2015GPF男子FS(後) 破壊神羽生結弦

(続きです。)
地元スペイン(バルセロナ)での2年連続開催となるGPFで、昨年に続いてSPで出遅れてしまったハビエル・フェルナンデス。
優勝はかなり厳しい状況ですが、FSでは観客の心に残る演技をしたいところ。
しかし、その意気込みが枷になったのか冒頭の4Sでは軸がぶれてのステップアウト。
これで会場ががっかりな雰囲気に包まれたものの、フェルナンデスはそれを意に介することなく、いなせな振り付けから見事な4S+3T!続く3Aも豪快に決めて失敗を取り返した!
ステップシークエンスでは彼独特の軽さと愛嬌のある滑りで『野郎どもと女たち』の世界をリンクに映し出し(この映画を観てみたいものです)、コンパクトなシットスピンで前半をまとめると、役者張りの芝居でいったん演技を落ち着かせ、勝負の後半4Sも降りた!
そこからは3F+1Lo+3S、3T、3Lz+2Tと連続成功させ、これまた芝居っ気のあるコレオで終盤を盛り上げると、最後の3Loも着氷し、観客の大声援のなか、コンビネーションスピンを2本回って充実感のあるフィニッシュ。
課題のスタミナも最後まであまり衰えませんでしたし、気持ちのこもった演技でしたね。
いつもは適当な後半ジャンプの質も、このFSではまずまずでした。
これならバルセロナのお客さんも十分納得したんじゃないでしょうか。
FSのスコアは201.43(TES104.65・PCS96.78)、合計292.95。
やはりといいますか、点数は思ったより高め。PCSもそうですし、プロトコルを見るとGOEもすごく甘くて、冒頭の4Sに+1を付けているジャッジが2人もいるのですから、何をかいわんやです。
今季のフェルナンデスは王者という立場がいい影響を与えたのか、コンディション調整(練習量)も上手くいっているようですし、演技中の集中力も高くて、一皮むけた印象があります。
もうジャッジが甘やかす必要はないんです!成長の邪魔です!

フェルナンデスのスコアは普通ならば優勝のスコアですし、最終滑走者に十二分なプレッシャーを与えるはずなのですが、絶対王者、羽生結弦の前にはまったくの無力。
4S、4T、3Fと技巧的かつ美しく豪快なジャンプで序盤を終えたところで、観客はもう羽生結弦の胸に金メダルがかかっているのが
見えたはず。しかも男性的なビッグジャンプのあとには、しなやかなビールマンスピンを披露するのですから、スペイン人はみな腰を抜かしたに違いありません。
しかも、羽生結弦の”自分の演技しか見えていない”といった集中した表情はどうでしょう、氷の上の彼は本当に魅力的です。
ステップシークエンスでは軽めのフットワークでちゃきちゃきと要素を積み上げ(後半のために足を残す戦術か)、観客が固唾を飲むなかで助走に入った後半冒頭の4T+3Tも力強く決めた!
そこから3A+2T、3A+1Lo+3Sというビッグジャンプで畳みかけ、3Loと3Lzも余裕の着氷!
羽生結弦を見ていると、氷の上でのジャンプとはかくも簡単なものかと錯覚してしまいそう。まるで舞うように高難度ジャンプを降りてしまうのですから。
そうして深いシットスピンを軽快に回り、コレオではイナバウアーで柔軟性を見せ、最後のコンビネーションスピンも演技を盛り上げるかのように勢いよく回って、歓喜と興奮が入り乱れるなかでの『SEIMEI』の終幕。
もう言葉はありません。
フェルナンデスもカメラ越しに降参ポーズをしていましたけど、私も脱帽です。
4回転3本と3A2本の構成を、ここまで余裕でこなす選手はこの地球上に羽生結弦しかいません。
もちろんスピンも一級品で、ステップでも細かなフットワークと軽快なターンを見せ、
プログラム全体にもしっかり繋ぎが散りばめられているのですから、人間業とも思われないほどです。
しかも前のNHK杯に続いてのSP・FSノーミス。
前の方が攻めていた分、要素には迫力がありましたけど、今回はまとめにいった感じで余裕がありましたね。
もうこのジャンプ構成を自分のものにした手ごたえがあるのでしょう。
演技後にあえてガッツポーズをしないところにも羽生くんの自信を感じました。
これでもう誰も文句がつけられない、”絶対王者”です。
FSは219.48(120.92・98.56)で世界最高点を更新、そして合計330.43も世界記録更新!
PCSもほぼ天井までいっちゃいましたし、TESにしても加点がバンバンついちゃって、この評価が正しいのかどうか私にはもうわかりませんけど、ただひとつわかっているのは羽生結弦が他の選手と隔絶した王者だということです。
しかもその凄さは技術要素の難度と完成度に依拠し、他を圧倒している。
だから、誰が見たって凄い、誰が見たってチャンピオン。
また、そのリアリティのある強さはジャッジの影響をわずかなものにしてしまう。いまの寵愛を失っても、技術力さえ維持できていれば、羽生結弦のスコアはそう大きくは変わらないはずです。
口出しのできない強さ、憎らしいほどの強さ、それが絶対王者、羽生結弦なのです。

そんな羽生結弦の演技はいまの採点方法をぶち壊している。
彼のせいで均衡するように設定されたTESとPCSのバランスは大きく狂い、5項目10点満点のPCSもすでに天井が見えているのですから、もはやいまの採点方式では羽生結弦は計れません。
それほど規格外の選手なのです。
我々はそういう選手と同じ時代を生きている。
羽生結弦がフィギュアスケートを変革し続ける時代を!

おそらく今後、国際スケート連盟(ISU)はルール改定に踏み切ることになるでしょう。
特にいまの男子シングルはジャンプの基礎点が想像を超えて跳ね上がり、GOEやPCSといった”あやふや”な部分の影響力が落ちてしまっています。
これではISU=ジャッジが選手をコントロールすることができません。
お気に入りの選手を勝たせるためにはあやふやな部分が重要なのです。
あやふやは不正の温床といっても過言ではありません。
ただ、そのあやふやな部分がフィギュアスケートの魅力であることも否定できないんです。
動きや滑りで細かく音を拾っていったり、スケーティングの強弱・緩急でプログラムの世界に奥行を作り出していったり、独創的な動きや姿勢で演技に彩を添えたり、そういう芸術性というのもまたあやふやなものです。
いまの若いスケーターたちはジャッジを信用していないせいか、そのあやふやな部分を遠ざけ、リアリティばかりを追っているようにも見えます。
それがいまの採点方式を破壊しようとしているわけです。
これはISUがここ約10年間、自分勝手に選手たちを弄んできたツケともいえるでしょう。
私はいまの選手たちに、一世代前の選手たちと同じくらい同情しています。

羽生結弦はあの暗黒の時代を粉々に破壊した後に、何を創造しようとしているのか。
そしてまた羽生結弦のスタイルに抵抗する選手は出てくるのか。
とにかくISUではなく、選手が導く新時代が見たい!
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