2016GPSロシア大会、男子FS 王者の大きな背中

SPを終え、フェルナンデスから約7点のリードを奪った我らが宇野昌磨。
これで自分の演技に集中すれば、自ずと優勝は見えてきます。
史上3人目のトータル300点超え、そして王者フェルナンデス超えを同時に成し遂げろ!
そんなわけで大注目の2016GPSロシア大会FSを熱く振り返ってみたいと思います。

SPでは冒頭のジャンプが2Sに抜けて「転んでもいいから思い切りいけばよかった」と唇を噛んだ田中刑事くんですが、FSの冒頭ではステップアウトしながらもどうにか4Sでの着氷、次が3Sに抜けて再びがっくりしますけど、気を取り直しての3Aはよし。
シットスピン、曲が盛り上がってからのステップでは上半身を大きく使って、『フェデリコ・フェリーニメドレー』を表現しようとしますけど、音楽に振り付けをびたっと合わせきれていない印象。
後半冒頭の大事な3F+3Tややこらえながらも着氷すると、3A+2T+2Loも乗り切り、3Lz、キャメルスピン、3Lo、3Fと連続成功!OK!
終盤のコレオからコンビネーションスピンも音楽の高鳴り負けずに自分を鼓舞し、最後まで勢いがありました。がんばって粘りました。ジャンプミスがあったものの、集中力を切らさなかったのは本当に良かったと思います。
FSは155.78(82.14・72.64)、合計224.91。
4S+2T予定が3Sになったことで技術点が伸びなかったのはもちろん、PCSも低評価。
私から見ても、繋ぎも物足りないですし、ステップやコレオという見せ場でもインパクトに欠けるように思います。
というように、課題は多いかもしれませんが、まずはジャンプです。4Sが安定してくれば他の部分にも余裕が出てくるはずですしね。色々やろうとせずに、一歩一歩前へ進んでください!刑事くんはまだまだ伸びる!

そして勝負の第2グループ。
SPでは4Tを決めて86.81を叩き出したオレクシイ・ビチェンコ(イスラエル)は、このFSでもその勢いのままに4T+3Tと4Tを華麗に降り、3Lo、丁寧なシットスピンという上々の序盤戦。
ステップでは足元はシンプルながらしなやかな動きで『道化師』を踊り、後半は高さのある3A、続く3Aはステップアウトするも根性で+2T、基礎点は逃しません。
そこからも3Lz、キャメルを挟んでの3F+1Lo+3S、2Aと的確に着氷し、コレオも息切れすることなく滑り切ると、最後のスピンはやや疲れが見えたものの、気持ちは少しも切れることなく、集中した表情のままフィニッシュ。
大きな手ごたえを掴んだビシェンコは体に力を込めてのガッツポーズ!
昨季欧州2位の実績が自信になっているのか、本当に堂々たる演技でした。28歳(88年2月生まれ)の弛まぬ努力には敬服せざるを得ません。
FSは168.71(88.57・80.14)でパーソナルベスト、合計255.52もパーソナルベスト!

ビシェンコがいい演技をしたことでプレッシャーがかかるのはSP3位のミハイル・コリヤダ。地元ロシア観客の声援に応えて、この順位を守れるか。
大歓声のなかスタートしたコリアダですが、4T軽くオーバーターン、4Sを狙ったっぽいジャンプは豪快な3S、続く3A+3Tも両足着氷という不穏な立ち上がり。
それでも3Lzは見事に着氷して、ステップでは『ラ・ヌーボ』(シルク・ドゥ・ソレイユ)のおちゃらけた踊りで観客の手拍子を巻き起こして悪い流れを断ち切ります。ここは動きも良かったですし、ターンも滑らか、21歳という年齢の割にマイムも上手いです。
そしてステップの流れからのシット、芝居マイムを挟んでの後半3Aを成功させ、表彰台が見えてきたかに思えましたが、コンボにしなければいけない3Lzで転倒、これは痛い。
その後も動揺があったのか、2Lo、2A+1Aというミス。
スタミナも切れてきて、終盤の演劇的コレオはへろへろ、得意のスピンはキャメルもビールマンも滑らかでしたけど、スミナ面の課題は明らかでした。
FSは155.02(72.04・83.98・減点1)、合計245.30。
地元の応援に応えられず、悔しそうに顔をしかめるコリアダ。これもまた経験です。

