2016四大陸フィギュア女子FS ミス・パーフェクト

有力選手のゴールドがSPで沈み、優勝争いという意味での興味はだいぶ失われた2016四大陸フィギュア女子シングルですが、そうなればFSではひとりひとりの演技を楽しみたいところ。
もちろん、世界選手権に向けてギアをわざと落としている選手もいるでしょうけど、これがシーズンの総決算の選手もいれば、世界選手権に向けて弾みを付けたい選手もいるでしょうから、”明日に繋げる気持ち”に注目したいですね。
では、FSの様子を振り返ってみたいと思います。

第3グループ(全4G)では、グレイシー・ゴールドとアレイン・チャートランドというアメリカとカナダの女王が揃ってジャンプの不調。それにともなって演技全体も精彩を欠き、失意の夜となってしまいました(ゴールドFS121.13・トータル178.39、チャートランドFS106.02・トータル165.73)。
2人とも激しい国内選手権から1ヶ月も経っていない状況なので仕方ない部分もあるでしょうけど、世界選手権は北米ボストンで開催されますし、この屈辱を雪いで欲しいものです。
その北米勢でいうと、ここ最近怪我に苦しめられているカナダのケイトリン・オズモンドは、軸が外れたジャンプが多かったものの、それをなんとか堪えると、得意のスピンやステップ、そしてゴージャスな表現力で、地力のあるところを見せてくれました。特にステップのボディバランスと音の取り方はお見事。
スコアもFS119.49トータル175.63と、まずまずの数字が出て、本人も手ごたえを掴んだのか、いい笑顔を浮かべていました。今季はこれが最終戦でしょうけど、まだ20歳ですし、これからです!
(※選手に愛着を込めて敬称略。)

最終グループ先頭の長洲未来(アメリカ)は笑顔のリンクインからすぐにきゅっと表情を引き締めると、3F+3T、3Lz、3Sを揃える集中力の高いスタート。
得意のスピンと外連味のないスケートのコレオで『華麗なるギャッツビー』の世界を作ると、後半も2A+3T+2T、3Loを跳んで完全にゾーンに入った!
3Lo+2Tを軽々跳んで、2Aも伸びやかに降りると、コンビネーションスピンのあとは、軽やかな音楽に乗って踊ってからのステップシークエンス。ここはちょっと疲れが出てきたものの、気持ちで粘って、最後は深くて綺麗ななポジションのレイバックスピンでフィニッシュ!ブラヴォ!
全体に芯が通っている演技。途中へばっても最後まで集中を切らさなかったのも成長の証でしょう。ジャンプもまとまってきましたし、来季が楽しみです。世界選手権に出られないのがもったない!
FSは127.80(TES66.01・PCS61.79)、合計193.86。パーソナルベスト更新はなんと6年ぶり!バンクーバー五輪の自分を超えた!

SP2位という絶好の位置でFSを迎えた村上佳菜子は冒頭の3Loで手を付くも、次の2A+3Tを強引に降りて流れを取り戻したかと思ったら、3Fでふらりというなんとも不安定な立ち上がり。
スピンとステップでも和楽器が奏でる『SAYURI』の細かいリズムに乗ることができず、閉塞感のある演技。傘を持つマイムもおざなりに見えました。
後半は1Loから始まって、バランスを崩した3F+1Lo+2Lo、3Sはよし、コレオではちょっと気持ちが切れていたようですけど、最後のジャンプは構成を変えて3S+2Tでリカバリー(これを考えてコレオがいまいちだったのかも)。レイバックスピンで演技をしめた村上さんでしたけど、さすがにがっかりな表情。
FSは106.61(47.42・59.19)、合計175.12。
それにしてもこのFSは本当に滑りにくそうに見えました。
その原因はまずジャンプ構成でしょう。今季はループ2本・フリップ2本にしていますけど、ループもフリップもあまり得意ではありませんし、2A+3Tを導入したことで得意のサルコウからの3連続も入れられないので、気持ちよくジャンプできる場所がほとんどありません。ものすごいストレスだと思います。
そのせいで表現部分に集中できず、ちぐはぐで盛り上がらないプログラムになっているのではないでしょうか。
こんなふうになるのであれば、ループかフリップをどちらか1本にしてサルコウ2本の構成にした方がましですよ。点数だってそんなに変わりません。
村上さんは”気持ちで滑るタイプ”なのですから、コーチや振付師のひとたちはプログラムからできるだけストレスを減らしてあげるべきです(ルッツがないので構成を組むひとも苦労しているでしょうけど…)。
スカっとした演技のあとのくしゃくしゃな笑顔、そういう村上佳菜子をみんなが待っているのです!

