鈴木明子さんに振り付けてもらったの『キダム』。
シルク・ドゥ・ソレイユそのものの衣装がよく似合う本郷さんは、出だしから長い手足を大きく動かしてスタートすると、気持ちを感じる3F+3Tを着氷、キャメルとレイバックは繋ぎの振り付けを挟んで両方とも演技をしながらのスピン。
大きな踊りで雰囲気を盛り上げ、後半冒頭の3Lzもエッジを確かめるように成功、2Aは降りてから後ろ足を上げる余裕、ステップはエネギーとパワーに満ち溢れ、最後のスピンも一切勢いは衰えません。瞬きする暇もないくらいの激しい舞台はまるでサーカスを見ているかのよう。
本当に内容が濃くて、素晴らしいプログラムでした。
こんな激しいプログラムを完遂できるのですから、そうとうな練習量をこなしてきたんでしょうね、体力も凄かった!
SPは65.79(35.69・30.10)で2位。PCSも30点が出た!
本郷さんは姿勢にやや難がある選手ですが、それを矯正するのではなく、動きの多いプログラムで、その難を見せないようにするというコンセプトなのでしょうけど、これが大成功でしたね。
しかも、手足の長さを生かしたダイナミックな演技という本郷さんの個性もより際立たせているのですから、鈴木さん恐るべし、です。
本郷さんの今季は昨季がまぐれではないところを証明したいシーズンなので、”結果”が大事になるでしょうけど、演技面での飛躍は”内容”でも周りを納得させるのではないでしょうか。
期待が際限なく膨らむSPでした!
(※若手の好演を浅田真央がどう受けて立つのか、後編に続きます。)
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