2016世界フィギュア女子SP(後)、アメリカはエゲツナイ

(続きです。)
昨季の世界女王トゥクタミシェワの不調により、ロシアのエースになるはずだったエレーナ・ラジオノワ。
しかし、どうしたわけかGPFからロシアスケート連盟の寵愛がメドベデワのものとなり、一転して2番手扱いに。
それ以降、表彰式で笑顔の消えたラジオノワですが、悔しさをバネにして演技はかえって安定感を増し、ミスもほとんど犯しません。それなのにメドベデワに勝てない。向こうもノーミスなのです。
ただ、ノーミス同士なら格上が勝つというのがフィギュアの暗黙の了解なので、ノーミスで負けるというのは格下という烙印を押されているも同然。世界ジュニアを2連覇し、世界選手権でも銅メダルに輝いた自分がなぜメドベデワの下に付かねばならぬのか、ラジオノワの心中はさぞ複雑なものがあるこでしょう…。
それを晴らすには勝つしかない。ノーミスを続け、相手のミスを待つしかない。
そんなふうに始まったラジオノワのSPですが、冒頭の3Lzがちょっと斜めになるも上手く制御して+3Tに。
独創的なスピンで会場を驚かせ、『ジュ・テーム』を激しく歌いながら入った後半の3Fは着氷で体が折れる感じ、2Aはまずまず。
ステップシークエンスでは上体の大きな動きでより情熱を膨らませ、気持ちの籠ったレイバックスピンでフィニッシュ。
演技後のラジオノワの瞳には、ほっとしたのか薄っすら涙が浮かんでいました。
この緊張感のある舞台である程度まとめたのは立派でした。 独特の雑さは相変わらずでしたけど気持ちだけは入っていましたよね。
SPは71.70(TES38.29・PCS33.41)。
今季の状況はラジオノワのメンタルを大いに成長させていると思います。負けん気の強さが本当に素晴らしい。このSPも胸に迫るものがありました。

上位選手が火花を散らすなかで、こっそり爪を研ぎたい本郷理華は冒頭の3Fを豪快に決めると、『キダム』のリズムを体全体で大胆に取りながら、キャメルとレイバックスピンを重ねてゆき、後半も伸びやかな3T+3T!2Aもよし!いい流れ!
ステップでもエネルギッシュかつ独創的な演舞を披露し、最後も豪快なウィンドミルからのコンビネーションスピンで鮮やかな印象を残しました。
息つく暇もないエンターテイメントで観ていて本当に楽しかった。大舞台での落ち着きと度胸のよさもさすが本郷さん。
本人も納得したように大きくひとつ頷いていましたけど、今季一番の内容じゃないでしょうか。
SPは69.89(38.29・31.60)でパーソナルベスト!
エッジに問題がある3Lzを外して、後半に3T+3Tを入れたのが高スコアの要因になったわけですけど、後半の3T+3Tだってリスクがあるんです。それを見事にやってのけた本郷さんの勝負強さには脱帽です。
FSでも何かやってくれそうな予感がしてきました!

私がこの世界選手権で優勝予想をするならば、本命には”宮原知子”を推します。
”ミスをしない戦い”ならば彼女に勝てる選手はいない。
日本人の細やかな感性から生まれた我らが機巧の女王が、金色のメダルを首にかけるときがやってきたのです!
という具合に応援する私とは違って気負った様子もなく、強い目力で滑り始めた宮原さん、冒頭の3Lz+3Tをあっさり決めると、正確無比のレイバックとキャメルスピン、目力をさらに強めてのステップシークエンスでもその動きの精巧さは変わりません。
いいときの自分のイメージをいつでもそのままリンクに現出させる彼女の能力は本当に異能。
3Fも思い切りよく跳び、ウォーレイからの2Aも的確、最後は代名詞の逆回転スピンで一糸乱れぬ演技の総まとめ。
いい意味でいつも通り。もう完璧です。安定感なんて言葉では説明しきれぬほどの完成度。彼女の技術とメンタルは鋼でできている。その正確性が凄味に繋がり、圧倒的な内容だったと思います。私ならここまででトップのスコアをつけますね。
ところが出てきた数字は70.72(37.21・33.51)。
日本人観客の「エー!」の声が聞こえてきそうでしたけど、私もスコアを見て「なんじゃこりゃ!」って叫んじゃいましたよ。
宮原さんとコーチが困惑するのもわかります。
おそらくフリップのエッジか回転不足(UR)なんでしょうけど、問題があったように私には見えませんでした(プトロコルではUR)。
これはもう単純に嫌がらせでしょう。
でも、それだけ他国からは宮原さんが脅威に映るということです。
FSではどれだけさとちゃんが恐ろしいか見せつけてやりましょう!

疲れ知らずのアメリカ観客の大声援のなか入場したグレイシー・ゴールドは、その期待が重荷なのか、ちょっと硬い表情。
そのせいか冒頭の3Lz+3Tはやや跳び遅れるも、上手くバランスを立て直しての成功。
得意のレイバックとキャメルはポジションの美しさと回転の伸びやかさが素晴らしい。
ただ、動きはやはりちょっと硬くて、いいときのように攻められません。
その原因は緊張もあるでしょけど、たぶん後半の3F。ここはエッジが正確ではないので、”!”(不正とまではいかない)に抑えたくていつも迷いが見られます。
この日も慎重な助走からエイヤ!とばかりに跳んだものの、アウトエッジにしか見えませんでした。エラーでしょうね。
次の2Aはやや突っ立ち着氷になりながらも乗り越えて、ステップシークエンスでは小股が切れ上がったような『エル・チョクロ』。
ちょっと勢いが物足りなかったですけど、今季成長した表現面は存分に披露していました(腕の使い方がよくなりました)。
そうして集中力を保ったまま最後は美しいコンビネーションスピンで拍手の渦を巻き起こしてのフィニッシュ。
演技後のゴールドのほっとしたような顔が印象的でした。全米女王のプレッシャーは凄まじいんでしょうねえ。
そんななか緊張した自分をよくコントロールして、どうにかノーミスに繋げる演技したのですから立派です。
ただ、スコアは70点くらいかなあ、なんて思っていたら76.43(40.51・35.92)。鼻水が噴き出しそうになりました。
まずはこのPCS。世界の表彰台に立ったこともなく、GPFにも一度しか出たことのないグレイシ―の今季のPCSは33~34点代ですけど、いったいどうしちゃったんでしょ。
それにTESだってわけがわかりません。要素の出来も抜群というわけでもありませんでしたし、何よりもフリップのエッジは見逃せない問題だと思いますぜ。
プロトコルで確認すると、3Fには”!”がついているものの、なんとGOEは+0.3。
私は完全に”エラー”(基礎点7割)だと思いますし、”!”がついてのプラスってのも初めて見ました。
あのジャンプ自体、慎重な助走からで出来栄えもよくなかったですしし、マイナスでしかるべきですよ。
もうプロトコル自体がイカサマの証明書といっていいでしょうね。
アメリカってときどきエゲツナイことしますけど、もうルールもへったくれもありません。
FSでもジャンプが抜けない限りグレイシーが優勝するんじゃないでしょうか。
2016世界選手権は、”疑惑の女王”が話題を独占しそうです。

グレイシーが作ったおかしな雰囲気のなか、それがまったく聞こえないような集中した表情でリンクインしたのは最終滑走のアンナ・ポゴリラヤ(ロシア)。
今季は不調でGPSはメタメタでしたけど、ロシア選手権から復調の兆しを見せているのでちょっと楽しみ。
『ヴァイオリンと管弦楽のためのボレロ』にのって勢いよく滑り始めたポゴリラヤ、冒頭の3Lz3Tは素晴らしい飛翔!アメリカ観客もこれにはワオ!
ポゴリラヤは若手には珍しくディープエッジで滑ることの出来るスケーターですが、その加速力を使って演技を膨らませてからの3Loもよし。
高身長が映える大きなフライングからのキャメルスピンで前半を終わらせ、後半の2Aは苦手だったはずなのにそれを克服してのターンからの鮮やかな跳躍。
手足の長さで迫力をつけるコンビネーションスピン、そして強く氷を踏むことでスピード感と緩急を作るステップシークエンス。
ここは力強く攻めながらも、丁寧に要素を積み重ねてゆく高い集中力。
最後のレイバックスピンも大きな体がより大きく感じる堂々のフィニッシュ!
全体の流れも力強く、淀みがなく、技術的なマイナスが少しも見られない圧巻の内容。本当に素晴らしかった。
体格の良さと、それを上手くコントロールしていることで、風格すら感じました(顔も迫力美人)。スケートスピードも若手だとピカイチなのでスケールも大きい。
私は以前からポゴリラヤは大器だと思っていましたけど、ここまでの選手だったのかと目から鱗が落ちた思いです。SPはナンバー1評価されるべきでしょう。
ただ、もちろんグレイシーのイカサマを超えられるわけはなく、スコアは73.98(39.77・34.21)。
GPSで酷い結果が続いたなかで、ここまで持ち直したことが本当に凄い。そのド根性に心から敬服します。
体型変化にもようやく慣れてきたみたいですし、これからもポゴリラヤから目が離せません。
FSではアメリカ人を凍り付かせて欲しいものです!

この結果、日本勢は宮原さんはSP6位、本郷さんが7位、浅田さんが9位。思ったより出遅れてしまいました。
ただ、上位とはそんなに大きな差があるわけではないので、FSで自分の演技が出来ればまだまだ挽回はできるはずです。
FSでもアメリカ勢に有利なジャッジがなされるでしょうけど(ロシア勢も)、大和撫子は逆境でこそ美しく咲き誇る花です。
その芯の強さを見せてやれ!
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト
プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード