ロシアのドーピング問題と五輪の終わり

私は昨日、”IOCはロシアを国全体としてリオ五輪から排除する可能性が高い”と書いていただけに、トーマス・バッハIOC会長が「国家の責任と選手個人の権利のバランスを取る」(24日スイス)として、ロシアのリオ五輪出場を全面禁止しなかったことは、正直いってかなりの驚きでしたし、選手個々の出場の可否を「各競技連盟に任せる」としたことには、心底呆れました。

この他にも、バッハ会長は、「ロシア国外にある機関でドーピング検査を受けること」、「過去に陽性反応が出た選手は出場不可」、「WADAの報告書で疑惑が指摘された選手も出場不可」といった条件を挙げて、ロシア選手へは厳しく対応するという姿勢をアピールしていましたけど、リオ五輪まで”残り11日”しかないのにドーピング検査の結果が出るわけはないのですから(通常は数週間)、各競技団体だって何を基準に可否を決めたらいいかわかるわけはありません。
もし、ロシア選手を出場させて、競技後に陽性反応が出たら、責任は誰が取るのでしょう?
IOCのやり方は、各競技連盟に責任を丸投げしているようにしか見えません。

今回のIOCの決定に対し、ポーラ・ラドクリフを始めとした複数の欧米のオリンピアンはすぐさま批判的な声を上げました。
「悲しくて酷い」、「責任逃れ」、「日和った」、「不公平だ」。
どれもその通りだと思います。
ここ数年、IOCはドーピングに厳しい姿勢を見せ、それを誇っているようなところがありましたけど、その全ては終わりました。
何せ、今回はWADA(世界アンチ・ドーピング機関)が「ロシアの全選手をリオ五輪に参加させるべきではない」と勧告したにも関わらず、それを無視する格好になったわけです。
IOCとWADAの関係も根本から崩れたといっていいでしょう。

今回のIOCの決定は、”国ぐるみのドーピングに関しては処罰しない”という方針を示したようなものです。
ドーピング検査というのは、WADAが直接行うものではなく、WADA憲章とユネスコの国際反ドーピング条約を批准した各国の反ドーピング機関が行いますから、そこが当該国政府によって恣意的にコントロールされてしまえば、もはや検査も何も意味をなしません。
ロシアが自国開催のソチ冬季五輪で組織的に検体をすり替えたという疑惑は、まさにこれです。
ちなみに今年の5月にはケニアのドーピング検査機関もWADAのコンプライアンス委員会において、「不適格」との宣告を受けていますし、ジャマイカのそれも度々不備が指摘されています。
ことはロシアだけの問題ではないのです。

”国ぐるみのドーピング隠し”というのは喫緊の課題ですし、これから先のドーピングはより高度な科学技術を基にしたものになるといわれているのですから、その研究開発ももちろん”国ぐるみ”になります。
IOCが戦わなくてはならないのは、邪な考えを持ったいくつかの国なんです。
それから目を背けて、個々の選手を取り締まるだけいうのは、ただのポーズであり、欺瞞です。
このままでは五輪は国同士のドーピング競争になってしまいます。

今回の決定は五輪の権威そのものを失墜させたといっていいでしょう。
責任を丸投げされた各競技団体は、五輪にかわる新たなスポーツの祭典を模索した方がいいかもしれませんね。
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