『真田丸』第39話、『歳月』

前回、真田昌幸がその波乱に満ちた生涯に幕を閉じ、その父の御霊を弔うために長子・信之が紀州九度山を訪れたところから始まったこの39話『歳月』ですが、久々に兄と対面した弟の信繁は、表では「いまの暮らしには何の不満もありません」といいつつも、陰では日々の困窮を訴えます。
そこで信之は「あいわかった」といって援助を約束してくれたものの、贈られてくるのは金子ではなく、大量の信州産蕎麦粉のみ。
ひもじい思い=食料という信之らしい生真面目な判断ですが、これには信繁もがっかりです。
いつぞやの瓜売を真似て、「味よし蕎麦召され候へ♪」と歌って商いを試みますがこれも上手くはゆきません。

そんな折、思いもかけない救世主が現れます。
それは関白・豊臣秀次の娘であり、秀次が罰せられた際に一緒に処刑されるはずだったところを信繁が「夫婦の誓いをした」といって、その命を助けた”たか”。
ルソン助左衛門を頼って異国で商いをしていた彼女ですが、ある程度の財を成し、日本に戻ってきたところで、”夫”である信繁のいる九度山を訪ねてきたというわけです。
すっかり異国ナイズドされた”たか”は開けっ広げな求愛をして信繁やその家族を戸惑わせたものの、九度山に住み着こうというわけではなく、また海の向こうへと旅立ってゆきます。
そんな彼女が土産にと置いていった品物の数々のなかに、サナールという頑丈な細工紐を見つけた信繁は、「上田紬に似ている…」といって、自分たちでも”真田紐”という組紐を作ることを閃いたのでした。

ただし、信繁たちは流人ですから、その紐を売り歩くわけにはゆきません。
そこで、九度山村のひとびとに紐の織り方を教え、販売も任せ、手付金と売り上げの1割をもらう契約を交わし、これで暮らしもようやく落ち着きを取り戻します。
そうして久々に笑顔の団欒となった一家を庭から眺める信繁。
しかし、そこに風雲急を告げる使者が。
「小早川家家臣、明石掃部全登」
使者の名乗りを聞いた信繁は、思わず目をかっと見開くのでした。

というわけで、この39話『歳月』はホームコメディか貧乏家族のドキュメンタリーかという雰囲気だったわけですが、髭をたくわえた信之に貫録が出てきたり、久々に登場した”たか”の人品が変わり過ぎていたり、信繁の息子・大助が碁を打てるほどに成長したりと、まさに”歳月”を感じさせる回でした。九度山に流されてからもう13年が経ったわけですからね。
信繁などは配流中に正妻・春との間に2男1女が生まれ、もうすっかりお父さんの顔です。
ただ、その子供たちなんですけど、史実(とされる資料)では真田信繁って、側室も複数いて、かなり子だくさんですよね。
それなのに『真田丸』では、結局側室はひとりもおらず、子供も正妻との間の2男1女しか登場していません。
私が特に意外だったのは、娘の梅の母親が正妻の春になっていたことです。
史実では梅の母は”高梨内記の娘”、つまり劇中での長澤まさみさんが演じる”きり”がそれに当たるわけです。
梅は後に伊達家の名臣・片倉小十郎重長の継室となったことでも有名ですし、まさか三谷幸喜さんとNHKがその母親を捻じ曲げるとは思ってもみませんでした(長澤まさみさんにも同情。まるで都合のいい女。ひどい扱いです)。
そして、今回登場した”たか”ですが、彼女が信繁との間に作った娘が出羽亀田藩藩主に嫁ぎ、現在の秋田県由利本荘市でも”御田の方”として親しまれているというのを、前に『真田丸紀行』でやっていましたよね?
それなにに本編では御田の方はいないことになっているのですから、由利本荘の市民は怒ってもいいと思いますぜ。

制作サイドは現代の価値観に合わせて側室を置かないのかもしれませんが、これはいくらなんでもやりすぎです。
時代劇・歴史劇の楽しみというのは、いまの自分たちとは違う価値観や常識で生きていたひとたちを知ることです。
そしてその違いのなかからいまと通じる何かを見つけることです。
違いを否定することは、時代劇・歴史劇そのものを否定することです。

『真田丸』は来週からいよいよ”最終章”だというのに、私は少々気が滅入っています。
大坂の陣でも「専守防衛」とかいい始めたりして…。
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