SP4位からどれだけライバルの宮原さんを脅かすことができるのか、猛追が楽しみな本郷理華でしたけど、冒頭の3F+3Tで回転不足(ダウングレード)の転倒。めったに転ばない選手だけに驚きました。
本人も焦らなければいいが…、と外野が心配するなか、本郷さんは次の3Sを片手タノで鮮やかに決めると、3Lzも落ち着いて着氷(エッジは微妙)。この切り替えはさすがです。
そしてキャメルスピンからのステップシークエンスでは明るい笑顔と大胆な動きと細かいステップでの『リバーダンス』。
後半も2A+3T+2Tを決めると笑顔がこぼれ、3Loも跳んで、コンビネーションスピンのあとの3Fはバランスを崩しながらもどうにか着氷。
コレオでも細かくステップを踏んでのこれでもかとリバーダンス。スタミナが衰えないのも本郷さんの強み。
最後は2A+2Tをしっかり着氷して、集中したコンビネーションスピンで村祭りが華やかに終幕。
FSは117.51(58.00・60.51)、合計181.78。
ジャンプがちょっと不安定で、回転もぎりぎりな感じであまりスコアは伸びませんでしたけど、演技全体はブラッシュアップされているので、世界選手権が楽しみです。
きっちり合わせてきてくれると思います!

有力選手があまりスコアを伸ばせないなか、余裕を持ってリンクインしたのはSP1位の宮原知子。
優勝はほぼ間違いないといっていいでしょう。あとは世界選手権に向けて、どれだけ存在感を高めることができるかが見所です。
『ため息』の出るようなうっとりした表情から、まずは3Lz+2T+タノ2Loを勢いよく決めると、スケートを軽やかに伸ばしての3Loも成功、ステップシークエンスでは正確なターンと軽快な足さばきで一陣の微風のような舞。
そのままの流れで3Fをびしっと着氷し、代名詞の逆回転スピンで前半をしめると、まだ見ぬ理想の相手に向けてのキス、そして明るい未来へと強く踏み出すような加速からの後半3Lzも決めた!
これで完全に流れに乗った宮原さんは、完成度の高い2A+3T、音楽にびったり合ったキャメルスピン、ウォーレイからの3Sも余裕、深いエッジで滑りを魅せてから、強さを証明するかのような2A+3Tも決めた!
そして終盤だというのにまったく隙の無いコレオ、最後は正確無比のレイバックで圧巻の内容、パーフェクトの一言!
いやあ本当にすごい、堪能させてもらいました、ありったけの『ため息』がこぼれました。
FSは142.43(74.89・67.54)でパーソナルベスト、合計214.93もパーソナルベスト!
もちろん優勝は宮原さんで、初の国際選手権制覇!
そしてこれは今後もいくつも取るタイトルの始まりにすぎない!

スコアも凄いんですけど、それよりも何よりも、本当に濃い演技内容でした。
技術が正確なだけではなく、滑りも技術要素も表現部分も、”より大きく、より速く、より強く、より美しく”と、宮原さんがフィギュアスケートを突き詰めていっているのが痛いくらいに伝わってきます。しかも、そんななかでミスがまったくないのが本当に凄い。
ノーミスはノーミスでも、守りに入ったり、部分部分で休んだりするのではなく、攻めに攻めて、一瞬たりとも気を抜かないノーミスの演技なのですから、まさに”パーフェクト”です。
宮原さんはこの日だけではなく、常に上を目指す姿勢で試合に臨んでいるので、試合の度に成長しているのがわかります。
この『ため息』も、シーズン序盤に比べてスケール感と物語性が数段増しているといっていいでしょう。
小柄な体格というハンディをたゆまぬ努力で克服してゆく宮原知子の姿にはいつも圧倒されるばかりです。
その姿勢こそが、”ミス・パーフェクト”たる由縁なのでしょう。
惚れ惚れします。

そんな宮原さんですから、次の世界選手権では世界中のフィギュアファンを虜にするに違いありません。
スコア的にも世界のてっぺんは見えている。
ロシア勢よ、震えて待て。
これが日本女王の実力だ!
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