2016GPSスケートアメリカ、男子シングル ウーノ!

2016GPS開幕戦、スケートアメリカ男子シングルの見どころといえば、なんといっても宇野昌磨と金博洋のライバル対決。
4回転の種類では常に先をいかれていた金に対し、今季の宇野くんは4Fを装備したことで、技術点の部分でも見劣りしなくなりました。
金も課題の完成度を上げてくるはずですし、今後長く続くであろう2人の関係が、新たなる局面に入ったことは間違いありません。
では、シカゴでの若き才能の激突が楽しみな男子シングルの感想をざっくりと。

海外のメディアでもこの大会を”クワドモンスター対決”と書いていたところもあったみたいですけど、SPの金博洋(中国)は4Lzと4Tを2本とも転倒するまさかの失態(まさかといいたくなるのが彼の凄さ)。
回転途中で降りてくるような形の悪いミスでしたし、3Aもステップアウトしていましたし、怪我か何かでしょうか…。
このSP『スパイダーマン』では、アクション要素いっぱいのステップでは元気溌剌としていたので、体調面ではないようです
SPは72.93(TES37.89・PCS37.04・減点2)。
巻き返したいFSの『道』では、冒頭の4Lzは強引に着氷するも4Sでステップアウト、3A+1Lo+3Sもバランスが悪く、後半4Tでは転倒、4T+2Tはどうにか成功したものの、全体の動きにはまったく問題は見えませんし、”ジャンプに関わる部分”だけの不調でしょうね。
要素の出来栄えや表現面ではどうしも他選手に比べて劣ってしまうので、”基礎点”はしっかり抑えねばなりません。
早い復調を待ってます!宇野くんの成長のためにも!
FSは172.15(95.15・78.00・減点1)、合計245.08。

29歳のセルゲイ・ボロノフ(ロシア)は、SP冒頭の4Tを惜しい感じで転倒するも、丁寧なスピンやステップでレベルを拾って盛り返してゆくと、後半は大きな3A、3Lz+3Tはややこらえながらも成功。
ステップでは『私が、生きる肌』をちょい悪オヤジに演じて、最後は曲調の盛り上がりとともに激しく2つのスピンを重ねてフィニッシュ。
SPは78.68(42.08・37.60・減点1)。
FSでは冒頭豪快な4Tを決めると、高さのある3A+2T、続くコンボは3T+3Tになってしまいましたけど(4T予定)、上々の立ち上がり。
『エクソジェネシス』を丁寧に響かすコレオで前半を終えると、後半冒頭の3Aも凄い高さ。その後のジャンプもしっかり揃えて、ジャンプはノーミス。
これに気をよくしてステップは生き生きと伸びやかになって、気持ちがこもっていましたし、締めのスピンも鮮やかでした。
とても集中していて初戦とは思えぬ出来栄え、ブラヴォ!
ロシア人嫌いのアメリカ観客も拍手と歓声を送っていましたよね。
FSは166.60(86.00・80.60)、合計245.28。スコアは思ったより辛い…。
それにしても、モチベーションと体力の意地はもちろん、高い人間性といい、本当に手本にした選手ですよね。

宇野くんのライバルといって忘れてはならないのがナム・グエン。彼もまたカナダが誇る天才少年でした。
しかし、シニアになってからその天才性は陰を潜め、存在感も気迫になっていましたよね。
本人もそれに危機感を覚えたのか、今季からデヴィッド・グリンにコーチを依頼。
結果を先にいうと、これは大成功だったと思います。
SPでは4S+3T、3A、3Lzを着氷させてガッツポーズフィニッシュ。
スピンで取りこぼしがあってスコアは79.62(42.18・37.44)と伸びなかったものの、これはパーソナルベスト。
FSでも4Sをこらえた着氷、3A、3Sは成功、後半は3A+3Tを力強く決めて、その後は3連続にオーバーターンが入ったのみで、他はしっかり整えて、ほぼノーミスの内容。
FSは159.64(82.70・76.94)、合計239.26。
ジャンプが安定してきたのはもちろんなんですけど、昨季からの一番の変化は、体の使い方が滑らかになってきたこと。
肩も上がるようになってきましたし、息苦しそうに演技していた昨季とは格段の進歩です。
FSの『パリのアメリカ人』もいい雰囲気でした。飛躍の年になるといいですね。

