『真田丸』第6話、『迷走』

”真田幸村(信繁)”という武将は、小説や映画、はたまた漫画やアニメやゲームにまで登場する大人気キャラクターですから、ファンひとりひとりにそれぞれの”幸村像”というものがあると思います。
ただ、大阪の陣の活躍で、「真田日本一の兵、古よりの物語にもこれなき由」(島津忠恒談)と評されたように、類稀なる兵法によって徳川家康を苦しめたことが幸村のイメージの根幹になっていることは間違いありません。
勇敢さと知略、そして忠義の心と天下人に一泡吹かせてやろうという武将としての心意気、そんなところでしょうか。
そういう大枠から外れていなければ、どんなに斬新な幸村でも受け手は納得するはずです。
ちなみに私の幸村像でいうと、子供の頃にテレビで観た東映の映画『真田幸村の謀略』の松方弘樹さんがこびりついて離れません。
この映画は時代考証や筋書きもめちゃくちゃで、いわゆるトンデモ時代劇なんですけど、松方さんを始め、萬屋錦之介(家康)や片岡千恵蔵(昌幸)といった重鎮が迫力のある芝居で作品を引き締め、パンチのある仕上がりになっています。
私にとってこれが真田幸村を意識した最初の作品だったので、「すごくカッコイイ武将だ!」というイメージだけは子供心に強烈に残りました。

そんな私ですから、今回の『真田丸』第6話には大きな不満を感じています。
第6話の真田信繁(堺雅人さん)は、安土城から人質に取られていた姉を助け出し、真田の荘までどうにか逃げ帰ろうとするのですが、途中明智勢に見つかり、姉は海に落ちて行方知れずに。そうして失意のまま信濃に辿りついた信繁は「自分の知略が足りなかった。知略がなくては次男坊の自分は役立たずだ」と悔やむのでした。
まあ反省するのは結構なのですが、逃避行のなかで知略を使った場面なんて特にありませんでしたよね?
なんで自信を失っているのかまったくわかりません。
たとえば信濃への道すがら、まず手の者を先にやっておいて、ところどころの住民を金銭で懐柔するなどして中継地点を作っておき、そこで食料や物資や人員を補給しながら逃げてゆくという計画を立てていたものの、中継地点の住民に裏切られたなどとすれば、「知略が足りなかった」という説明も納得がゆくというものです。
そういうものが何もなく、ただなんとなく逃げているうちに敵に見つかり、戦闘になって命からがら逃げおおせる、というのでは単なる猪武者か間抜けですよ。
視聴者は信繁が将来、大阪の陣で大活躍をすることを知っているんです。
ですから、その若い頃をフィクションで描くのならば、そこに繋がる才覚や経験が見たいわけです。いまのままじゃあ、”カッコイイ幸村”になりそうもありません。

ただ、今回はサブタイトルに『迷走』と付いていたように、真田家当主の昌幸が、織田信長亡き後の真田家の舵取りについてあれこれ迷った結果、これ以上大勢力の「顔色を窺うのはごめんじゃ」と宣言し、これからは利用されるのではなく、利用してやる、と方向性を示したことが大きな話の筋でした。草刈正雄さんの好演もあって、ここはワクワクするシーンでしたよね。
私は今後の昌幸は豊臣秀吉に心酔してゆくのかなあ、と思っていたので、”秀吉を利用する昌幸”という展開だとすればそれはそれで大いに楽しみです。秀吉と真田家との関係をどう描くのかで、大阪の陣で信繁が頑なに豊臣方に味方する”動機”が変わってくるわけですからね。

しかし、この第6話の視聴率は残念なことに16.9%と、ここまで最低を記録してしまいました。
裏番組との関係などもあるでしょうけど、私は物語前半の信繁のパートがつまらないのでチャンネルを変えられてしまったと想像しています。
この逃避行は内容が練り込まれていない上に、明智勢との戦闘シーンでは迫力もなければ、目新しさもないんです。
しかも、大勢の敵兵に囲まれ、武装もほとんどしていないのに、女たちを守りながらどうやって退けたのか、観ていてもよくわりません。
せっかく寺島進さんが素っ破(忍者のようなもの)の頭目を演じているのですから、かなりの腕前だというのにめったに披露しない殺陣を見せてくれれば、けっこう盛り上がったと思いますけどね。

連続ドラマというのは視聴率が下がってくると奇手に頼っておかしな方向に流れることも多いので注意が必要です。
たとえば、佐助役の藤井隆さんが「お笑い忍法!」とかやっちゃえばもう終わりです。
そんな”迷走”をしないように、三谷幸喜さんにはしっかりとした筋を書いてもらいたいものです。
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