2016世界フィギュア男子FS(後)、悔し涙を明日に繋げろ

(続きです。)
SPは5位と出遅れたものの、4回転4本というFSがあればまだまだ表彰台が狙えそうなのは金博洋(中国)。
しかし得意の4Lzでステップアウトすると、4Sも汚い着氷、3A+1Lo+3Sはしっかり決めたものの、どうもジャンプのフィーリングは悪そう。
ステップシークエンスでは拙さを真面目さでカバーする滑り、『ヒックとドラゴン2』の曲調が優しく変化するのに合わせて気持ちを落ち着け、後半冒頭の4Tへ!ここは体がぐしゃりと折れるような着氷になるもなんとか堪えた!
そして慎重な助走から4T+2Tも食らいつくように降りると、アップライトスピンを挟んで3Lz+3T、じっくり助走をしてからの3Aもどうにか着氷。このあたりからかなり疲れ気味。
コレオもヘロヘロで激しい息遣いが聞こえてきそう、それでも3Fは降りるんですからまさにモンスター。  
締めのスピン2本も何とか回り切って演技を終えた金博洋は、ほっとしたような表情で小さく拳を握りました。
SP・FSを通して大きなミスがなかったのである程度の満足感があるのでしょう。今季がシニアデビューなんですからね。
FSは181.13(TES104.99・PCS76.14)、合計270.98。
ジャンプでの細かいミスが多すぎてほとんど加点が取れず、スコアはあまり伸びませんでした。これでは表彰台は厳しいでしょう。
金博洋は3種類の4回転を跳ぶモンスターですけど、ジャンプの完成度が低いのが気になりますよね。
4回転は基礎点が高いというだけではなく、GOEの稼ぎどころでもあるので、綺麗に跳ばなければその旨味は半減してしまいます。
来季はそこを磨いて、本当の意味でのモンスターになって我々を震え上がらせて欲しい!

羽生結弦の失速によって世界選手権2連覇への道が開けてきたのがハビエル・フェルナンデス(スペイン)。
しかし羽生結弦に勝つためにはFSで200点近いスコアが必要。これはフェルナンデスにとってもそう簡単ではありません。予定のジャンプ、特に4回転3本と3A2本は必ず成功させる必要があるでしょう。
そんなギリギリの戦いのなか、まずは冒頭の4Tを完璧に決めると、次の4S+3Tはフリーレッグを上手く捌いての成功、3A+2Tは軽々!抜群の序盤戦に私は早くも敗北感を覚えました…。
ステップでは持ち前のセンスで『野郎どもと女たち』の音楽を捉えた巧みな演技、深いシットスピンで前半を締めると、気持ちを込めるような助走から後半冒頭は勝負の4S!これをものの見事に決めた!お見事!
3F+1Lo+3Sも珍しくスムースに降り、欧州選手権(スペイン選手権か)から加えた3Aも気迫で持って行った!
3Lzもしっかり決めると、心も体も解放されたようになってコレオではもうノリノリ。スタミナもまったく問題なし!
最後の3Loを難なく降りると、しっかり踊りを入れてプログラムを盛り上げてからコンビネーションスピンを2本連ねて、最後もかっこよく踊ってから決めポーズで終幕!ブラヴォ!
ノーミスというだけではなく、演技面でも手を抜かず、持ち前の洒脱さも存分に発揮して、本当に魅せるプログラムでした。1本の映画になっていましたね。
この兄弟子の素晴らしい演技に羽生結弦もトップ3ボックスで降伏ポーズ。私もこれに倣います。
ほんと、もう脱帽するしかありません。まさに現王者の貫禄でした。悔しいですけど、ここまでやってもらったらスッキリしますね。
FSは215.41(118.05・98.36)でパーソナルベスト、合計314.93も堂々のパーソナルベスト!
やっぱりフェルナンデスは羽生結弦にとって最大最強のライバルです。
この2人が切磋琢磨することによって男子シングルのレベルが飛躍的に高まっているのも見逃せません。
あとに続く選手は本当に大変です。

