『真田丸』第9話、『駆引』

5話目から信長亡き後のいわゆる〈天正壬午の乱〉が続く『真田丸』ですが、その間ずっと真田昌幸(草刈正雄さん)があっちについたりこっちについたりを繰り返しているので、1話見逃したらわけがわからなくなりそうですよね。
この9話でも昌幸は「信濃を大名のない国にする。国衆の寄り合いによる国を造る!」と一度は決意したものの、北条の勢いの前にそれも徐々に揺らぎ始めます。
そんなとき、北条と対立し、新府(甲府)にて窮地に陥っている徳川から助成を頼む書状が届き、それに応じる昌幸。
真田と小県の国衆たちで軍議を開き、どうやって北条に打撃を与えるか話し合っているなかで、「小諸を抑えて兵站を絶つべき」との策を具申したのは昌幸の次男・信繁。
そして、その策が見事に当たり、自分たちの兵を損なうことなく北条を退けた真田たち国衆でしたが、喜ぶのも束の間、徳川と北条が和睦し、同盟関係を結んだことで、その立場は微妙なものになるのでした。

この9話『駆引』は、北条氏政役の高嶋政伸さんの怪演と、家康役の内田聖陽さんのはっちゃけた芝居で、ややこしい情勢変化でも妙に説得力のある回でした。
両大勢力に挟まれた真田(と小県)のちっぽけさも際立ち、昌幸の苦悩が伝わってくるという意味でも、今後を暗示する回だということができるでしょう。
「北条を退け、徳川も追い出して大名となる」という昌幸の密かな目論見が成就するのか、また、「寄り合いによる国造り」という方便で糾合した小県の国衆たちにあとでなんと言い訳をするのか、国衆のリーダー格である室賀正武役の西村雅彦さんの芝居とともに今後の楽しみにしたいところです。

と、まあそんな感じで、話の大筋はまずまず面白い回だったのですが、そこに水を差していたのが主人公の信繁(堺雅人さん)。
前回、海津城の春日信達を調略に見せかけて騙し討ちしたことを強く悔いてひどく落ち込み、うじうじとしてばかり。
それを慰める幼馴染の梅(黒木華さん)といい雰囲気になってウキウキしているところに、もうひとりの幼馴染であるきり(長澤まさみさん)が焼き餅を焼くという場面もお手軽な筋書きと描写で、やっつけ仕事にしか見えませんでした。
主人公の信繁はこの段階ではまだ若いので、史実では大筋に関わってきませんから、出番は”創作”になるのでしょうけど、もうちょっと気合を入れて話を書かないと、信繁パートだけ下手に浮いちゃって、主演の堺さんが可哀想です。
ラブコメをするのだとしても、観ているこっちが恥ずかしくなるくらい、もっと思い切りやってください。
芸達者な堺さんと黒木さんにやらせたら絶対に面白くなりますよ。むしろ見てみたい。
(長澤さんに関してはどうしたらいいのか私にはわかりません。エキセントリックな役柄にしたのは失敗だと思います。単純な美人でよかったのではないでしょうか。)

ちなみにこの9話は視聴率16.6%という『真田丸』のワースト記録になってしまいました。
天正壬午の乱の信濃は各勢力が入り乱れ、昨日の味方は今日の敵といった、ややこしい状況に陥っていますから、視聴者もなかなかわかりづらいと思うんです。
しかも、コメディパートがあまり面白くないのですから、どうしたってお客さんは離れてしまいます。
いまの天正壬午の乱のあたりは”中だるみ”の時期であることは間違いありません。大河は”史実”がベースになっていますから、どうしたってこういう時期が出来てしまいます。
ですから、ここはさっさと切り上げて、秀吉の登場によって舞台を大きく転換させ、真田と徳川の対立が深まってからの上田合戦に時間を存分に使うべきなのではないでしょうか。

脚本家の三谷幸喜さんからすれば、この中だるみの時期こそ自分の腕の見せ所なのかもしれませんが、上手くいっているとは思えません。
でも、本筋の方ばかりに重点が置かれれば、せっかく三谷さんを起用している意味もなくなってしまいますし、ほんと難しいところですよね。
”三谷幸喜×堺雅人”という掛け算の予定が、なんだか全体的に引き算になってしまっています。
せめて掛けたあとに引いてくれればいいんですけどね…。
『駆引』ならぬ”掛け引き”、なんちゃって。
おあとがよろしいようで。
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