『真田丸』第38話、『昌幸』

先週の予告からして嫌な予感がしていたのですが、この38話『昌幸』は真田安房守昌幸の最後の回となってしまいました。
関ヶ原で西軍が敗れたことで紀州九度山に蟄居させられて約12年、その間家康が征夷大将軍に就任したり、その座が秀忠に禅譲されたりした際には、「いま家康は浮かれておる。赦免の機会じゃ」といって期待したものの、流罪が許されぬまま月日ばかりが過ぎ、めっきり老け込んでゆく昌幸。
「ひょっとするとわしはもうここから出られぬのかもしれんな…」といって、絶望は昌幸から持ち前の覇気をも奪っていったようでした。
そうして、やがて病に臥し、死期が迫った昌幸ですが、息子・信繁を部屋に呼ぶと、10年をかけて書き上げたという『兵法奥義』を伝授し、「いずれ豊臣と徳川はぶつかる。徳川に勝つただひとつの道を教えてやる」といって遺言を残します。
そうです、真田安房守の気持ちは最後まで折れません。死の間際まで戦国の武人なのです!

その昌幸の最後の策というのは、まず尾張を制し、頃合いを見てそれを捨て、近江に退きながら時間を稼ぎ、二条城を焼き払った後は大坂城に立て籠もって、長期戦に持ち込むというものでした。
つまり、先手を打つことで豊臣方の勢いを天下に示し、各地の豊臣恩顧(反徳川)を活気づけるというものです。
しかし、それを聞いた信繁は「それは父上ならではの策。私には場数が足りませぬ」と、不甲斐なさと申し訳なさの入り混じったような表情を見せます。
これに渋面を作った昌幸は、「わしの策に場数などいらぬ」と息子を慰めた後、最も重要な心得として、「軍勢をひとつの塊と思うな。ひとりひとりが生きている。ひとりひとりが思いを持っておる。それをゆめゆめ忘れるな」という言葉を残すのでした。

そしてついに迎えた末期、「信濃に帰りたかった…、上田の城に…」と呟く昌幸の耳に幻のような軍馬のいななきが聞こえ、何かに縋るように起き上がった昌幸が手を伸ばしながら最後に放った言葉は「御屋形さま!」。
『真田丸』の昌幸は武田の旧領に並々ならぬ執着を見せてきましたけど、それはすべて武田信玄への心服と敬愛だったということでしょう。
信玄旗下の武将として、信濃の大名になることが昌幸の夢だったのかもしれません。
それは天下取りのような壮大な夢ではありませんが、「軍勢のなかのひとりひとりが思いを持っている」という言葉通り、ひとそれぞれに夢があり、それに向かってあがくことに人生の価値がある、といわんばかりの最後でした。

ああ、昌幸が逝ってしまったのですねえ。
草刈正雄さん演じる真田昌幸は、”前半戦の主役”といっていいほどの存在感を見せていただけに、もう登場がないと思うと、何ともいえない喪失感が襲ってきます。
しかも、この38話では藤岡弘、さん演じる本田忠勝や、新井浩文さん演じる加藤清正も最後の回となってしまっただけに寂しさも倍増です。
今回は初登場の中川大志さんが成人した豊臣秀頼役で堂々たる若武者ぶりを披露してくれていましたけど、それだけでは補えません。
前々回には山本三成と片岡吉継もいなくなっていますしね…。

正直いって、私は昌幸の九度山生活が1話で終わるとは思ってもいませんでした。あまりにも駆け足すぎです。筆まめだった昌幸が信之に生活費をせがむという有名なエピソードをはしょるのも意味がわかりません。
来るべき豊臣と徳川の衝突に備えて資金を貯めたり、旧臣との間の連絡を密にしたり、信繁と一緒に策を練ったりしたってよかったと思いますし、大坂の陣に繋がるオリジナルエピソードを挟んだりするのもありだったと思うんです。
『真田丸』は全50話ということになっていますから、あと12話もあるわけです。
その残りの話のなかで、昌幸を扱う以上に大切なパートがいくつあるというのでしょう?
関ヶ原もはしょって、昌幸の九度山生活もはしょって、『真田丸』がいったいどういう航路を取っているのか、最近の私にはまったくわかりません。

…ただ、私もひとつだけ希望を残しているんです。
大坂の陣では、真田の軍勢が豊臣方に加わったという知らせを受けた家康が、「それを率いているのは親の方か、息子の方か」といって確認したという逸話が残っていますよね。
それだけ家康が昌幸を警戒していて、しかもその死も嘘ではないかと疑っていたということなんでしょうけど、いっそのこと『真田丸』では大阪の陣で昌幸を復活させるというのはどうでしょう!
きっと日本中のお茶の間がひっくり返るはずです。
三谷幸喜さんの”策”に期待!
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