2015全日本フィギュア男子FS

男子SPの記事を書いてからちょっと間があいてしまいましたけど、1年を締めくくるという意味でも、FSについてもしっかり書き残しておきたいと思います。
では、できるだけ簡潔に2015全日本フィギュア男子FSを振り返ってみます!

すでに全日本ジュニアを制し、世界ジュニア代表が決まっている山本草太くんですから、このFSは”チャレンジ”のみがテーマ。
しかし、序盤から3Aで転倒 4Tも回転不足気味(UR)の転倒という目を覆いたくなるようなスタート。
それでもシットスピンの後の3Lzを決め、フォルムの美しコンビネーションスピンとスケートがよく伸びるコレオでリズムを取り戻すと、後半冒頭の3A+2Tを食らいつくように着氷。
そこからは3Lo、3Lz+3T、3F+1Lo+3S、2Aとしっかり揃え、終盤のステップもスタミナを切らすことなくスケール感を持続したまま滑りきり、最後も切れ味鋭いアップライトスピンで意地を見せてくれました。
序盤のミスから立て直した気持ちの強さと、体重がしっかりのった綺麗なスケーティングと、スタイルのよさを生かしたスケール感の
ある演技は観たものの記憶に確かに残ったのではないでしょうか。
FSは152.23(TES81.57・PCS72.66・減点2)、合計215.15。
ちょっと気になったのですが、3Aと4Tのときだけ踏み切りの腕の使い方が縮こまっています。あれが3回転と同じように使えたとき成功率も上がるんじゃないでしょうか。世界ジュニアを楽しみにしています!

最終グループの一番滑走はSPで見事な演技を披露した無良崇人。
世界選手権の”2枠”に滑り込むためにも、FSでもノーミスに近い演技が求められます。
その大切な序盤、冒頭の4Tは手をつきながらなんとか着氷、これで次の4T+2Tはドキドキものでしたけどしっかり決めた!いいスタートを切った!
…と思ったその矢先、3Aがパンクした1Aに。ガッカリした空気がテレビから伝わってきました。
ただ、無良くん本人はがっかりしていなかった!なんと次のジャンプ(3S予定)を3Aでリカバリー!しかも彼らしい大きなジャンプ!
これで気持ちも乗ってきたのか、ステップでは細かく音をひろって、いい雰囲気の『オー』。
勝負のかかった後半冒頭の3A+3Tはステップアウトしてしまったものの、次の3Loはしっかり降り、3連続も3F+1Lo+3Sで降りた!
予定では3F+1Lo+2Sなのですが、前半の3Sを跳んでいないのでここは3回転で跳べるわけです。とっても冷静でしたね。
そのあとは得意の3Lzをしっかり決め、コレオでは空を駆けるような滑り、最後のコンビネーションスピンも自分に鞭を打つように
まわって執念を感じる演技。気持ちが伝わってきた!
この日のようにミスを最小限に抑えた粘りの滑りというのは、これまでの無良くんであまり見たことがありません。表現面での試行錯誤といい、今季は確かな成長を感じますね。
FSは170.20(87.00・83.20)、合計263.46。

