2016世界フィギュア男子FS(前)、絶対王者のまさか

SPを終えて首位の羽生結弦110.56、2位フェルナンデス98.52、3位チャン94.84という並びになった2016世界フィギュア男子シングル。
羽生結弦がかなりのリードを取りましたし、FSでも世界最高得点を持っているのでかなり有利にも思われますが、いまの男子フィギュアの10点など、4回転のミスであっという間に詰まってしまいます。
そういう意味でも、FSもまたSPに続いてミスの出来ないギリギリの戦いになることでしょう。
そこで絶対王者羽生結弦がさらなる輝きを放つことに期待します。
また、SP4位の宇野昌磨も90.74という点数を持っているのですから、ミスなく滑れば表彰台だって夢ではありません。
では、日本男子のダブル表彰台を願いながらFSの様子を振り返ってみたいと思います。

開催国アメリカのマックス・アーロンは大声援のなか、4S+3T、3A+2T、3Loと揃えて上々のスタート。
鋭角的なスピンの後は彼らしくあっさりしたステップ、そしてシットスピンで気持ちを落ち着かせ、後半冒頭は勝負の4S!これをしっかり決めた!会場は大盛り上がり!
次は『白鳥』らしく羽ばたいてからの3A、3Lz+1Lo3S、もうこれは完全のゾーンに入った。2Aを跳んでからのコレオも伸び伸び、しかし最後の2Aで惜しくもステップアウト。
それでもホームの観客の期待に大いに応えたアーロンは熱狂のなか派手なガッツポーズ!
アメリカのお客さんも大満足だったことでしょう。
FSは172.86(TES93.16.PCS79.70)、合計254.14。
今季はGPSアメリカ大会で優勝したものの、それ以外の大会ではSPで出遅れてばかりだったアーロン。
そのSPがまとまるようになれば来季こそは飛躍のシーズンになるかもしれませんね。
 
アーロンが作った空気に乗っかりたい全米王者アダム・リッポンは冒頭の4Lzで回転不足になるながらもなんとか着氷。これには観客も大喜び。
リッポンも肩の荷が下りたのか3A+2T、どっしりしたシットスピン、両手タノ3Lzといい流れ。
ビートルズメドレーが『Get Back』になってからのステップでは体を上手くくねらせながら観客を離し、息を整えてからの後半3Aも決めた!
そこからは3F+3T、3Lo、イーグルを挟んでから3Lz+2T+2Lo、これまた完全にゾーン。
彼らしい正確なコンビネーションスピン、曲が盛り上がってのコレオでは大きなバレエジャンプで会場を盛り上げ、終盤の3Sも着氷すると、鋭いシットからのアップライトスピンで雄叫びフィニッシュ!
この会心の演技には、観客だけではなく、トップ3ボックスに座るアーロンとミハル・ブレジナもスタオベ。
要素を揃えただけではなく、工夫のある細かい繋ぎを散りばめたプログラムもお見事でした。観客を飽きさせませんでしたね。
FSは178.72(93.08・85.64)でパーソナルベスト、合計264.44もパーソナルベスト!もちろんこの時点で1位!
今季のリッポンは悲願の全米王者に輝いただけではなく、世界選手権でも素晴らしい内容でしたから、アメリカのエースの座をがっちり掴んだといっていいでしょうね。来季は4Lzの完成に期待!

そしていよいよ最終グループ。ここからが本当の勝負です。近年まれに見るハイレベルな戦いは一瞬たりとも目が離せません。

ジュニアではさほどの実績を残せぬまま今季シニアに上がったミハイル・コリヤダですが、ロシア選手権2位、欧州選手権5位という結果は誰も予想していなかったはずです。そしてこの世界選手権でもSP6位なのですからダークホース的存在といっていいでしょう。
FSでも4Tを鮮やかに決めてスタートすると、3Aはやや軸が斜めになったのを上手く抑え、3A+3Tはクリーン、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』にのってコミカルに繋いでからの大きな3Lz、3Loも的確。ジャンプの質が本当に高い。
顔も鬼瓦みたいですし、いいジャンプを跳ぶのでパワースケーターのようですが、スピンではビールマンポジション、腕や顔を使った芝居にも熱がこもっていました。
そして後半冒頭に3Lz+2T+2Loを決めると、3S+2A、2Aと連続成功!
サーカスのような動きを取り入れたステップ、ドーナツスピンの軟らかさ、演技を締めるコレオでは気持ちよさそうに滑ると会場からも手拍子が。アメリカ人もシャッポを脱いだようです。
見事なノーミスの演技 シニアデビュー年の世界選手権とは思えぬ本番度胸でした。フラヴォ!
振り付けやフットワークなんかはあまり難しいことはしていないんですが、プログラムの完成度が本当に高い。よく滑り込まれています。
こういう選手を隠しているのですからロシアフィギュアの懐は深いですね。
FSは178.31(93.67・84.64)、合計267.97。もちろんPBでリッポンをまくった!

スタンドに日の丸が翻り、日本語の声援が飛び交う。
まるで呪術か何かでアメリカボストンが日本になったようでした。
そんなリンクに舞い降りたのは狩衣姿の羽生”晴明”結弦。彼の持つ圧倒的な雰囲気こそが呪術なのかもしれない。
鬼の表情で能管の調べと一緒に空気をつんざくように滑り出した羽生結弦でしたが、冒頭の4Sで悔しいお手つき!
しかし次の4Tを鮮やかに決め、3Fも怒りをバネに変えたような飛翔。
ドーナツからビールマンへと変形する軟らかいスピンでも会場を沸かせ、ステップでは魔法陣を書くようにブレードに魂を込め、チカラを蓄えてからの後半4S!だったのですが、まさかの転倒でコンボならず!これは手痛い!
続く3A+3Tは稲妻のように決めるも、3Aから3連続は最初の着氷が乱れてオーバーしながらの+1Lo+2Sという珍しいミス。
気合が入っているのはいつも通りのように見えましたが、気負いや力身が勝っていたのかもしれません。
終盤も3Loは成功したものの、3Lzでお手つき、シットスピンに勢いを繋げられず、コレオでは盛り返したものの、悔しさが渦巻くコンビネーションスピンでフィニッシュ。
これは正直いってかなりやばい。基礎点を損ないすぎました。ジャンプのミスが多かったせいか演技面でもやや集中力が欠けているように見えましたし、本当に残念です。
FSは184.61(93.59・92.02・減点1)、合計295.17。
SPでのリードでまずまずのところまでスコアを伸ばせましたけど、これで優勝しても羽生くんには敗北感しか残らないでしょうね。
”絶対王者”への道はまだ半ばということなのでしょう。
しかし、悔しさこそが羽生結弦のエネルギー源。来季の彼は一回りも二回りも大きくなる!

羽生結弦についてですが、日本ではSP前の2度の公式練習でデニス・テンに曲かけ練習を妨害されたことが大きく報道されています。
SP後の羽生結弦はそのせいで「(気持ちが)ぐしゃぐしゃだった」と語っていたものの、その憤りをチカラに変えてSPで見事な演技をやってのけたのでしょう。しかしFSではそうはいかなかった。
これによってひょっとすると日本ではデニスへの批判が高まるかもしれません。
しかし、それは羽生結弦の本意ではないはずです。
羽生結弦はミスを他人のせいには決してしません。彼は誇り高い男です。
我々がデニスを批判することは、そんな羽生結弦の誇りを傷つけてしまうと私は思うのです。
羽生結弦と一緒にすべてを自分で呑み込み、我々ファンも、より強くより逞しく成長しようではありませんか!
(熱い戦いを楽しみに後編へ続きます。)
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