2015GPF男子FS(前) ベテランの意地、若手の煌めき

2015GPF男子シングル、SPで自らの世界最高点を更新する110.95を叩きだした絶対王者、羽生結弦。
2位以下とは19点以上の大差がついているので、優勝は確実といってもいいでしょう。
となれば、FSでの注目は羽生結弦の世界最高点更新に絞られる、といいたいところですけど、銀と銅の表彰台争いは熾烈です。
SP91.52のフェルナンデス、86.95の金博洋、864.7の宇野昌麿、この3人はひとつのミスで順位が入れ替わるほどの差しかありません。
もちろん、我々日本のファンが望むのは羽生くんと宇野くんのW表彰台。それもワンツーが理想です。
そのためにも宇野くんががんばらねばなりませんし、そのがんばりで羽生結弦を脅かして欲しい。
その切磋琢磨が日本の男子のレベルを上げるのですかね!
というわけで、ワクワクの男子FSを振り返ってみたいと思います。

SPで70.61と出遅れ、私も表彰台候補から外したパトリック・チャン(カナダ)ですが、これは元世界王者に対して本当に失礼なことでした。先に謝っておきます!ごめんなさい!
まずは超特急のスケートから4T+3Tを豪快に決めたパトリック、苦手の3Aもやや開きながら着氷を上手くまとめると、次の4T予定は物凄い幅の3Tになってしまいましたけど、勢いを感じる序盤戦。
そこからは美しくつるつるとよく滑るスケーティングで観客をうっとりさせ、どっしりとしたキャメルスピン、そして巧みな振り付けと静謐なスケーティングで空気を落ち着かせ、
後半は3Lz+2T、3Lz+2T+2Lo、綺麗な3Lo、3Sと立て続けに成功!前のカナダ大会を思わせる凄い集中力!
シットスピンの後の3Fもびしっと決めると、コレオではさすがといいたくなる上手さと疾走感でショパンメドレーを加速させ、最後のコンビネーションスピンも一糸乱れることなく回って堂々たる王者の演技でした。意地と誇りを感じましたね。
FSは192.84(TES96.76・PCS96.08)、合計262.45。
正直いって点数が高すぎますけど(プロトコルを見ると加点が異常)、それをあまりいいたくないほどのインパクトがあったと思います。追い詰められた元王者の鬼気迫る演技は大会のヴォルテージを一気に上げたといっていいでしょう。
お見事でした、ブラヴォ!

今大会の男子は、現王者や元王者、五輪王者やジュニア王者、中国王者といった肩書だらけですけど、氷の上ではそんなの関係ない!という演技を見せて欲しいのはこれがGPF初出場の村上大介。
しかしFSでは冒頭の4Sでステップアウト、次の4Sも回転不足の転倒、3Aもオーバーターンという厳しい幕開け。かなり緊張感がありましたね。
しかし、キャメルスピンでひとつ落ち着けると、後半の3A+2Tは気持ちで着氷、3Fもよし。
こうやって演技中に自分を立て直せるようになったのは凄い進歩。
そこからも3Lz+1Lo+2S、3Lo、3S+2Tも連続で成功させ、自分の流れを作った村上くん、ステップシークエンスでは『Anniversary』のピアノにも力ももらって美しい滑り、丁寧で気持ちがこもっていました。
終盤のコレオもコンビネーションスピンも集中したまま的確に仕上げて、村上くんは自分がこの大舞台に相応しい選手でああることを十分に証明しました。
FSは152.02(73.26・79.76・減点1)、合計235.49。
全日本選手権ではノーミスを!

村上くんからバトンを受ける形でリンクに入った宇野昌麿は気合十分の表情から、己を解き放つような振り付けで力強く『トゥーランドット』の世界に入ると、冒頭の4T+2Tをずばっと降り、3A+3Tも豪快に決めた!
次の3Aも軽々と決めて一気に自分の流れを作った宇野くん、的確なシットスピンのあとは細かい技術を散りばめたステップシークエンス。ボディバランスとエッジ捌きは抜群。
キャメルスピンで前半を終わらせ、後半はまず前菜の3Loと3Fを揃えて、そこからはじっくり下ごしらえをするような振り付けから、メインディッシュの4Tへ!これも食らいつくように決めた!やはりこの男は極上だ!
続く3Lzも着氷すると、終盤の見せ場の2A+1Lo+3Fも余裕の成功、コレオでは子供の頃から得意にしているリンボーハイドロでバルセロナの会場をどっと沸かせ、最後は正確無比のコンビネーションスピンで鮮やかなフィニッシュ!
このパーフェクトに近い内容に宇野くんもどうだといわんばかりのガッツポーズ!
高難度の技術要素を的確に揃えるだけではなく、出だしから終わりまで演技の流れを完全にコントロールするセンスとクレバーさはとてもシニア一年目とは思えない今回は繋ぎを減らして、演技の正確性を高めていたように見えました。そういうところもしたたかです)。
彼の演技を見れば、誰も眠れるはずがない、世界のフィギュアファンよ、これが日本の誇る小さな巨人、宇野昌麿だ!
FSは190.32(100.74・89.58)でパーソナルベスト、合計276.79でこれもパーソナルベスト!
技術点も100点を超え、これで世界のトップとも張り合える!
私が今後の宇野くんに求めるのはステップシークエンスの強化。SPでもFSでもシークエンスのなかでの盛り上がりが欲しい。
宇野くんならもっともっとできるはずですし、それをやることで他の選手との違いを生み出すこともできると思うんです。
世界の頂点を目指すのならば、もう一種類の4回転とともに絶対に必要になります。

宇野くんの生涯のライバルになるであろうクワドモンスター金博洋(中国)ですが、冒頭の4Lzでやや着氷を乱すと、続く4Sではステップアウト、3Aでは転倒という波乱のスタート。
その影響かステップではスケートが思いのほか進まず、止まってしまいそうなほど。繋ぎの振り付けも集中力を欠いている感じで、これはよくない。
後半も鬼のようなジャンプ構成が待っているなか、不安の残る前半を終えた金博洋、普通の選手ならば大崩れが待っているところでしょうけど、彼は違った。
後半冒頭の4T+2Tをしっかり決めると、続く4Tはものの見事な跳躍!やっぱり怪物だ!
しかしコンビネーションスピンのあとの3Lz+3Tはやや詰まった形、3A+1Lo+3Sはステップアウト。
さすがに足が棒になっていましたね。
それでも会場の手拍子に後押しされたコレオのあとの3Fはしっかり決めて、最後は真面目さが伝わってくるキャメルスピンとシットスピでフィニッシュ。
とんでもないジャンプ構成で、やや本人の許容量をオーバーしているんでしょうけど、将来を見据えて挑戦しているのだと思います。
それもやらされている感じではなく、能動的にやっているのが、いまはまだ拙い演技からも伝わってくる。
金博洋は本当にいい選手です。
宇野くんとカメラ越しに手を振り合うなか出てきたFSのスコアは176.50(101.86・75.64・減点1)、合計263.45。
あれだけのミスをしながらこのスコア。
末恐ろしいとはこのことですし、日本勢にとっては切磋琢磨できる素晴らしい競争相手ですね。
(長くなってきたので後編に続きます。)
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