日本が誇る小さな怪物・宇野昌磨は、ロシア人観客の氷の視線のなか、『ブエノスアイレス午前零時』の音楽を両腕で絡みとるよに滑り出すと、冒頭の4Fはフリーレッグで捌いてのぎりぎり着氷、大きな滑りからの4Tはクリーン!力を練っての3Loもよし!緊張の序盤を潜り抜けた!
そしてコンパクトなキャメルで音楽を盛り上げ、そのまま入ったステップではフットワークと全身の動きで弦を細かく爪弾き、そのまま徐々に滑りが加速してゆく素晴らしい流れ。これにはロシア人も堪らず拍手。
背筋を意識して腕が柔らかく大きく使えているので、演技も大きく見えます。
正確なコンビネーションスピンで雰囲気をさらに盛り上げ、勝負の後半はイーグルからの3A!これもヒヤッとするジャンプでしたけどフリーレッグで上手く捌いた!
そして巧みな踊りで会場の空気を自分の懐に収めると、王者越えを狙う4T!…でしたけど惜しくも転倒。
コンボも付けられず、繰り返し減点をもらう手痛いミス。
しかし、起き上がってからの滑りで少し躓くも、気合を込めた3Lzはしっかり着氷、美しくつま先が外側に向くイーグルで観客を驚嘆させ、前大会でミスった3A+1Lo+3Fも今回はお見事!
最後の3Sもばっちり決め、コレオでは代名詞のクリムキンイーグル(リンボーダンスのように上体を逸らすイーグル)でモスクワを熱くさせると、最後はありったけの力を込めたコンビネーションスピン、アップライトの姿勢で天を衝いてからのフィニッシュポーズ!
序盤からこらえ気味のジャンプが多かったせいか、後半は足に来ていたようにも見えましたけど、最後まで踏ん張りました。よくまとめたと思います。
FSは186.48(96.12・91.36・減点1)、合計285.07でPB。
ミスは1ヶ所なんですけど、そこが最もダメージの大きい場所だっただけにスコアは伸び切りませんでした。本当に悔しい!
ただ、ミスが続かなかったところ、終盤も食らいついていったところには、宇野くんの成長と、勝利への執念を感じました。
PBが出たことよりも、てっぺんを目指す者のみが放つ雰囲気が濃厚になったことを私は喜びたいと思います。

宇野くんがなんとも微妙な点数で演技を終えたことで、優勝のチャンスが大きく広がったのはハビエル・フェルナンデス(スペイン)。
他国選手に冷たいことで知られるロシアだというのにフェルナンデスにはホームのような大歓声。さすが現世界王者…というか黄色い声が多いのでハンサムが理由でしょうね。
そんな女性ファンを挑発するように屈みこんだ姿勢でエルヴィス・プレスリーに扮すると、まずは爆発的な4T!
4S+2Tはやや軸を乱し、会場に視線を送りながら加速してからの3A+2Tもややバランスを崩したものの(予定は+3T)大きなミスにはなりません。
深いシットスピン、コレオでは軽い動きながらスケートは力強く、音はきちんと拾って決めるところは決めるという、省エネながらさすがの上手さ。
鮮やかな踊りで後半へと繋いでゆくと自然に手拍子が巻き起こり、ホームのような雰囲気のなかでものの見事な4S!
3Aと3Lzも着氷し、3F+1Lo+3Sはよろめきながら無事クリア、コンビネーションスピン、軽くイナバウアーをしてからの3Loもしっかり決めると、コレオではしなやかに体を躍らせ、『エルヴィス・プレスリーメドレー』らしく女の子の視線を一身に集めながらの楽しいダンス。
最後のコンビネーションスピンは疲れで緩むも、スポットライトを浴びながら滑るような鮮やかな演技でした。
フェルナンデスは、まあ、こんなものか、という余裕の表情。
シーズン初戦なので状態はまだまだなのでしょうけど、25歳のベテランらしく押さえるところは押さえ、全体の流れを切らさなかったのもさすがでした。課題の後半も体力・集中力ともに、もうグダることはありませんね。
そして何といっても、演技全体の力強さが他の選手とは圧倒的に違います。踏み込みが強いので、滑りにもジャンプにも凄まじい迫力を感じます。
2季連続の世界王者は、いままさに充実しきっていますね。
格が違う演技に、私もシャッポを脱ぎました。
FSは201.43(106.73・95.70)、合計292.98で見事な優勝!
今季は羽生結弦やP・チャンなどがジャンプ構成の難度を上げてきていますけど、フェルナンデスは昨季を変わらず、それを磨き上げる方向できています。これはこれで間違いではないと思いますし、フェルナンデスは荒削りな部分が多い選手なので、どちらかといえばこっちの方が怖いかも。
今季も世界王者に最も近いのは彼かもしれませんね。やはり日本勢にとっての最大最強のライバルです。

フェルナンデスの背中を視界に捉えたかに思えたのは、その背中が思ったより大きかったせいかもしれませんね…。
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