2016GPSロシア大会、女子シングル(前) ソチのヒロインの悲劇

2016GPS第3戦ロシア大会女子シングルには日本から村上佳菜子さんと松田悠良さんが出場。
今季は前の2戦まで日本女子がメダルを獲っているので今回も、といいたいところですが、この大会には地元ロシアのポゴリラヤ、ラジオノワ、リプニツカヤという世界の表彰台経験者が揃い踏みしているため、かなり厳しい戦いが予想されます。
2人の大和撫子が世界のトップレベルにいかに食らいついてゆけるか、そこに注目しましょう!

SPの村上佳菜子さんは出だしの3Fが詰まった感じの回転不足(UR)、後半の3T+3Tも回転が足りずにステップアウト、2Aは入ったものの、ジャンプミスが響いて55.25(TES27.14・PCS28.11)の10位。
スピンやステップは前のアメリカ大会よりもよくなってきていますし、『カルメン』の情熱が徐々に高まってゆく様子も上手く表現できたと思いますけど、やはりジャンプが残念。
FSの『トスカ』でもジャンプの調子は戻らず、冒頭の3Loがダウングレード気味の着氷になると、3Sのあとの3Fも詰まった回転不足、後半も1Aが2本(1本は2A+3T予定)、3F+2Tのフリップがまたしても回転不足になってしまって、95.78(39.88・55.90)、合計151.03。結果は11位。
スピンやステップは良かったと思いますし、劇的な音楽も体を大きく使った舞と、深いエッジで上手く表現できていただけに、ジャンプだけが本当に残念。
キスクラではコーチと笑いながら何やらおしゃべりしていましたけど、演技内容とその雰囲気の乖離がなんだか不気味でした…。
前の試合もそうだったように、今季はフリップとループが絶不調なのは間違いありませんが、全日本まではまだ時間がありますから、どうにか立て直して欲しいですよね。

これがGPSデビューとなる松田悠良さんのSPは、微笑みのマイムからのステップシークエンスで入る『ピアノレッスン』。
ステップでは片足で大きく滑らかに、躍動感もあって体の使い方も綺麗、スパイラルからの2Aもよし。
シットスピンで前半を締めくくり、後半はステップからの3Lo+3Lo!使う選手が少ない松田さんならではのジャンプでしたけど、やや回転が足りずに足をついてしまって残念。
続くキャメルスピンも少し緩んて音楽の盛り上がりに乗り切れなかったものの、ギアを上げるように加速してから、バレエジャンプ、ステップからの3Fは決めた!
最後は的確なポジションチェンジからのビールマンでフィニッシュした松田さんはほっとしたような表情。
2分50秒を慈しむように、とても大事に滑った印象でした。
SPは61.57(32.92・28.65)で7位。
FS『スパニッシュ・キャラバン』では冒頭に大技の2A+3T+3Loを鮮やかに決めると、3Fもよし、キャメル、ターンから入るステップでは伸びやかに軽やかに。ここはフットワークにもう一工夫欲しいかも。
後半冒頭の3Lzはエッジを意識しながら慎重に、2A、シット、ウォーレイからの3F+2T、3Lo+2Tも決めた!
やや疲労が見えるコレオスパイラルも気持ちで乗り切り、3Sも無事着氷、最後のスピンもふらつく体を支えてのビールマン、全力を出したノーミスの演技は素晴らしかった!
この試合に賭ける気持ちの強さがひしひしと伝わってきました。丁寧な滑りも好印象でしたね。
FSは116.08(57.86・58.22)、合計177.65。順位は7位でしたけどまずまずのデビュー戦だったと思います。
スピンがやや苦手なのと、ジャンプの回転がぎりぎりでGOE(加点)があまり取れないので、どうしてもスコアが伸びません(※3連続の3TがUR、3Lzはエラー判定)。
今後はそのあたりの技術をさらに高めてゆく必要がありますけど、真面目な選手なのでこつこつと上達してゆくはずです。
期待しましょう!

前の大会を怪我で欠場したユリア・リプニツカヤは状態が心配でしたけど、SPでは3T+3Tを軽々跳んで、柔らかく技巧的なキャメル、ステップでは相変わらずエッジが使えず、体の使い方が小さいものの、よく動いて元気そう。
肉体的にも昨季は体重増に苦しめられましたけど、今季は絞れているので体型変化も乗り越えたのかもしれませんね。
後半もスパイラルからの2A、フラットエッジ気味の3Fも決めて、最後は独創的なポジションからのI字キャンドル、レイバックのキャンドルビールマンで会場を大いに沸かせてのフィニッシュ。
演技中ずっと愁いを帯びた表情で『枯葉』の雰囲気を出していたのも彼女らしさ。天性のアクトレスです。
SPは69.25(36.46・32.79)で3位。
昨季の末からコーチがアレクセイ・ウルマノフに変わり、このSPも振り付けはステファン・ランビエールということで、以前のような芝居でごまかす部分がなくなったのも私はいい方向性だと思います。
今後は体の使い方をより洗練させ(いまはぐにゃぐにゃしています)、スケーティング技術を高めてゆけば、また違った魅力を発揮してくれるのではないでしょうか。
そうして始まったFSでは3Lz+2T(予定は+3T)で始まったものの、3Lo、2A、3F(エラー)と揃えるも、キャメルで珍しく軸ぶれ。
すると後半冒頭が力ない0.5Aになってしまい、次のジャンプはもう踏み切れず、演技をストップ。
左足を引きずりながらジャッジのもとへと滑り寄って何やら話し込み、コーチにも相談。リプニツカヤの瞳には涙が浮かんでいました。
中断は長い時間となり、その間水を打ったように静まり返った会場では、堪えきれず涙を流す観客の姿も。
ここで演技終了かと思いましたけど、リプニツカヤは気丈にも演技を再開させ、ステップシークエンスでは思ったよりも滑ることができたものの、2Aで大きく転倒。会場からも悲鳴が聞こえそうでした。
最後は代名詞のキャンドルスピンで意地を見せてくれましたけど、残酷すぎる『キル・ビル』に、観客の心は切り裂かれてしまったのではないでしょうか。
なぜ最後まで演技をしたのかはよくわかりませんが、ひょっとするとランキングポイントのためかもしれませんね。滑り切れば一応順位は付きますし…。
FSは79.21(31.56・53.32)、合計148.46。
それにしてもSPでの歓声の大きさ、FSでの同情と応援の大きさから、彼女がソチ五輪のヒロインだったことがよくわかります。ロシアのファンからの強い愛を感じました。「これから手術するかも」(イルマノフ談)とのことですけど、ロシアのみならず世界中のファンが少しでも早い復活を待っているはずです。
もちろん、私もそのひとりです。
(長くなってしまったので後編に続きます。)
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