2015GPS中国大会女子シングル(後) 屈辱の優勝

(続きです。)
SPでは浅田真央が復帰戦とは思えぬまとまった滑りを見せ、3Lzのエッジエラーやセカンド3Loの回転不足を取られながらも71.73を叩きだすという地力の高さで首位をがっちりキープして、2位の本郷さん65.79とは約6点差。
ラジオノワとポゴリラヤがFSでも崩れたため、浅田真央を追うのはもう本郷さんしかいません。
しかも、ロシアの2人だけではなく、この中国大会女子FSではどの選手も大きなミスをしてしまい、がっかりした表情でリンクをあとにしてばかりいたので、会場も寂しい雰囲気。
その嫌な流れを断ち切るべく本郷理華が演じるのは『リバーダンス』。
まずは3F+3Tを果敢に決めて勢いにのると、次は長い手を上げながら跳ぶ鮮やかな3S!3Lz+2Tも降りて上々の序盤戦。
キャメルスピンのあとのステップシークエンスでは、名前の通り華が咲いたような笑顔で全身を上下に躍らせ、まるでアイルランドの村祭りを見ているかのよう。長い低足の長身がリンクに映えていました。
後半冒頭も2A+3T+2Tという大技を決め、3Loでは軸が斜めになっても転倒をこらえてステップアウトにとどめ、豪快なコンビネーションスピン、やや疲れが見えるなかでの3Lzはエッジが微妙になりながらもなんとか着氷。
序盤から本当に動きが多いので、最後まで滑るのが難しいプログラムなのは間違いなく、終盤がかなり心配になってきたわけですけど、本郷さんの気迫と体力は私の想像を超えてエネルギーを持っていて、コレオではタップダンスの動きを取り入れたステップ風のシークエンスを情熱的に滑り抜け、2Aもしっかり降りると、最後のコンビネーションスピンも高い集中力で華やかに回って、堂々たるフィニッシュ!本人も大満足の表情!北京の会場もお祭り騒ぎだ!
最初から最後まで鮮やかな印象に陰りがなく、本郷さんの気持ちもまったく切れることがなかったので、ぐいぐい惹きつけられて、演技時間が本当に短く感じました。エネルギッシュかつダイナミックという本郷さんの個性が美しい大輪の華を咲かせたといっていいでしょう。歓喜と興奮に満ちたリバーダンスでした。ブラヴォ!
FSのスコアは129.97(TES64.71・PCS65.26)で自己ベスト、そして合計195.76も自己ベスト!
ジャンプ構成も難度がかなり高いので、もっとスコアが出てもいいように感じるくらいですが、ルッツのエッジが微妙なのと、苦手のスピンでGOE(加点)がなかなか取れないので、観ている我々が思うよりもちょっと低めになってしまいます(※大きなミスがあり、基礎点も低いラジオノワともFSでは4点しか離れていません)。
けれどもそれは決して辛い採点というわけではないので、仕方がありません。
今後はそういう部分を修正してゆくのもありかもしれませんが、私はそれよりもステップやコレオ、表現面を強化して、”魅せる部分”で得点を伸ばしていって欲しいと思っています。リンクの先輩である鈴木明子さんという素晴らしいお手本もいることですしね!
本郷さんは昨季急成長したシンデレラガールで、今季はその評価が固まる大切なシーズンでしたけど、最高のスタートを切ったといっていいのではないでしょうか。
彼女は信頼のおけるスケーターであり、大会を華やかにするスケーターです。
こういう選手が日本にいることが私は本当に誇らしい!