そしてそんな王者たちの背中を追いたいのが、日本の誇る天才スケーター宇野昌磨。
ここはぜひPB(190.32)に近いスコアを出してメダル争いに絡みたいところ。
しかし冒頭の4Tで着氷が汚くなってのヒヤヒヤスタート、それでも2A+1Lo+3Fを鮮やかに跳んで立て直すと、3Lzも慎重にクリア。
ステップではつるつるよく滑るスケートで『トゥーランドット』の世界を鮮明にさせてゆき、 シットスピンとターンからのキャメルスピンでも技術の高さを見せつけます。
そしていよいよ後半、スピードを上げてからの3Loと3Sを軽々と跳び、音楽をじっくり練るような滑りでチカラを貯め、勝負を左右する4Tからのコンボへ!いけえ!
と、ばかりに私もボストンに念を送っていたのですが、ここで宇野くんは腹ばいの大転倒。体にもスコアにも痛い!
激しい転倒から気持ちでどうにか立ち上がるまだあどけない選手に会場からは励ましの手拍子、それに応えるかのように宇野くんは3Aを豪快に決めると、3A+3Tも気迫で着氷!これが宇野昌磨だ!才能だけの選手ではない!
コレオでは代名詞のリンボーハイドロで会場を沸かせ、最後も集中力を切らさぬコンビネーションスピンで意地を見せた宇野昌磨。
悔しい世界選手権デビューとなってしまいましたけど、負けん気だけはボストンの氷にしっかり刻み付けたと思います。
そうしてキスクラで泣き出しそうな宇野くんに提示されたスコアは173.51(87.93・86.58)、合計264.25。
この時点で表彰台はなくなったものの、羽生くんとの合計で13位以内が確定し、日本男子は”3枠”に復帰しました!
それにしても宇野くんは、全日本、四大陸、そしてこの世界選手権と、FSでの失速を繰り返していますから本当に悔しいでしょうね。
この原因はいうまでもなく4Tの成功率。
来季はそれを高めるだけではなく、4Sの導入も考えねばなりません。
宇野くんの眼前には立ち止まることが出来ない修羅の道が続きます。
涙をチカラに変えて駆け抜けろ!

フェルナンデスの314.93を前にして、最終滑走パトリック・チャン(カナダ)の心中はいかばかりか。
SPの差、FSの基礎点の差もあって、たとえパーフェクトでも逆転は不可能。
そんな状況でかつての絶対王者がどう滑るか、どう誇りを見せるか、準ホームのアメリカで恥ずかしい演技はできません!
…と思っていたんですけど、いきなり4T予定が3Tに抜けるミス、苦手の3Aは決めたものの、4T+3Tではステップアウトして壁に激突という波乱に満ちた立ち上がり。
それでもステップではどっしりとしたスケートと精密なエッジワークでショパンメドレーを緩急自在に操るのですからさすがの一言。他の選手とは技術が隔絶しています。
そうしてコンビネーションスピンもしっかり回って、立て直して欲しい後半でしたけど、冒頭がまさかの1A+2Tに。やっぱり3Aは鬼門ですね…。
3Lz+2T+2Loはバランスを乱しながらなんとか降り、3Loと3Sは意地で決めたものの、疲れが出てきたのか滑りが重くなってきて、シットスピンも緩み、最後のジャンプは2Fに…。
終盤のコレオも勢いが出ぬままにがっかり感が溢れるコンビネーションスピンで演技を終えたチャンは、うなだれるようにしてリンクを降りて行きました。
FSは171.91(7931.92.60)、合計266.75。
2月の四大陸で完璧なFSを披露してくれただけに、この大崩れは本当に予想外。今季は休養明けですから、気持ちの面でも体調の面でも、シーズンの持って行き方が難しかったのかもしれませんね。
しかし、四大陸のFSで4T2本3A2本の構成に手ごたえを掴んだのですから、来季の展望は悪くありません。
まだまだ怖いところを見せつけて欲しいですね。

この結果、優勝はフェルナンデスで2連覇!おめでとう!堂々たる優勝でした!
羽生結弦は悔しい2位。それもSPで10点以上離していたのに逆転されたわけですから、この屈辱たるやないでしょう。もうすでに来季に向けて大いに燃えているはずです。
3位の金博洋ですが、本人は演技が終わった後にメダルは諦めていたと思います。棚ぼたともいっていいかもしれません。けれども結果は結果。これを自信にしてさらなる飛躍をすればいいんです。来季は「オレは世界のメダリストだ!」って顔で滑って欲しいですね。
そして宇野くんは悔しい7位。いまは思い切り泣けばいいさ!涙のあとには虹も出る!
それにしても、この世界選手権といい、今季の男子シングルのレベルの上り方というのは驚くほどでした。
シーズン前は「誰が最初にSP・FSで4回転を計5本跳ぶのか」といわれていたのに、いつの間にかそれをしっかり揃えることが優勝の条件になってしまっているんです。
この調子だと来季もどれだけ進化するか誰にもわかりません。
わかっているのは”立ち止まったら負け”ということだけです。
本当に厳しい世界になってしまいました。
しかし、我らが日本男子で、その状況を恐れる者はひとりもいないはずです。
むしろ羽生結弦などは、進むならどこまでも進め、いやこのオレが進めてやる、くらいに思っていることでしょう。
この2016世界フィギュアは本当に悔しい大会でしたけど、その悔しさは来季への燃料に他なりません。
我々ファンも心のなかでそれを燃やし続けましょう!
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