2016GPSフランス大会、女子FS 怪我を治す魔術はないのか

SPでの浅田真央の不調を見て、FSはもうテレビのチャンネルを合わせたくない、というひともいるかもしれませんが、浅田さんも覚悟を持って次の五輪を目指しているのですから、我々も稀代のヒロインが困難に立ち向かう姿を目に焼き付けようではありませんか!
というわけで、2016GPSフランス大会女子FSを勇気を振り絞って振り返ってみたいと思います。

『レジェンド・オブ・フォール』の美しい花嫁に変じた永井優香さんですが、冒頭が1Lzになってがっかり。
しかし、3Loはしっかり決めると、コンビネーションスピン、バレリーナのようなターンから、名前のように優雅で香り立つようなステップシークエンス。細かく繊細に音楽を奏でていました。
後半はまず3Tを跳んで流れを作りたいところでしたけど、これが2Tになって不穏な空気。
そしてコンビネーションスピン、情感を込めた振り付けから加速しての2A+3Tでしたけど、これは決まった!
3Sもよし、2A、繋ぎのようなコレオからの3S+2Tも揃えていい流れを作ると、丁寧なヘアカッタースピンでフィニッシュ。
FSは107.08(TES49.95・PCS57.13)、合計159.49。
ジャンプの抜けがあってどうなるかと思いましたけど、ミスを連鎖させなかったのが良かったですね。
ただ、やはり主武器のルッツの調子が戻ってこないと厳しい。全日本までに何とか!

日本中の祈りのなか、炎をたぐるような振り付けで『恋は魔術師』をスタートさせた浅田真央、2Aを綺麗に決めて我々を安心させるも、コンビネーション予定が単独の2Fになり、次も2Lzになるという目が眩むような事態。
キャメルもやや緩んで、調子が悪いことは明らかなものの、嫌な空気を切り裂くようなコレオスパイラルでは洗練された滑り、美しいイーグル。
後半は2A+3Tが両足気味になるも根性で着氷し、ここから盛り返して欲しいところでしたけど、2S、2Fという力ないジャンプ。
ただ、得意の3Loをぎりぎりのところで何とか着氷させたところには意地を感じました。
コンビネーションスピンとレイバックビールマンは「いまできることをやる」という集中力を見せ、締めのステップでも高い技術とボディコントロールを披露するも、いつものエネルギーやキレは感じられません。
演技を終えた浅田さんは打ちひしがれたような表情。
FSは100.10(39.64・60.46)、合計161.39。
3回転ジャンプがほとんど入らないという内容なので、スコアについてはもうどう語ったらいいかわかりませんし、考えたくもありません。
それより何より心配なのは左膝の状態です。
怪我による不調でいうと腰を痛めていた13年の全日本を思い出しますけど、そのときとは比べ物にならない深刻さだと思います。
しかも、フィンランディア、スケートアメリカ、今大会と、徐々に状態が悪くなっているのも本当に心配です。
情報が制限されていて、どんな怪我なのか、どんな治療が必要なのかはわかりませんが、あくまで最終目標は18年2月の五輪なのですから、そこに向けて最良の選択をして欲しいものです。
ファンたる我々にも覚悟は必要なのです。

