流す涙と流さぬ涙

今日4月19日も夕方の熊本で震度5強の揺れがあったわけですけど、緊急の災害があった際には、とりあえずNHKにチャンネルを合わせる、という方も多いと思うんです。私も近くにテレビがあればそうしちゃいます。今回の熊本地震でもNHKのニュースはかなり占有率を記録しているのではないでしょうか。

今日の私はたまたま出先でNHKの7時のニュースを観ていたんですけど、一緒にいた相方が驚きの情報を教えてくれたんです。
なんと、番組のメインキャスターである武田真一アナウンサーは熊本市出身だというのです。
14日の地震発生以降、私も何度か7時のニュースやその他の緊急ニュースで武田アナウンサーを観ていたはずですけど、彼からいつもと違った様子というのは微塵も感じることができませんでした。
今日もそうであるように、どんなニュースだろうと、常に落ち着いたよく通る声で、情報を的確に伝えることに徹している武田アナウンサーの常の姿がそこにはありました。

しかし、よくよく見ると少しやつれたようでもありますし、番組終わりの挨拶の際には、感情がわずかに溢れ、なんともいえない表情を浮かべていました。
おそらく地震発生以降はNHKでの泊まり込みが続いて疲労も溜まっているのでしょうし、その合間を縫って、熊本の家族や親戚、友人と連絡を取って、メンタルも擦り切れていることでしょう。
連日、現地から届けられる映像では、懐かしい故郷が無残に破壊され、同郷のひとびとが余震に怯え、打ちひしがれている。
今すぐにでも熊本に飛んでゆきたいという気持ちをぐっとこらえ、現地のひとびとへは注意を喚起し、国民には惨状を的確に伝えるという己の任務をぶれることなく全うしている男の姿に、私は熱いものを感じました。
彼が、「アナウンサーが感情的になってはいけない」、と自分にいい聞かせ、連日連夜、涙を押し殺しながらカメラの前に立っていることは想像に難くありません。
テレビのアナウンサーといえば、個性と間違えて、クセや臭いをまき散らす自己顕示欲の強い輩が多いものですが、この武田真一というアナウンサーは、技術も天下一品ならば、人間性もそれと同じくらい気高いものを感じます。

そんな”涙”ですが、感情とともに思わず溢れだすそれはまた美しいものです。
鹿島アントラーズの植田直通(21歳)は、16日の試合後のお立ち台で、インタビュアーから故郷熊本の話を振られると、言葉を詰まらせ、目頭を押さえながら、顔をくしゃくしゃにしていました。
そして、「僕にはサッカーで勇気づけることしかない…」と言葉を絞り出したときに溢れだした一滴。
それは若者らしい美しい涙でした。

そんな植田ですが、19日には、チームメイトのキャプテン笠原満男と選手会長の西大伍とともに、熊本県内の避難所を慰問したそうです。
鹿島といえば3・11で被災したクラブですし、小笠原(盛岡市出身)は高校時代を過ごした大船渡や東北のためにいまでも支援活動を続けています。
もちろん、いまはリーグ戦の真っ只中ですから、試合と試合の合間とはいえ、一泊二日という強行軍の慰問は、コンディショニング面への影響は避けられないと思うんです。
それでもクラブ側が許可をしたのは、行かせなければ植田のメンタルがおかしくなると判断したのかもしれませんが、行動をともにした小笠原たちといい、クラブの判断といい、鹿島アントラーズは本当に熱いチームですね。

流す涙もあれば、流さぬ涙もある。
しかし、どちらも一本筋が通っている。
音に聞く”肥後もっこす”というのを見た思いがしています。
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