目の前で観た無良くんの気迫の演技に感化されたのか、次の宇野昌磨もいつもより大胆な身のこなしで『トゥーランドット』に入ると、集中した表情で最初のジャンプへ!
しかしこれがまさかの2Tに…。
これははっきりいってヤバい、もうミスはゆるされません。
ただ、さすがは宇野昌磨というのでしょうか、びびることなく3Aと3A+3Tを豪快に決めると、よくまとまったスピン、股関節の柔らかいステップでは強さと伸びのある滑りを見せると、コンパクトなキャメルで前半を終わらせ、加速してからの後半3Lo、繋ぎのように跳んだ3Sもばっちり。
そして、力を蓄えるような振り付けでいったん空気を落ち着けたあとは、気持ちの籠った助走から見事な4Tを決めた!
これであとのジャンプを降りれば逃げ切れる。それだけ大きい成功でした。
3Lzは着氷で大きくふらつくも、踊りの上手さで流れを作り、氷を強く捉えた助走から最後の3連続でしたけど、いつもの2Aと入り方が違う、跳んだのはトゥループ、しかしこれが単独の2Tに…。
なぜいつも通りの3連続を選ばなかったのか、これで無良くんとの勝負はわからなくなってしまった。
終盤のハイドロコレオ、正確なコンビネーションスピンで演技を終えた宇野くんは悔しそうに顔をしかめていましたけど、応援している私も本当に悔しかった。
これは本当にどちらかわからない、ギリギリの採点になる、そんな緊張感のなか出てきたFSのスコアは169.21(80.79・88.42)、合計267.15。なんとか無良くんを振り切ってこの時点で1位。世界選手権出場も当確といっていいでしょう。
試合後のインタビューで宇野くんは最後のジャンプについて、冒頭の4Tをミスったときに最後にもう一度跳ぶことを決めたと語っていました。4T+2Tをするつもりだったのでしょう(私は3T+1Lo+3Fだと思っていました)。
しかし、これはやりすぎです。初の世界選手権がかかった大一番だということを考えれば”無謀”としかいいようがありません。
結果で見れば、無良くんとの差はPCSとGOE、つまりは”ジャッジの匙加減”でしかありませんでした。
リカバリーの成功と失敗、演技に籠った執念という面でも、2人の差は歴然で、観客(視聴者)が選ぶ勝者は無良くんだったことでしょう。
スポーツにはときとして勝負に徹しなければいけない瞬間があります。熱くなりすぎては取り返しがつかないことだってあるんです。今回もし世界フィギュアを逃していたら、宇野昌磨という選手のフィギュア人生がどうなっていたかわかりません。
私はファンのひとりとして、宇野くんには自制と反省を求めます。大人にならなければいけない。
山田満知子先生も大目玉を食らわせてください、お願いします。

日本男子チームの層の強化という面で、そろそろ責任を担わなければならない田中刑事くんですが、4Sステップアウトという嫌なスタート。全日本では失速することが多いので「またか」と思ったひとも多いはず。
しかし今季の刑事くんはちょっと違う。
3Aを綺麗に跳んで、3F+3Tもばっちり、ステップでも『椿姫』を演技的にも技術的にも存分に表現し、後半も3A+2T、3Lz、3S+2T+2Lo、スピンを挟んで3Lo、3Fと連続成功!完全にゾーンに入っていた!
高らかにラッパが鳴り響いてからのコレオも攻めに攻め、その勢いを最後のスピンまで貫くと、吠えるようなガッツポーズでフィニッシュ!
いやあ、よかった 魂を感じる演技でした。ミスを引きずらず、自分に負けなかったのも素晴らしい。
体も大きくよく動いていましたし、独特の品がありあますし、やっぱりいい選手です。
これまではスタミナやメンタルに課題を抱えていましたけど、NHK杯の好演といい、今季は何か壁を破ったような感じがしますね。
FSは167.86(88.72・79.14)、合計242.05。

小塚崇彦はリンクサイドで一度靴ひもを結び直して、演技開始時間ぎりぎりのスタート。
そのせいもあったのか4Tで転倒、パンクした2T、3Aで転倒という気を失いそうな序盤戦。
それでもさすがベテラン、気持ちを乱すことなくスピンとステップでは正確な技術を見せ、後半冒頭の3A+2T+2Loは成功!
また、続いての3Lz+3Tはここ最近苦しめられているジャンプながら執念で着氷、イーグルとウォーレイを挟んだ3Fでも気持ちを見せると、3Loもなんとか、3Sもどうにか降りて後半は一応揃った!
そこからのスピンとコレオはやや疲労が見えたものの、最後の高速アップライトスピンは見事、ベテランの意地を見せてもらいました!
FSは150.63(69.35・83.28・減点2)、合計228.82。
ジャンプはよくなってきていますし、まだまだこれからだ!

