2016GPSスケートアメリカ、女子SP

2016-17のグランプリシリーズの開幕戦はスケートアメリカ。
初戦ということで、選手もファンも体と心を氷に慣らしていきたいところですが、いきなりの浅田真央の登場によって、日本の我々はそんなことはいってはいられません。早くもスロットルは全開です。
しかも、今回は開催地アメリカもワグナー&ゴールドというWエースの揃い踏み。
普通はエースひとりが出場するものですが、昨季は全米女王がゴールド、世界銀メダルがワグナーということで、この2人にはもはや優劣はつけられません。複雑な事情と利害関係が絡み合っての揃い踏みということなのでしょう。
会場もWエースに凄い声援が送られるでしょうから、浅田さんも村上佳菜子さんも三原舞依さんも、それに惑わされることなく、自分の滑りを貫いて欲しいものです。
というわけで、まずは女子SPを振り返ってみたいと思います。

注目の浅田真央は、第1グループでのリンクイン(今季から滑走順はランクに関係なく抽選)。
数々の栄光と実績を作ってきた貫禄と、『恋は魔術師』”火祭りの踊り”に合わせた呪術的な黒鳥の衣装、そして激しいメイクがともなって、会場のアメリカ人もやや気圧された雰囲気。
それを意に介すことなく集中した表情で演技に入った氷と炎の女王は、見事な振り付けで一瞬にして観客を儀式の参列者へと変えると、まずは挨拶代わりの2A!
今回は左膝の不調で3Aは回避したわけですけど、2Aだと本当に余裕がありますね(観ているこっちも)。
3F+2Loも落ち着いて着氷すると、キャメルスピンもスムース。心配していましたけど調子は良さそう。
後半は伸びやかなスケーティングからウォーレイを挟んでの3Lo、美しいビールマンスピン、自らを燃やすような激しいY字スピンで勢いを増すと、最終盤のステップでは巧みなボディバランスと変幻自在のエッジワークで圧巻の”炎の踊り”。
炎を背景に踊っていたはずの浅田さんが、いつの間にかその炎と同化し、自分の内なる炎でさらに火焔を舞い上げるというような、凄まじい迫力のプログラムでした。
このSPはローリーニコル振り付けなだけに、カロリーナ・コストナーが演じそうなモダンバレエ風の振り付けが多く、浅田さんはこれまでやってこなかった種類のプログラムですけど、それをなんなく自分ものにするのですからやはり凄いセンスです。
プログラムの色合いも、軽やかさのなかに鋭い気迫を込める、浅田真央の世界になっていましたね。
また、この日は全体の動きに無駄なところがなく、本当に自然体で、気負いが感じられなかったのも良かったと思います。休養明けでやや入れ込みすぎたった昨季とはかなりの違いです。
今回は内容も上々だったと思いますし、日本全体が安堵したのではないでしょうか。
しかし、スコアは64.47(TES30.99・PCS33.48)という目を疑うような数字。これには浅田さんも佐藤信夫コーチも渋い表情。私は60点代後半だと思いました。
TESが低すぎることから、何かレベルを落としたかどこかの回転が足りなかったのか、ノーミスに見えただけに不可解極まりありません。
あとでプロトコルを確認すると、3Fに回転不足(UR)の判定、そしてステップのレベルが3、これが主な原因でしたけど、私には回っているように見えましたし、レベルもなぜ4でないのかまったくわかりません。
全体の加点も辛くて、これが”アウェイの洗礼”というやつでしょうかね。
”逆境こそが浅田真央のスケート人生”などとよくいわれますけど、どうやらこれはいつになっても変わらないようです。
ただ、そんなスケート人生のなかで培ってきた経験と真摯な努力は、不調だろうと怪我だろうと、彼女をリンクの上で眩いばかりに光輝かせてくれます。
やはり、浅田真央は生粋のフィギュアスケーター、生まれついての氷の女王なんです。
今季も我々に新たなる歓喜と興奮を届けてくれるに違いありません!

