松山英樹が失ったものと奪いたいもの

昨日7月4日(アメリカ時間3日)、アメリカツアー参戦中の松山英樹がリオ五輪ゴルフ代表を辞退すると発表しました。
男子ゴルフでは、ジェイソン・デイ(オーストラリア)やアダム・スコット(オーストラリア)、ローリー・マキロイ(イギリス)やブランデン・グレース(南アフリカ)といった多くのランキング上位者が”ジカ熱”や”治安”への不安から不参加を表明していたので、それに続く格好です。
松山は以前からあまり五輪への意欲を見せていなかっただけに驚きはあまりありませんが、他の選手は6月には決断をしているので、ぐずぐずした印象はぬぐえません。
会見では、「自分は虫刺されに極度の反応が出る」といって、蚊を媒介にするジカ熱がブラジルで流行していることを一番の理由のように語っていましたけど、”蚊に弱い”って、そもそもゴルフに向いていないような気もしちゃいますよね…。

このジカ熱は報道も多くされているように、高熱が出るだけではなく、妊婦がこれにかかると小頭症の赤子が生まれる可能性があるという恐ろしい感染症です。屋外で4日間もラウンドをさせられるゴルフ選手たちが尻込みするのも当然でしょう。
しかし、興味深いことに、”女子選手”はほとんど辞退者を出していないんです。世界でも日本でも出場に意欲を見せている選手の方が多いといっていいでしょう。出場権獲得には世界ランキングが影響するので、いまも熾烈な争いが繰り広げられています。
けれでも、ジカ熱への懸念でいえば女子選手の方が大きいわけで、これって本当はおかしいですよね?

男子はリオへは行きたくない。女子は行きたい。
この差をわけるのは、ゴルフツアーの男女格差です。
男子ではメジャータイトルを獲ること、ランキングを上げることがすべてです。
そのことによる栄誉や報酬というのはなにものにもかえがたいというのが男子のトッププロの共通認識なんです。
色んな労力を使う五輪はツアーに影響を与えるのは確実ですから、出場したくないに決まっています。
対して、女子のツアーには男子ほどの権威もなく、賞金も半分ほどなので、そこへのこだわりも半減してしまうといっていいでしょう。
おそらく女子選手は五輪のタイトルをメジャー以上のものと考えているはずです。
大きなリスクを払ってでも奪う価値があると考えているわけです。
五輪のゴルフでいうと、男子は112年ぶりですけど、女子は”初めて”なのも魅力なのではないでしょうか。

結局、プロ選手というのは、自分に”利”があるかどうかなんです。
五輪で金メダルを獲ることが、メジャータイトル以上に注目され、賞賛され、スポンサーも喜ぶならば、男子だって積極的に参加するはずです。
なぜなら、男子でもアメリカではいまのところ出場辞退を表明しているトップ選手はいないんです。
これはアメリカでのゴルフ人気(視聴率)低迷もあって、ゴルフ協会もスポンサー筋もリオ五輪を起爆剤にしたい意向があるからだといわれています。
これも”利”です。

私は、プロなのだから”利”を追うのは当然だと考えています。そこにいい悪いはありません。
ですから、辞退するにしても、ジカ熱だの治安だのではなく、「メジャータイトルに集中したい」の一言でいいと思うんです。それは国を代表して五輪で戦うことと同じくらい大きな意義のあることです。自国の選手がメジャータイトルを獲ったら、どれだけその国とその国のゴルフ界が活気づくか知れません。
メジャー制覇を目指すことは、決して利己主義ではないんです。

ただし、五輪を辞退するということは、五輪種目としてのゴルフを成長させて行こうという流れに反するものであることは自覚せねばなりません。
仮にリオ五輪でゴルフが非常な盛り上がりを見せ、大きく人気を博しても、それを横目に見ているしかないわけです。
もちろん、「次の東京五輪に出たい」とは決していってはなりません。
ですから、松山英樹にも次期五輪開催国のエースとしての葛藤があったと思うんです。
リオを辞退しておいて、東京だけ出る、というのがどれだけ恥知らずな行為かわかっているだけに、決断の遅れがあったのでしょう。本来ならばリオ五輪に参加し、そこでの改善点を東京に繋げてゆくのがエースの役割なのですから…。

こうして松山英樹は大きなものを失いました。
しかし、それは日本人初のメジャー制覇のための供物なのです。
出場辞退への世間からの批判、日本ゴルフ界からの悪意等々もあるでしょうけど、それすらも力に変えて、ぜひ夢を叶え、我々を喜ばせて欲しいものです。
それが日本男子のエースの座を放棄した義務ってものです。
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト
プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード