2016GPSスケートアメリカ、女子FS

SPが終わり、日本勢は三原さんが65.75の2位、浅田さんが64.47の5位、村上さんが47.87の10位。
首位のワグナーが69.50ですし、上位は混戦といっていいでしょう。
GPS開幕戦ということで、外国勢も含め、SPではミスが目立ちましたけど、FSでもおそらくまとめてくる選手はそう多くはないはずです。こういうときは粘り強い演技が大切。
というわけで、日本選手の笑顔を期待しながら視聴したFSの様子をざっくばらんに。

第1グループから登場した村上佳菜子さんは胸元からざっくり割れたアダルトな衣装での『トスカ』。
SPではミスを連発した村上さんですが、そういうときFSで挽回することも多いので期待したいところ。
冒頭の3Loがやや詰まり気味になるも、3Sはよし、3Fもなんとかクリアしてまずまずの序盤戦。
伸びやかさと力強さで『トスカ』の雰囲気を作るコレオは村上さんらしさも出ていましたし、巻き返してくれそう、と思った矢先の後半冒頭が1A2Tになってしまうと、続く3Fも回転不足で両足着氷(コンボならず)という手痛いミス。
しかし、3S+2Lo+2Loで意地を見せ、2Aも丁寧に降りると、ステップシークエンスでも集中力を切らすことなく滑り切り、ビールマンでフィニッシュ。
ミスは多かったですけど、いまある力は出し切ったのか、本人は納得の表情。
気持ちを込めて滑ったのが伝わってきました。
FSは97.16(TES43.34・PCS53.82)、合計145.03。
ジャンプの軸となるフリップとループの調子をどうにか上げてゆくしかありません。
それが上がってゆけば気持ちも上がっていって、演技も冴えてくるはずです。
まだまだ老け込む歳じゃない!

勝負の第2グループは、ミスした者が表彰台争いから脱落するというサバイバルゲーム。
そんななか、カナダのガブリエル・デールマンは冒頭の3T+3Tを鮮やかに決めるも、続くタノ3Lzで転倒。
しかし、あとに引きずらないのがこの選手のいいところで、3F(エッジは微妙)をさくっと跳ぶと、あっさりしたスピンで前半をまとめ、後半冒頭の3Lz+2T+2Tはしっかり成功。
これで流れに乗りたいとろこでしたけど、次が2Loになってしまい、コレオスパイラルからの2Aと3S+2Aは決めるも、終盤は音楽が盛り上がり、手拍子も起こるなか、デールマンの体だけは動かず、スタミナ切れ。
『雨に歌えば』のはずが、雨に打たれて体が縮こまってゆくような演技でした。
FSは122.14(62.11・61.03)、合計186.63。

SPでは膝の不安を払拭する内容だった浅田真央。
そうなると応援している側は欲張りで、表彰台が欲しくなってしまうのですから困っちゃいます。
今季はSP・FSともに『恋は魔術師』ということで、SPのフィニッシュポーズと同じポーズで入るFS。
衣装は黒から赤へ。SPは火祭りに誘う黒鳥の呪術師、FSはさながら炎の巫女といった風情です。
炎が揺らめくような華麗な動きから、軽々と2Aを決め、SPでわけのわからない回転不足(UR)を取られた3F+2Loは丁寧に、キャメルも確かめるように回ると、エッジの修正がかなりいい感じになってきている3Lzも着氷。
とても集中した立ち上がりでした。
そこからは芸術品のようなスパイラルと飛翔感のあるイーグルで、大地を覆うような雄大なコレオシークエンス。その美しさに会場がうっとりしているのが伝わってきました。
そうして順位的にも期待感が膨らむなか、勝負の後半戦でしたけど、冒頭の2A+3T予定が、まさかの1Aに。
これで動揺したのか3Sはバランスを崩して大きくステップアウト、次も2Fに抜けて(コンボならず)、いい流れは雲散霧消。
それでも得意の3Loで立て直し、物語性のあるコンビネーションスピンとしなやかなビールマンで流れを手繰り寄せると、最終盤のステップでは、股関節を柔らかく使った独創的な動き、ターンも鮮やかで、炎がうず高く舞い上がり、その周りでひとびとが踊り明かす景色が鮮明に見えてくるようでした。
演技後の浅田さんは悔しそうな表情でしたけど、”いまやれることはやった”という感じでしょうかね。
動き全体は良かっただけに、後半始めからのジャンプパートでのミスが本当にもったいなかったです。
今回は3Aが入っていないので、得点を確保したいジャンプパートで力んでしまったのかもしれませんね。前のフィンランディアでも似たような崩れ方でした。
立ち上がりが良かっただけに、本当に残念。
私も相方(真央ファン)も悔しくて悲しくて、なんにもやる気がしなくなっています…。
そうして、キスクラで浅田さんがごめんなさいポーズをするなか出てきたスコアは112.31(46.35・65.96)、合計176.78。
浅田さん曰く「滑り込みが足りない」とのことですけど、膝の状態もありますし、あまり焦らず、じっくり調整して欲しいものです。
”最終目標”はあくまで来季の五輪なのですからね。

ここまでの選手にミスが多く、なんだか締まらない大会となってきた2016スケートアメリカですが、それを救ったのは地元のマライア・ベル。
立ち上がりに3Lz+3T、3Lo、2A+2Tをしっかり決めて流れを掴むと、懸命さが伝わってくるステップで集中力を高め、後半も3F+1Lo+2Sをちょっとおかしなバランスながらも着氷。
小気味よいスピンを挟んでの3Lzと2Aも成功させ、解放されたようなコレオに入ると、会場もノーミスへの期待感が膨らみ、いい空気のなか3Fを決めたベルは、最後のスピンから喜びが溢れ、演技後は全身でガッツポーズ!
会場も大盛り上がりで、シカゴが『エデンの東』になっていましたね。ブラヴォ!
FSは130.67(66.22・64.45)でパーソナルベスト、合計191.57もパーソナルベストで、この時点で1位!
それにしても、繋ぎもしっかり入ったレベルの高いプログラムを、ここまでしっかり滑り切るとは思っていませんでした。
高い集中力と粘り強さは賞賛に値します。
ひょっとした全米でも台風の目になるかもしれませんね。楽しみです。

伏兵マライア・ベルの好演により、表彰台争いが混沌とするなか、日本勢のよるメダル獲得の使命を託されたのはGPSデビューの三原舞依さん。がんば!
かなり緊張しそうな場面ですが、何事か大笑いしている中野園子コーチに背中を押されてリンクインした三原さんもリラックスした
笑顔。
そんないい雰囲気の助走からの3Lz+3Tはお見事、3Fと足上げからの2Aも決めて鮮やかな立ち上がり。
中野コーチはいったい『シンデレラ』にどんな魔法の言葉をかけたのか!
ステップでは表現面での拙さが目につきましたが、エッジを使う技術の高さでそれをカバー。
生真面目さが溢れるコンビネーションスピンで前半を締めくくり、メダルを賭けた後半冒頭のコンボは2A+ほどけた2Tとなってしまいますが、続く3Lzでそれを取り返しにいった+3T!これは回転不足の両足着氷になるも根性が凄い!
ただ、このあたりからスタミナが切れてきて、コレオに伸びが出ませんし、シットスピンもちょっと苦しいか。
そんななか、3Loを力強く決めて執念を見せ、最後のジャンプは2Sになるも、気持ちを切らすことのないスピンでフィニッシュ。
ミスはいくつかありましたけど、粘り強い演技は観る者に好印象を残したに違いありません。
FSは123.53(60.84・62.69)、合計189.28はこの時点で2位。
表現面の拙さやスタミナ面で不安をのぞかせるも、基本技術の高い選手なので、そこは伸びしろと考えたいですね。
競技へ向かう真摯な姿勢、疲労のなかでも要素を決めてくる気持ちの強さも素晴らしかった。
”新星現る”といっていいでしょう!
いいデビュー戦でした!

SP首位のアシュリー・ワグナーは、しっとりとしたスケーティングで『エクソジェネシス』交響曲第3部の世界に観客を誘うと、2Aをさらりと決めて、3F+3TもUR気味ながら着氷。
もうひとつ単独の2Aを降りると、緩いシットスピンから曲をなぞるようなステップ。
ここは大したことはしませんがリズムをしっかり抑えて雰囲気作りは上々。前半はベテランの余裕が溢れていました。
そして後半は細かいステップからの3Lo、やや強引な3F、詰まって両足気味の3Loに+1、3Lz+2Tも詰まり気味。
そのように後半はややへばるも、スパイラルでは表情や上体の演技で会場にアピール、終盤は曲の盛り上がりに合わせてターンからのスピンを2つ重ねてのフィニッシュ。
細かいミスはありましたけど、流れはまったく切らさず、”いい演技”という印象を残すのはさすがです。ウsタミナ切れも上手く隠しますしねえ。
地元観客も大いに盛り上がっていましたし、これは優勝かな。
FSは126.94(56.88・70.06)、合計196.44。この時点で首位。
このところのワグナーは、シーズン序盤はゆるゆると入り、終盤にギアを上げてくるというベテランらしい過ごし方が成功していますよね。今季も若手たちにとっては目の上のタンコブのような存在になりそうです。

こうしてアメリカ勢の表彰台独占が見えてきたなか、最終滑走に登場したのはグレイシー・ゴールド。
この時点で3位の三原さんに勝つために必要なスコアは125点ほど。
これはゴールドにとってそんなに難しい数字ではありませんけど、SPの調子からするとそうも断言できません。
全身金色のまさに”ゴールド”衣装で始まった『ダフニスとクロエ』は、冒頭にコレオが入るという珍しい構成ながら、そのコレオがあっさりしすぎていて印象に残りません。
そして2Aを降り、見せ場の3Lz+3Tでしたが壁に近づきすぎて+2Tに。
続く3Loではまさかの転倒、コンビネーションスピンにもいつものキレがなく、後半への助走で早くもへろへろになっていたものの、2A+3T+2Tは気持ちの着氷。ここは”さすが”の一言。
続く3Lzも降りて、建て直したいところでしたけど、苦手のフリップが2Fになると、3Sでは転倒。
終盤のステップも完全にガス欠で、振り付けを追うだけになってしまって、最後のスピンは意地を見せるも、フィニッシュポーズではもうふらふら。
ちょっとショッキングな内容でした。会場も水を打ったようになっていましたね。
FSは119.35(56.79・64.56)、合計184.22。
目の下には隈があって表情も冴えませんし、全身の筋肉も落ちていて、不調は明らか。
腰が立ってしまって、スケートで氷をまったく押せていないので、ひどい棒演技になっています。
すぐに調子が戻るような状態とも思えませんし、病気なのか怪我なのか、本当に心配です…。

この結果、貫録の優勝はワグナー、2位は喜び一杯のベル、そして三原さんはデビュー戦での3位、おめでとう!
三原さんはGPS中国杯にも出場しますし、ファイナルを狙って貪欲に攻めて欲しいものです。
そして、浅田さんですが、6位に終わり、ファイナルは絶望的といっていいでしょう。
しかし、膝のこともありますし、試合が多くなれば負担になるというものです。
とにかく、焦らず、落ち着いて、”いまできること”を少しずつやってゆきましょう。
”火祭りの踊り”は不死鳥が羽ばたく儀式です!
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