昨季は念願の全米王者に輝き、世界選手権6位と躍進したアダム・リッポン。
このスケートアメリカでも看板選手として観客の大声援を浴びると、ニヤリと微笑んでスタートしたSPでは3F+3T、3A、リッポン3Lzと揃えてノーミスの出来。
『Let Me Think About It』の独特のリズムも上手く表現して、堂々たる演技でした。プログラムの作り込みが凄い。
SPは87.32(44.42・42.90)。
FSの『Arrival of the Birds』では冒頭の4Tで転倒するも、気にすることなく3F+3Tを決め、いいスケートからの3S、軸のしっかりしたスピン、ステップでは上半身は伸びやかに足元は細かく正確という技術の高さ。表現面でもいい雰囲気が出ていました。
勝負の後半では3A+2Tと3Aを連続成功、3Lzからの3連続も気持ちで成功させ、3Loもよし、そして止めはリッポン3Lz!ビューティフォー!
物語性の厚いコレオでは高いバレエジャンプで会場を沸かせ、、最後のスピンまで体力的にも問題なし。
冒頭のミスを忘れさせる素晴らしい演技でした。全米王者ここにあり!
FSは174.11(89.25・85.86・減点1)、合計261.43。やや高いですけど、これもホームということでしょう。
それにしても、後半に持ってきている3Aはかつては苦手だったはずなのに、いまでは得点源になっているのですから、この26歳(11月で27歳)の弛まぬ努力には感服します。演技面での貪欲な探求といい、本当に素晴らしいです。

昨季は怪我でシーズンのほとんどを棒に振り、復活をかけるジェイソン・ブラウン(アメリカ)は、SPの冒頭で4Tにチャレンジするも転倒。しかし、3Aは鮮やかに決め、スピンや繋ぎのバレエジャンプで自分の流れを取り戻すと、後半の3Lz+3Tも気合の着氷。
足上げスパイラルから入ったステップはとても柔らかで滑らか、曲調もよく捉えていて会場もうっとり。
最後は得意のスピンで締めて、ジャンプの失敗を忘れさせる出来栄えでした。
SPは85.75(43.32・43.43・減点1)。
表彰台を狙うFS『ピアノレッスン』では冒頭に4Tをまさかの着氷(回転不足ながら)!
3A+2Tもしっかり決めると、絶品のキャメルスピン、ステップでは柔軟性を思う存分に生かして雰囲気を大いに盛り上げます。
後半の3Aはこらえながらの着氷、スピンのあとの3Lzはよし、そこから豪快な3FT+3T、2A、しっとり気持ちを込めたコレオ、3Lo、そして3L+1Lo+3S!
ノーミスというより、パーフェクトといいたくなる内容。隙がまったくなく、プログラムがまさにひとつの作品になっていましたね。
”全米王者と取り戻す”というジェイソンの気迫を感じました!
FSは182.63(92.61・90.02)でパーソナルベスト、合計268.38もパーソナルベスト!

アメリカ勢の頑張りのなか、それに負けてはいられない我らが宇野昌磨は、SP『ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー』の冒頭に4Fをぎりぎり決めると、続く4Tは綺麗に降りるも+3Tで回り切れずに悔し転倒。力んだか。
3Aもヒヤッとした着氷で、日本の我々も胸がぎゅっとするところでしたけど、宇野くんはいつものポーカーフェイスで、技術のあるスピンとステップをさらりとこなして、まずまずのフィニッシュ。
SPは89.15(46.87・43.28・減点1)。一歩間違えれば大崩れしかねない内容でしたけど、よく堪えてくれました。ふう…。
宇野くんといえばGPS1勝の実績を持っているものの、それは昨季のフランス杯でテロへの懸念からSPで大会が終わったもの。このFSでは本当の1勝をかけての戦いです。
ところが6分間練習では4Fに何度トライしても決まりません。
そして不安を抱えたまま始まった『ブエノスアイレス午前零時』、シカゴにかけつけた日本のファンの祈りが通じたのか、クリーンな4F!続いてのターンからの4Tも豪快!完璧!なんという本番力か!
クールな振り付けからの3Loもフリーレッグで上手くさばくと、ステップでは男の匂いの濃い滑りで、攻めて、せめて、攻めまくり。
そしてスピンで息を整えてから入った後半冒頭のイーグル3A+3Tは鮮やか!
いったん力をため、カウンターからの勝負を決する4T+2Tも成功!よっしゃああ!
難度の高いジャンプをこなしたというのに、終盤も足腰がへたらず、氷を強く押せていているので、演技に迫力が出ます。
そうして3Lzを決め、力を込めた助走から、世界の頂点を目指す志を込めた3Aからの3連続!…の予定でしたけど、3Aで大きくステップアウト。
しかし、続く3Sはしっかり着氷し、代名詞のハイドロでのコレオ、切れ味鋭いアップライトでイケメンフィニッシュ!
最後ちょっとミスはありましたど、鳥肌ものの演技でした。ウーノ!ショーマ!最高や!
FSは190.19(100.01・91.08)、合計279.34でパーソナルベストの堂々たる優勝!おめでとう!

今季はなにかと4Fに注目が集まる宇野くんですが、4Tの前に工夫を付けるようになっているのももの凄い進歩ですし、FSなどは演技面でも”ジャンプのための手抜き”が見られなくなってきているのも成長の証でしょう(SPはもうちょっと頑張って欲しい)。”もっと上”を狙う高い意識が、彼に火を点けているのだと思います。 
FSの最後のミスも、「いい課題が残った。ノーミスは簡単ではない」と瞳をぎらつかせていましたし、次の試合では物凄いものを見せてくれそうです。
羽生結弦とハビエル・フェルナンデスの背中ははっきり見えた!
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