女子レスリング、奇跡の金メダル3連発!

「五輪で最もメダルが期待できる競技は何か?」という質問を日本人にぶつければ、いまはおそらく柔道ではなく、「女子レスリング」という答えが返ってくると思うんです。
もちろん柔道に比べて階級が少ないので実際の数は柔道に負けることもありますが、正式採用された2004年のアテネ五輪以降、メダルを逃したのは前のロンドン大会の72キロ級だけなのですから、我々が期待するのも当然です。

そしてこの2016リオ五輪では、階級が6に増え、期待も増量されるなか、先陣を切って登場した48キロ級の登坂絵莉は、世界選手権3連覇の実力をいかんなく発揮し、危なげなく決勝進出。
しかし、その決勝で待ち構えていたのはマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)。ロンドン五輪2位の強豪であり、昨年の世界選手権決勝で、登坂と死闘を演じた相手だけに簡単ではありません。
試合はまず第1ピリオドにスタドニクが押し出しで1Pリード、第2ピリオドでもスタドニクが圧力をかけてきて先に1Pを重ねるも、守りに入るスタドニクを追い詰める形で登坂も1Pを取り返します。
終盤は攻める登坂、しのぐスタドニクという白熱の展開。
スタドニクは北京銅、ロンドン銀と悔し涙を呑んできた選手だけに、金への執念は凄まじいものを感じさせました。
その執念が残り時間を削るなか、我々日本の応援も「もうここまでか…」と諦めかけた残り十数秒、登坂が食らいつくように片足を取りに行くと、スタドニクの体勢が崩れ、登坂はその隙に素早くバックに回っての2P!
その瞬間に試合終了のブザーが鳴り、奇跡的な大逆転勝利!
終盤のスタドニクには疲労が見えたのに対し、登坂はまったく疲れを感じさせませんでしたから、これは練習量の勝利だと思います。そして試合後の登坂が、「いろんな人の顔が浮かんで、感謝です。」と語っていたように、彼女を支える全てのひとの思いが、登坂を最後まで攻めさせたのでしょう。
試合は8月18日の早朝でしたけど、私も興奮して近所迷惑な雄たけびを上げてしまいました。
いやあ、本当に凄かった。
そして栄和人監督を肩車する姿も眩しかった。
登坂さん、本当におめでとう!

この興奮冷めやらぬうちに登場したのは、五輪3連覇中の伊調馨(前回まで63キロ級で今回は58キロ級)。
我々が世界に誇る日本の至宝は、この大会で4連覇を達成すれば、女子選手としては五輪史上初の快挙(男子ではフェルプスが達成)。
日本だけではなく世界のレジェンドになる瞬間がもうそこまで迫っているのです。
ところが、当の伊調はそんな大記録などどこ吹く風で自分のレスリングに集中したまま、完璧な内容での決勝進出。準決勝などは汗ひとつかいていないように見えました。
これなら決勝でも危なげなく勝利を収めるに違いない、と誰しもが思ったに違いありません。
しかし、やはり4連覇のプレッシャーがあったのか、決勝の伊調は動きが硬さ、珍しく攻め急ぎも目立ちます。
相手のレリア・コブロワゾロボワ(ロシア)も伊調のペースを乱すように髪を引っ張る反則を繰り返すなか、まずは相手への警告を足掛かりに伊調が1Pを先取するも、捨て身で攻めてくるコブロワゾロボワにバックを取られて、まさかの1-2。
ビハインドで迎えた第2ピリオドも伊調の体は重く、積極的な攻めが見られません。
逆にコブロワゾロボワは弱り目の伊調に止めを刺すべく、隙あらば仕掛けてきます。
相手にこんなふうに上から目線で襲い掛かられる伊調を見ることになるなんて…。
4連覇へのプレッシャーからなのか、32歳という年齢のせいなのか、伊調馨の伝説は刻々と終焉に向かっていました。
しかし、やはり女王は女王であり、伝説は伝説だった。
残り30秒、伊調の中途半端なタックルをかわしたロシア選手が、逆にカウンターのタックルを仕掛けてくるのをがぶった伊調は、相手に右足を取られた状態から、残り時間が削り取られるなか、執念で足を抜くと、そのままバックを取っての2P!残り時間5秒での大逆転!
そのまま勝利を掴み、女子選手として前人未踏の4連覇を達成した伊調ですが、本当に信じられない、奇跡の大、大、大逆転勝利でした。
これはもはや勝因など分析不可能な不思議の勝ちとしかいいようがありませんが、あるとすれば最後まで諦めなかった勝利への執念です。
また、その勝利への執念と渇望がなければ、五輪や世界選手権を連覇し続けられるわけがないのです。
ようするに、この勝利は、伊調馨が伊調馨であるが故の勝利、そういうことができるでしょう。
この歴史的女王を前に、我々はもうひれ伏すしかありません。
おめでとう、伊調さん!今大会もめちゃくちゃカッコよかった!

早朝から日本列島のボルテージがマックスになるなか、その勢いに乗りたいのは69キロ級の土性沙羅。
あの吉田沙保里と同じ三重県出身で、吉田の父・栄勝さんが指導する一志ジュニア教室でも後輩。父親も元国体選手というサラブレッドの土性は、ジュニアの頃から多くの期待を集め、結果も出してきた選手ですけど、シニアではいまだ世界一になったことがないだけに、五輪をどう乗り切るかは想像がつきません。
しかし土性は21歳の五輪初出場とは思えぬ落ち着きで勝利を重ねての決勝進出。
決勝でも硬くなっている気配はなく、自然体で試合に入るも、ナタリア・ボロベワ(ロシア)の鋭い攻めに防戦一方となって、警告からの失点1。
ボロベワはロンドン五輪と昨年の世界選手権を制しているだけにやはり強い…。
第2ピリオドでも流れはかわらず、土性は消極的警告からの失点1。
攻めても見つからず、時間だけが過ぎて行き、観ているものが「実力差か…」と諦めかけた残り50数秒、土性がこの試合で初めてのタックルを見せるも、相手はそれを切ってバックに回ろうとしたところに、野獣のように身を翻した土性が態勢を入れ替え、そのまま相手を押し倒してバックに回っての2P!
最後の残りわずかな時間をしっかり捌いた土性は、前の2人に続く奇跡の大逆転勝利で金メダル獲得!
栄和人監督は本日2度目の肩車!日の丸が翻った!
「たくさんの方の応援、支えがあっての金メダルです。馨さんも絵莉さんも最後まで諦めなかったので、私も諦めなかった」という土性さんのコメントに、”チーム日本”の強さを見た思いがします。
また、この土性さんの金メダルは、女子重量級としては初めてというのですから、大記録ですね。
土性さんは格上相手の試合のなかでも、どこまでも落ち着いていて、集中していました。体だけではなく、ハートの大きさに脱帽です。
初めての金メダル、おめでとう!

それにしても、”金メダル3連発”ですよ。
しかも、どれも大逆転。
もうなんと表現したらいいのかわかりません。
最高の3選手が、最高の興奮をくれたことに、ただただありがとう!
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