2016GPSロシア大会、女子シングル(後) 迫力の女王

(続きです。)
リプニツカヤにアクシデントが起きたことで俄然激しくなった3位争いを制したのはアメリカのコートニー・ヒックス。
中国の李子君とカザフスタンのエリザヴェート・トゥルシンバエワはSPではいい演技をしたもののFSではスタミナ面の課題が克服できずに、スコアを伸ばしきれませんでした。
ヒックスは特徴のある選手ではありませんが、ミスはあっても押さえるところは押さえた演技で、しっかりスコアを稼ぎましたね。
今季の世界選手権は来季の五輪の”出場枠”がかかる大事な大会ですけど、アメリカはゴールドが絶不調、エドモンズが怪我なので、ヒックスにかかる期待は大きなものがあることでしょう。

昨季はずいぶん身長が伸びたエレーナ・ラジオノワ(ロシア)ですが、今季は体つきがしっかりしてきて、もうジュニアの頃の面影はどこにもありません。美しいシニアのスケーターです(99年1月生まれ)
SPのオペラ『ポーギーとベス』では、勢いのある滑りから3Lzがやや詰まりかけましたけど強引に+3T、続くキャメルスピンは少し緩み、ウィンドミルからのコンビネーションスピンもややぎこちない感じ。大きくなった体を扱いかねている印象。
それでも持ち前の体のしなやかは健在で、それを使って曲調を彩ってからの後半3Loはクリーン、苦手な2Aで着氷を乱すも、ステップシークエンスでは豪快なターンと独創的な振り付けで楽しい雰囲気を作って音楽表現もばっちり。ここは魅せましたね。
フットワークも昨季より良くなってきて、もう靴が重い感じはどこにありません。
フィニッシュは力強いレイバックからピンとしたビールマンスピン。
体型変化も苦労しながら徐々に自分のものにしているようです。
SPは71.93(TE37.50・PCS34.34)で2位。割と高いですね。さすがホーム。
FSでは順番がリプニツカヤの次ということで、かなり待たされた影響からか、冒頭の3Lzは詰まってコンボにならず、次の3Fに無理やり+3Tを付けるもふらり。
スピンはSPに続いてやや苦労し、ステップも動きが重く、音楽に先行されて攻め切れません。続くコレオでもボディコントロールがままならず、スケーティング技術も物足りなくて残念。SPでは見えなかったアラが出ちゃいましたかね。
彼女らしい大らかな滑りで入った後半も3Lz+1Lo+3Sはぎこちなく降りるも、続く3Loは両足踏ん張り着氷、2Aが潰れたようになると、3Loで転倒(コンボならず繰り返し減点)。
このあたりはもう足が棒のようになっていました。
起き上がっての2Aもぐしゃっと折れるような着氷、最後の2つのスピンもしんどそうで、体力自慢のラジオノワにしては珍しい失速でした。
体格が良くなったことで、滑り自体の力感が増し、このFS『トゥーランドット』でも誇らしげな雰囲気が出せるようになっていたものの、その代わりに以前の柔軟性が失われてしまいました。
ただ、そのパワーはスケーティングを含めた表現技術には直結しておらず、今後はそれが課題でしょうね。大人の体に合わせた新しい演技スタイルを作ってゆくべきだと思います。姿勢にも、すぐに屈み込んでしまう悪い癖がありますしね。
FSは123.67(57.92・66.75)、合計195.60。
いまは苦労していますけど、ここを乗り越えたら本当に凄い選手になるんじゃないかと、心から楽しみにしています!

体型変化といえば、昨季の序盤はそれに苦しんだものの、適応してからの終盤は演技が安定し、世界選手権で3位に輝いたのがアンナ・ポゴリラヤ(ロシア)。
今季もその勢いが続いているのか、SPでは素晴らしいスピードからの3Lz+3Tを決めてほっと笑み浮かべると、豪快なコンビネーションスピンとキャメル、後半の3Loは空中でややバランスを崩すも上手く修正し、加速してからのターンを挟んだ2Aも大らか(前は苦手にしていたとは思えません)。
ステップでは長い手足を生かして見栄えがする『セント・オブ・ウーマン』。決めポーズや足の使い方が誰かに似ていると思ったら、なんと振り付けはミーシャ・ジー。そういえば曲のアレンジも、リズムの変化がわかりやすくてミーシャっぽいです。
最後は切れ味するどいヘアカッターからビールマンはやや緩んだものの、スタートの勢いそのままに駆け抜けた迫力満点の演技でした。エネルギーに溢れていましたね。
地元観客の大声援に満足そうな笑みで応えるポゴリラヤもピカピカしていました。
SPは73.93(39.24・34.69)で1位。
大きく美しく優雅に滑り始めたFS『モディリアーニ 真実の愛』では、冒頭に大胆な3Lz+3Tを決めると、エラー気味の3Fも力強く着氷し、2Aもよし。
長身を生かしたステップではエッジも深く、体の使い方も大らかで、リンクを存分に使ったその滑りからは、会場を制圧する勢いを感じます。
その流れのままのコンビネーションスピンもいい回転で前半を締めくくると、後半は持ち前のスピードからぎこちない3Lz+1Lo+3Sを強引に決めると、3Lo+タノ2T、手拍子が起こるなかの雄大なコレオスパイラルはスピードがずるい!
3Loと2Aも終盤とは思えぬ力強さで決め、I字のコンビネーションスピン、ビールマンスピンも加速するような勢いでフィニッシュ。
最初から最後までスピードとエネルギーが持続するので観ていて本当に気持ちいい演技です。このスケール感は彼女ならでは。
スタミナ面も問題がなく、技術的にも安定していました。体型変化も落ち着き、いよいよ充実のときですね。
優勝を確信しながら観客に手を振るポゴリラヤからは、落ち着きと気品が感じられます。その視線の先には世界女王の座が見えていることでしょう。
FSは141.28(70.76・70.52)、合計215.21のパーソナルベストで堂々の優勝。いやあ大したものです!おめでとう!

このロシア大会で2016のGPSは第3戦までが終わったわけでですが、有力選手が出そろったいまいえるのは、今季の女子シングルの中心にいるのが、メドベージェワとポゴリラヤの2人ということ。
GPファイナル、ロシア選手権、欧州選手権、そして世界選手権と、この2人が優勝を争うことになるでしょう。
それぞれの個性でいっても、メドベージェワは”安定感”、ポゴリラヤは”勢いと迫力”というふうに、対極的なのも面白いところです。
そして、日本勢を含め、他の強豪たちはどうやってこの2人と戦ってゆくのか。
みなが切磋琢磨し、全体の技術レベルが上がっているいまの女子シングルからは目が離せません!
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