変化が出来ない雰囲気を否定する

2011年の八百長問題以来、あまり大相撲中継を観なくなった私ですが、取り組みや結果はニュースで追っているので、”大一番”となればやっぱり気になるものです。
その大一番でいえば、この2016年大阪場所のそれは間違いなく11日目の白鵬×稀勢の里。
全勝の大関とそれを1敗で追う横綱の直接対決は、稀勢の里が勝てば優勝と来場所の綱取りが見えてくるだけに、大相撲ファンならずとも注目の大一番でした。
それなのに稀勢の里は立ち遅れて待ったをかけ、やり直しとなった立ち合いは気迫が乗らなかったのか、白鵬に一気にやられて、本当に情けなかった。もうがっかりです。
稀勢の里は以前から”待った”が多すぎます。自分の呼吸でなければ立てないなんて、横綱を狙う以前の問題ですぜ。

私はそんな稀勢の里に以前から大いに不満を持っていたのですが、今場所はかなり見直していたんです。
9日目の琴奨菊との対決で、立ち合い軽く右に変化して、そのまま突き落としで勝った相撲を見て、私は稀勢の里が琴奨菊を取り巻く妙な空気を否定したと思いました。
先場所、日本人(出身)力士として久しぶりに優勝した琴奨菊は今場所が”綱取り”。
日本人横綱の誕生は18年もご無沙汰ということで、メディアはこぞって囃したて、相撲関係者もそれを後押しするような発言ばかり(※NHKの相撲解説で雅山が「今場所の琴奨菊はよくない」とばっさり斬って捨てたのは立派でした)。
みんなで「琴奨菊を横綱にしよう!」は本当に気味が悪かった。
先場所も連勝を続ける琴奨菊に唯一の黒星をつけた豊ノ島が取組後に「外を歩けない。防弾チョッキないかな」とのコメントを残していましたけど、対戦相手に気を使われながらの優勝とか綱取りとか、そんなのが見たい相撲ファンがいるとは私には思えません。

そんな雰囲気ですから、先場所から琴奨菊相手には誰も立ち合いに変化をつけられません。
あの琴奨菊の鋭い踏み込みからの寄りをまともに食らわねばならないわけです。
相手がサンドバックのように立っているのですから、琴奨菊はさぞ気持ちよかったことでしょう。
しかし、こんな馬鹿馬鹿しいことはありません。
相撲の立ち合いは技術もそうですけど、心理戦の意味合いもあるわけです。
力士たちはもちろん、多くの相撲ファンも(上位力士の)立ち合いの状況というのは、何場所も憶えているものです。
過去に一番が布石になって、「今日はどうなるのか…」とあれこれ想像することが面白いわけです。
立ち合いがいつも真正直にぶち当たるだけなら、それはもう相撲じゃありません。
稀勢の里は大相撲を正常化させたと私は思いました。
10日目から琴奨菊と当たる相手は、どれも肩の荷が下りたように自由な立ち合いをしていました。
私は稀勢の里にこそ今場所の殊勲賞を上げたい気持ちです(大関なので本物はもらえませんけど)。

話は少し変わりますが、昨年メジャーリーグでイチローがマウンドに立ったことがちょっとした話題になりました。
メジャーではブルペンを休ませるために時折野手が投げることがあって、イチローも「夢が叶った」とばかりに興奮したようですが、いざ投げてみると、スピードもあまり出ずに直球が簡単に打たれて本人もショックだったようです。
しかし、そのとき興味深いことがあって、2打者目の途中にイチローがスライダーを一球投げたら、相手の打者のスウィングが急におかしくなったんです。
ようするに「イチローには直球しかない」と思っていたのに、変化球も持っていたので、両方のタイミングで待たなければならず、自由にバットが振れなくなわったわけです。
そうするとさっきと同じ直球に詰まってしまうのですから、本当に面白かったです。

このように対戦型のスポーツというのは、”いかに相手の自由を奪うか”というのが重要なわけです。
それが技術戦であり、心理戦なのです。
直球のみを相手に強要するのはスポーツではありません。
やりたいのならばチャリティーマッチか花相撲でどうぞ。

私は”相撲の変化”を認める立場ですし、”変化は食らう方が悪い”という考えです。
ですから、今日の千秋楽で白鵬が日馬富士相手に変化して勝利したことも、日馬富士に問題があるとしか思いません。
ただ、そんな私でも許せない変化があります。
それは苦し紛れの変化です。相手の恐れての変化です。
野球でもそうですけど、投手がびびって四球を出す姿ほど情けないものはありません。
変化云々よりも、闘争心のない相撲を批判しましょう。
そこにこそ八百長の温床があるわけですからね。
また、相撲(興行スポ―ツ)には”片ヤオ”という嫌な言葉があります。
これは興業のために、”勝たせたい選手”に本人がわからぬよう、周りが星を譲ることをいいます。
変化をさせない雰囲気作りはこの片ヤオそのものです。

来場所も、白鵬や稀勢の里が何の迷いもなく変化することを祈っています!
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