第2グループでは、やはりグレイシー・ゴールドが姿を見せたときの歓声には凄まじいものがありました。愛されていますねえ。
ゴールドはそれに応えて迫力のある3Lz+3Tでスタートするも、後半のエッジが怪しい3Fで回転が足りない感じの転倒。
これでがっくりきたのか、そこからは元気がなくなって、スピンや2Aも序盤のような鮮やかさはなし。
ステップでも気が抜けたようになって、盛り返すことなく、寂しい『Mr.&Mrs. スミスとなってしまいました。
今季もフリップに苦労しそうですね。
スコアは64.87(33.21・32.66・減点1)。
アメリカ観客は思わぬ失敗に意気消沈してシ~ン、中立ファンと日本のファンは浅田さんよりスコアが高くてシ~ン。
”居た堪れない”を絵に描いたようなキスクラでした…。

今大会には浅田さんの妹分である村上佳菜子さんも出場していて、2人の相乗効果を期待したいところでしたけど、村上さんは最初の3Fで詰まったような両足着氷、スピンも緩く、後半見せ場の3T+3Tも完全に詰まって回転不足。
続く2Aは慎重に降りるも、レイバックスピンでは途中でほどけてビールマンポジションが取れないというまさかの失敗。
得意のステップでも攻めきれず、全体的に村上さんらしい勢いが感じられませんでした。
表情も冴えませんでしたし、どこか痛めているのでしょうか、本当に心配です。
スコアは47.87(47.87・21.47)。
いまの日本の女子シングルは、若手の突き上げが凄まじくて、村上さんも何をどうしたらいいのかわからなくなっているのかもしれませんが、浅田さんの背中だけを見つめて、最後まで走り抜いて欲しい、必死に食らいついていった先にこそ光明はあります。
その姿をファンは見ている!

ネーベルホルン杯を制し、いま乗りに乗っている三原舞依さんは、冒頭に鮮やかな3Lz+3Tを決めて笑顔をこぼすと、流れるようなキャメルスピン、ディープエッジで彩ってからのコンビネーションスピンも的確。
後半はスピードに乗ってからの2A、ビールマンスピン、そして普通は3回転ジャンプ…、となるはずですけど、三原さんの『序奏とロンド・カプリチオーソ』はここでステップシークエンス。
ディープエッジを駆使して緩急をつけ、曲調を見事に醸し出していたステップは、本当に素晴らしかった。
そして、最後はそのステップの流れからの3F!これは体が開いてしまうも、挑戦的な内容には私も思わず大きな拍手!
三原さんは動きにクセがなく、基本的な技術が高いので、観終った後に清々しい印象を残します。
演技後の三原さん、ほっとしたような、ちょっぴり悔しいような笑顔。
この演技にはジャッジも高い評価を与え、スコアは65.75(35.72・30.03)でパーソナルベスト!
本人もコーチも口を押えてびっくりしていましたけど、くれくらい評価されてもおかしくない内容だったと思います。見事なGPSデビューでした。
初のGPSに動揺しなかったメンタルも素晴らしいですし、FSではより攻める演技ができれば、いいことがあるかもしれません。楽しみにしましょう。
三原さんの高いポテンシャルが、いよいよ結果に結びついてゆきそうですね!

大トリを務めるアシュリー・ワグナーは、ゴージャスな『Sweet Dreams』でのっけから観客をヒートアップさせると、冒頭は回転不足気味ながら3F+3Tを着氷し、力強いスピンを2つ回って、煽情的な踊りで会場を沸かすと、後半はターンからの迫力ある3Lo。
続く2Aをちょこんと降りて、スピンで雰囲気を盛り上げてからは、エネルギッシュなステップでやんやの歓声を浴びながらのフィニッシュ。
アメリカ観客はゴールドのときの鬱憤を晴らすような大盛り上がりでしたね。ワグナーもそれを追い風にノリノリでした。
ワグナーはスケーティングや表現技術の高い選手ではありませんが、独特の迫力と、プログラムの流れを作るのが上手く、見せるところはしっかり見せるので、演技全体に強い印象を残します。いい意味で”はったり”が効いた選手ですよね。
今回もまだまだ仕上がっていませんでしたけど、ベテランの彼女らしく手堅くまとめたのはさすがでした。
そんなSPのスコアは、69.50(34.78・34.72)。
アメリカなのでバカみたいなスコアが出ると思っていただけに、フィギュアをよく観るファンからしたら想定の範囲でしょう。
しかし、普通のテレビ視聴者は、浅田さんとの点差が理解できるはずはありません。
解説者だって説明をするのが困難なことでしょう。
悲しいことに、これがフィギュアスケートなんですよ。
不可解採点は今季も私たちを大いに混乱させ、大いに苛立たせてくれることでしょう。

我々の心を落ち着かせてくれるのは、リンクの上の選手の演技だけです。
そこに集中するしかない!
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