宇野くんを捉えるためにはPBよりも10点以上高いFSが求められる村上大介。
望みはほぼ閉ざされているといっても過言ではありませんが、パーフェクトに近い演技をしてジャッジの心を揺さぶることができれば…。
というFSでしたけど、冒頭が2Sになって万事休す。
次の4S+2Tは慎重に降りるも、スピンを挟んでの3Aは助走から自信がなさそうに入るとUR気味の転倒。
立て直して欲しかった後半も3Aでお手つきステップアウト(コンボならず)、3Fもお手つきで腕を気にする様子。
3F+1Lo+2Sは着氷するも顔をしかめる村上くん、以前脱臼したことありますから心配です。
終盤もギアは上がらず、3Loと3Sをなんとか降りるも、丁寧に気持ちを込めたコレオもスケートがなかなか進まず、体に力が入らないようなスピンでフィニッシュ。
いつもはメンタルで崩れる村上くんですが、この日はコンディションに問題があったように思えてなりません。
朝の公式練習で羽生くんと衝突事故があったようですし、その影響も懸念されます。
ただ、いずれにしろ今季の村上くんのチャレンジはここで一区切りです。
今季は本当によくがんばったと思います。SPに3Lz+3Loを導入したり、スケートや表現面で明らかな進歩を見せたり、世界のトップスケーターの仲間入りを果たしたといっても過言ではないと思います。GPFにだって進出しましたしね!
そんな選手が世界選手権に出られないのですから、なんとも…。
FSは131.07(54.45・77.62)、合計21456。

現在の男子シングルで隔絶したチカラを持っている羽生結弦。
滑る前から優勝は決まっているといっているといっていいでしょうし、世界選手権の切符だって、他の選手は実質1枚を争っていたようなものです。私もそんな認識でここまで書いてきました。
そんな羽生くんの役目は絶対王者として2015全日本フィギュア男子シングルを美しく締めくくることです。
なにしろここまでノーミスの選手がまったくいないんです。これじゃあ真駒内のお客さんもちょっと寂しいってものですぜ。
そんな期待のなか、羽生結弦は4S、4T、3Fと鮮やかに決めると、気持ちの入ったビールマンスピンも回って見せての完璧な立ち上がり。気合がビシビシ伝わってきました。
ステップも何かに襲い掛かるような勢いで入って、アドレナリン出過ぎ、と思われたものの、すぐに動きを緩めたのはチャンピオンの冷静さか。ステップでは要素を的確に踏むだけで、エネルギーを使いすぎないよう意識しているように見えました。
そうして準備万端に整えた羽生結弦でしたけど、後半頭の4Tで悔しい転倒(コンボならず)、しかも続く3Aでもまさかの転倒。
私もこれには本当にびっくりしました。3Aの転倒はシニアに上がってから一度もないはずです(2010GPSロシア大会FSで跳んだあとに氷に引っかかって転倒した場面はありましたけど)。
続く3A+1Lo+3Sはふらりとしながら、3Loもこらえる形でなんとか着氷していたように、後半のジャンプは踏み切りから軸が斜めになっていました。連戦の疲労のせいででしょうか、何かが狂っていましたね。
それでも最後の3Lzを決めたところには意地と誇りを感じました。この負けん気の強さが羽生結弦ですよ。
終盤のスピンとコレオも気持ちで引っ張るように滑り終えた羽生結弦は歯を食いしばって大いに悔しそうな表情。
この2戦はノーミスが続いていましたけど、さすがにスケジュールがハードすぎました。
羽生くんだって人間ですからこういう大会もあります。次の大会でがんばればいいんです。彼なら絶対にやってくれます。
FSは183.73(90.15・95.58)、合計286.36。
結果、全日本四連覇、おめでとう!ほんとすごい!
試合後のインタビューでは「メラメラと悔しい思いがこみ上げてくる」と瞳を燃やしていた羽生結弦。
「気が早いですけど、来年の全日本ではこんな演技はしたくない」というコメントも本当に気が早い。やっぱり負けず嫌いですねえ。
この”メラメラ”がまた世界選手権の演技に火を点けると思うと、いまから待ち遠しい!

”優勝”と”3枠奪回”、頼みますぜ!
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