本郷さんの熱演で舞台のボルテージが高まるなか登場したのは浅田真央。
普通はこういう状況の最終滑走にはかなりのプレッシャーがかかるでしょうが、女王は泰然自若としてゆっくり氷の感触を確かめます。
復帰即優勝のために必要なFSのスコアは約124点。勝負事に絶対はないとはいえ、浅田さんがこれ以下のスコアだったのは2012-13シーズンまで遡らなくてはなりませんし、先月のジャパンオープン(JO)で141.70を記録しているのですから心配はいらないでしょう。
あとはいい演技をして、自ら復帰戦を華々しく祝うだけです!
たおやかな身ごなしで、音楽がかかると同時に『蝶々夫人』の世界へと観客を誘った浅田真央、軽やかな助走から冒頭のジャンプは世界中のフィギュアファンが楽しみにしている3A!これを完璧に決めた!
助走から踏み切り、軸の作り方、そして着氷までの流れに寸毫の乱れのない、まさに完璧な3A。
男子のように筋力やスケートスピードに頼って強引に跳ぶことができな女子の3Aの理想像がそこにあった!
このジャンプで誰もが優勝と好演を確信したわけですが、次の3F+3Loでまさかの転倒。
ただ、3Aのせいで忘れがちですが、このコンビネーションは男女を通して跳べる選手がほとんどいないという高難度ジャンプなんですよね…。
また久しぶりの転倒ということでリズムを失ったのか、次も2Lzに抜けるミス。慎重になって跳び遅れたように見えました。
こうして天国と地獄のような序盤戦となりながらも、浅田さんは美しいキャメルスピンで演技を落ち着かせ、絹糸の上を滑るような繊細なコレオでミスを忘れさせると、後半冒頭の2A+3Tを気持ちで着氷し、続く3Sは余裕の成功!
こうして立て直せるのもさすが浅田真央。呼吸も滑りも安定していましたし、これで完全に立ち直った、後半はしっかりまとめて堂々の優勝だ!
そう誰しもが思ったに違いありませんが、代名詞のひとつでもある3Fからの3連続がまさかの1Fに…。
JOでもここはミスをしたのでそれが頭を過ったのか、序盤の3F+3Loでの転倒が影響したのか、いずにせよ残念。
それでも得意の3Loは悔しさをぶつけるように大きく跳んで意地を見せ、しっかりビールマンスピンを回ったあとは、羽衣を翻す天女のようなステップシークエンスで運命と愛の儚さを芸術へと昇華し、正確な姿勢変化が走馬燈を思わせるコンビネーションスピンで終幕。
繊細なスケーティングとたおやかな身ごなしを軸に美しい『蝶々夫人』になっていただけに、ジャンプのミスが本当に悔しい!
浅田さんもかなりがっかりしていましたけど、私もまさかこんなにミスをすると思っていなかったので、演技を観ている最終から少々混乱してしまいました。やはりこのジャンプ構成は本当に難しいんです。
特に3F+3Loのところは転倒やステップアウトをしてしまうと次の3Lzに影響してしまいますし、フィーリングに合わせて+2Loに抑えると、後半の3F+2Lo+2Loが”同種2回転は2本まで”のルールに抵触してしまうので3F+2Loまでにとどめておかなければならないので、本人もかなりのストレスになっていることでしょう。
そういうのは実戦での慣れでしか解消されませんよね。
というわけで優勝は本郷さんに決まりでしょう、素晴らしかった!
表彰式では健闘した後輩を称える浅田さんと涙に濡れる本郷さんを見ることになるはずです。それもまた美しい光景でしょう。
という具合に私も完全に優勝は諦めていたんですけど、表示されたFSのスコアは125.75(58.15・69.80・減点2)、合計は197.48。僅差で本郷さんを振り切っての優勝!

計ったような僅差はヤラセのようでもありますが、浅田さんのプロトコル(採点表)を見てもあやしい部分はありません。
回転不足やエッジの判定もしっかりとられていますし、減点に関しては名前がコールされてから30秒以内という昨季からのルールを忘れて32秒かかるというポカでマイナス1も食らっています。3Aやコレオやステップの加点は辛いくらいですしね。
いまの浅田さんは総合力が際立って高いので、ミスをしてもこれくらいは取れるということなのでしょう。そもそもこのFSはノーミスならば150点を超えるというモンスタープログラムですからね。
私も心情的には本郷さんの優勝でよかったように思いますが、本郷さんが優勝を逃した原因は浅田さんのスコアではなく、上にも書いたように本郷さんのスコアが伸び切らなかったためと考えるのが妥当でしょう。
しかし、会場にいたお客さんやテレビ視聴者にもやもやが残ったのは事実。
浅田真央が後輩から金メダルを奪ったと詰るひともいるかもしれません。
浅田真央とそのファンからすればこれほどの屈辱はありません。

もう復帰云々は終わりです。
これからは女王としての誇りをかけた戦いです。屈辱を晴らさねばなりません。
浅田さんも今回の演技には納得がゆくはずもないでしょうしね!
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