信州ラーメンについて考える

今日5月15日(日曜)の長野市は、初夏を思わせる暑さで、冷やし中華でも食べたくなってきたところですけど、今回はちょっと”信州ラーメン”なるものについて考えてみたいと思います。
それというのも、昨日の朝、テレビ番組を観ていたら、信州ラーメンの特番をやっていたんです。
番組の副題には”信州でラーメン店 急増の理由”と銘打ってあって、レポーターが長野市にあるいくつかのお店を巡って店主さんに話を聞いたり、信州大学の准教授(学部不明)の考察を流したりして、それを分析しようとしていたわけです。
私も2009年に長野市に越してきましたけど、確かにラーメン店は毎年のように増え続けていますし、全国メディアで「信州ラーメン」という言葉が取り上げられることもちらほらあるように思います。

信州にラーメン文化が生まれなかった理由は、ここがいわずと知れた”そば処”であること、そして歓楽街が少ないことが挙げられると思います(飲んだあとのラーメンですね)。
その信州でなぜラーメン店が急増しているのか、私もそこには興味があります。

そんななか、県内で12店舗もプロデュースしているというその筋で有名な人物は、「県内のお店の横の繋がりを作って、情報交換をしたり、県内外でイベントをやったりしているんです」と、語っていました(※私の記憶ですから、細部の違いはあるかもしれません)。
これは私も知っています。〈信州麺友会〉という、比較的若いラーメン店主さんの集まりのはずです。たまに行く店でもその組織のポスターが貼ってありました。
コラボイベントなんかも積極的に行っているようですし、この組織のがんばりが信州ラーメンを活気づけていることは間違いないと思います。
それによると、「県外でのイベントも人気で、信州ラーメンも知られてきた」そうですから、本当に大したものです。
また、信州大学のラーメン好きの准教授は、「信州のラーメンは歴史が短い。だから逆に自由な発想でラーメンを作ることができる」と分析し、信州には「イノベーティブなラーメンが多い」と太鼓判を押していました。

ようするに、若くてやる気のあるラーメン店主さんたちが、”独自”のラーメンをこしらえることで、いま信州にはラーメンブームが訪れているということですかね。
この分析はだいたい当たっていると思います。
ただ、私は准教授の話にある「イノベーティブなラーメン」という言葉には大いに疑問を感じているんです。
イノベーティブというのは”革新的”という意味でしょうけど、残念ながら私は長野県で革新的なラーメンというのは食べたことがありません。
どこかで食べたことがあるもの、どこかで見たことがあるものばかりです。
全国のどこにも見られない食材や調味料、技法というのは、”ない”といっていいでしょう。
(※私は北信エリアに限れば、特集本に載っているようなお店にはほとんど行ったことがあります。)

ただ、若い店主さんたちががんばっていることは確かです。これは絶対に評価しなければなりません。
新しいお店は、どこも質の高い材料を使って、下ごしらえから本当に真面目に作っています。
どの店の暖簾をくぐっても、高い満足を得られると、私も断言します。
しかし、もし県外から来られた方が、”信州らしいラーメン”を期待するならば、それに応えるお店は少ないといわざるを得ません。
もちろん、”味噌ラーメン”は別です。これは一定の信州らしさを感じることができます。
けれども、味噌ラーメンが主体のお店というのはあまり多くないんです。
若い店主さんたちの志向も味噌ではなく、醤油にあります。

実は信州ラーメンといっても、”これ”といった定義はありません。それを准教授は「自由」と評したのでしょう。
また、上に書いたラーメンプロデューサーの方も、「信州ラーメンのイベントは盛況だ」というものの、「信州ラーメン(の味)が人気だ」とは一言もいわないのです。
私はそこに信州ラーメンの限界を感じています。

全国的に人気と知名度を得る”ご当地ラーメン”というのは、どれもみな”個性的”なものです。
熊本ラーメン、博多ラーメン、徳島ラーメン、喜多方ラーメン、札幌ラーメンなどといった有名どころは、みな独自の型を持っていて、誰もがその味や見た目を簡単に想像できます。
その”個性”というのは、その土地の気候風土や食の歴史、そしてひとびとの好みが作りあげたものです。
それを他の地域のひとは”珍しい”、”革新的だ”と思うわけです。
ようするに、決して”自由”のなかからは生まれないのです。

しかし、残念ながら信州ラーメンには型がありません。これでは全国にその名が轟くことはないといっていいでしょう。
ですから、私はぜひ信州の若い店主さんたちには、自分が生まれ育った土地をもう一度振り返って欲しいのです。
たとえば、いま、隣県の新潟県では豚ガラベースに生姜の風味を利かせた長岡ラーメン、背脂たっぷりの三条ラーメンなどが注目されていますよね。両方歴史のあるものだそうです。
新潟は豚肉の消費が多いのでラーメンにも使うのでしょうし、雪国の寒さに負けないよう生姜や背脂が足されるということなのでしょう。
しっかりとしたご当地ラーメンの型を持っていて、正直いって羨ましいです。
信州のラーメン屋さんはよく勉強していて、首都圏での流行りなどにも敏感ですけど、それだけでは”信州ラーメン”にはなりません。
全国のご当地ラーメンから、その個性を学び、自分たちのそれはいったい何なのかを突き詰めてゆくことが大事なと思うのです。
真面目な信州の若手たちならば、絶対に出来ます。
というより、ぜひやり遂げて欲しい。

個人的には〈さくら木〉さんに期待しています。
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※私が思うキーワードは、醸造文化、蕎麦文化、大食い文化です。
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