『THE ICE』2016(後)、10周年おめでとう!

(続きです。)
ダンスのマディソン・ハベル& ザカリー・ダナヒューは動きの激しいダンスナンバーをエネルギッシュに演じていて、実力の高さを証明していました。
女性のハベルは一見細身の美女なのですが、太腿がスピードスケートの選手のように逞しく、そこから繰り出される加速や安定したスケートが彼女の持ち味といってところでしょうね。
男性のダナヒューは、ハベルというゴージャスな絵画の美しさを際立たせる完成度の高い額縁といった風情。スタイルの良さ、姿勢の美しさ、技術の高さという三拍子が揃ったいい選手です。
今季は試合でも大いに注目したいです。

地元イタリアの『Opera on ice』でもプリマ・ドンナの地位にあるというカロリーナ・コストナーは、この『THE ICE』でもオペラを選曲し、その完成されたボディコントロールと端正な滑りによって、曲の格調を完全に自分のものにしていました。
会場はそんなプリマ・ドンナの滑りに心を奪われ、咳をする音のひとつもしない、集中した雰囲気。”いつまでも観ていたい滑り”とはまさにこのことをいうのでしょう。カロリーナ・コストナーの支配力には脱帽です。
このひとがいるだけでショーの格がひとつもふたつも上がりますよね。
また来年もぜひ!

美しいドレスを身にまとったコストナーの次に登場したパトリック・チャンは無地のTシャツにジーパンというユニクロ衣装。この落差はアイスショーならではです。
しかし、チャンは滑りの美しさや人気ではコストナーに引けを取りません。男子選手では一番歓声が大きかったかも。
そしてつるつるつるよく滑るので、違う氷の上で滑っているみたい。マルーン5の『Sunday Morning』のカッコよさがぐっと引き立ちます(衣装はアダム・レヴィーン風ですね)。
スケートだけではなく、動きも完成されているので、チャンのことはフィギュアサイボーグとでも評したくなるんですけど、この日もそうだったように、ジャンプが壁際すれすれになったり、演技中に思わぬハプニングがあるので、そこに人間味を感じます。色んな意味で目が離せない選手ですよね。
彼もまたショーの格を上げる存在です。この日もよかったあ。

そして大トリはもちろんこのひと浅田真央。
この日の演目は今季のSPらしいというのは私も事前に情報をキャッチしていたので、チャンが引いて、舞台が暗転したときから、緊張はもうマックスでした。
そして、照明が灯り、浮かび上がった浅田真央の衣装に、会場全体が震えます。
黒い鳥の羽を集めたような前衛的な衣装で、メイクもアイラインをきりっと引いた激しいもの。こんな浅田真央はいままで観たことがありません。
これまでにないといえば、曲調もそうで、この『Ritual Dance』(バレエ音楽『恋は魔術師』より)のピアノはとても難解。
そんななかで浅田さんは2Aから入ると、3F+2Loはフリップの開きが早すぎて軽くステップアウト、キャメルスピンのあとでひとつ跳ねるような振り付けがあって、後半出だしの3Loは成功。
ビールマンスピンとY字のコンビネーションスピンを続けた流れで入ったステップシークエンスは、縦跳ねの動きが印象的。鍵盤を叩くようなイメージかもしれません。
日本語でいうところの”踊り”は跳躍の動きが主体、”舞”は語源である”回る”が示す通り回転運動ですけれども、これまでの浅田さんのステップシークエンスは”舞”が中心だったので、この『Ritual Dance』は新たなる挑戦ということがいえるでしょうね。
ただ、この日の演技を観る限り、まだまだ曲のリズムを捉えることは難しく、振り付けの意図も自分なりに掴めていない様子だったので、完成にはまだまだほど遠いといった印象ですし、私自身も完成形が想像できません。
わかっていることがあるとすれば、浅田さんがこの曲を自分のものにしたとき、フィギュアスケートの表現に、また新たなる趣が加わるということです。
「現役はもうそんなに長くはない」浅田真央ですが、彼女はまだまだフィギュアの未来を切り開くことをやめません。
我々もまだ見ぬ先を楽しみにしましょう!

こうしてシーズンへの期待が膨らむなか、ショーもいよいよフィナーレへ。
まずはペアの2人とコストナー、宇野くんと無良くんが登場し、続いてはチャンが、ロシェット、村上さん、舞さん、宮原さんを引き連れての美しい滑り。女性4人を一度にエスコートできるのはさすがパトリック・チャン。
ダンス選手権で激しく争ったブラウンとアモディオは、ブラウンが元気なのに対してアモディオは意気消沈気味。本当にパリに帰っちゃうんじゃ…。
そして最後は、昨年のアンケートによるリクエスト第1位『ボレロ』(2014年)を浅田さんとバトルが演技。
バレエの『ボレロ』がそうであるように、曲が進むにつれて、浅田さんの気持ちがのってきて、最後は凄い迫力でした。
一緒に滑っていたバトルが引っ張られて、最後は振り切られるような印象すら持ちました。2014年とは別物でしたね。
そういえばあの年の浅田さんは休養中でした。現役のパワーというのはやっぱり凄まじいですね。

恒例のグランドフィナーレの前にはリンク中央に10周年を祝う巨大なケーキのオブジェが置かれ、出演者たちはみなお菓子を張り付けたようなポップな衣装で入場。
会場のあちこちから、「あのケーキから真央ちゃんが出てくる」、「いや小塚くんだ」という声がひそひそと聞かれましたけど、ケーキは割れずに、いつも通りみんなで『I LOVE YOU BABY』を愉快に踊って大団円。
今年はペアとダンスで出演者が急遽差し替えになったためか群舞が少なかったんですけど、出演者の数と豪華さ、ダンス選手権の盛り上がり、そしてなんといっても浅田姉妹のプログラムがあったので、”さすが10周年”という満足感でした。

宝物のような選手たちとの宝物のような時間。
興奮冷めやらぬ帰り道、心の奥にちょっとした寂しさを感じながら、また来年を待つこととします。
これからは浅田真央とのひとつひとつの時間をもっともっと大切にしようと、心に誓う2016年の夏でした。

…なんて寂しくなっていたら、相方から「アモディオか!」と突っ込まれました。
そうですよね、試合もショーも、楽しんでこそのフィギュアスケートです。
『THE ICE』はそれを教えてくれる最高のお祭りです!
あらためて、10周年おめでとう!
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