第2グループで登場した樋口新葉さんは寝物語のしなやかなマイムから上手く『シェヘラザード』に入り、スピードに乗っての3Lz+3T!3Loもびしっと決めて、軸の確かなI字のコンビネーションスピン、なめらかなスケートからの3Sも成功。
勢いを感じる序盤でした。
ただ、ステップシークエンスでは足元が効果的に動かず、それを上半身でカバーしようとするも、音楽の盛り上がりになかなかついてゆけません。振り付けと要素をこなすのに精一杯で音楽に置ていかれているといった印象です。
後半は2Aで心を整え、勝負の3Lz!の予定がまさかの1Lz…。
キャメルではやや焦りが見えるも、3F+2Tをしっかり決めて流れを引き寄せると、2A+3T(やや回転不足か)+2Tも無事着氷させて盛り返します。
そこからは慎重にまとめるコレオ、手の動きに工夫があるへカッタースピン、ターンを挟んでのフィニッシュポーズ!
GPSデビューをまずまずの内容で終えてくれました。
ただ、繋ぎが物足りないのと、ステップとコレオという見せ場で大きな演技が出来ず、攻め切れないので、プログラムになかなか魅力が出てきません。細かいところを気にし過ぎて、持ち味のスピード感や大胆さが生かせていない印象ですね。
指導者の方々は樋口さんをもっと大きく育てて欲しいものです。小さくまとめて欲しくない!
FSは129.46(63.59・65.87)、合計194.48。
日本の次のエース候補ということで、ジャッジもおまけをしてくれたのか、思ったよりスコアは高め。
しかし、SPの点差があるので、これだと表彰台は厳しいか…。

世界女王エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)は、手を振っていってらっしゃいのマイムからのったり滑って、タノ3F+3T、続くタノ3Lzでは珍しく転倒。エッジに問題があるので慎重になりすぎたのでしょう。
しかし、それをまったく気にすることなく柔らかいI字のコンビネーションスピンで流れを作ると、まったりしたステップでは長い脚が窮屈そう。ちょっと調子が悪いのか、いつも以上に緩急がありません。
それでも後半は3Lo、タノ3F、足上げからぐしゃぐしゃした2A+タノ2T+2T、3S+2T、タノ2Aとしっかり揃えたのはさすが。スピードは全然ないのに跳べるんですから本当に凄い。
コレオスパイラルでは得意のI字を駆使し、そこからしなやかなコンビネーションスピン、最後はメカニックの綺麗な綺麗なビールマン、悲しみの電話を受け取ってのフィニッシュ。
調子が悪かったのか全体的に動きが重たかったですね。
でも、”推されている選手”なのでスコアはそれに影響されない。それがフィギュアスケートです。
FSは143.02(72.06・71.96)、合計221.54。
これといった必殺技もなく、各要素でこつこつとスコアを積み上げる選手だけに、何が凄いのかよくわからず、TVで観ていてもなぜ高得点になるのかよくわからないひとが多いのではないでしょうか。
”色んな意味”で現在のフィギュアスケートを象徴している選手だと思います。

樋口さんと表彰台を争う位置にいるマリア・ソツコワ(ロシア)は、しっとりと氷を愛でながらスタートすると、3Lzで踏ん張りながらも+3T、静かな滑りからの3F、長い足のキャメル、細身の長身を必死に動かし、大らかに滑りからのステップシークエンス。
長身と長い手足もそこそこ制御できていますし、エッジが深いのも好印象。凄い潜在能力を感じます。
体力面に課題の残る後半も、3Lo、ぎこちない3F+1Lo+3S!これが勝負の面では大きな成功。
3Lzはぎりぎり着氷、2A+タノ2もひいこら、それでも滑りの良さを生かしたスパイラルで終盤を盛り上げ、2Aをなんとか降りて、コンビネーションスピン、長身が映えるコンビビールマンで、気持ちの籠った『アダージョ』でした。
FSは131.64(67.77・65.87)、合計200.35。
体型変化の途中で、長身の扱いに四苦八苦していますけど、滑りのセンスといいフィジカル能力といい、素晴らしい才能があるのは疑いありません。女子にしては珍しくルッツとフリップの跳び分けが出来るのも大きな武器だと思います。
今後、体型変化が上手く収まれば、女子シングルを席巻する可能性もあるのではないでしょうか。密かに期待しておくことにします。
…樋口さんは残念。同じくシニアデビューのライバルですけど今回は負けを認めるしかありませんね。

SPでは72.70を叩きだして、表彰台へのセイフティリードを作ったかに思えたガブリエル・デールマン(カナダ)でしたけど、冒頭の3Tで着氷が氷にひっかかっての転倒、続くタノ3Lzも着氷を乱し、3F予定もまさかの1Fになるという悲しみの『ラプソディ・イン・ブルー』。リードは全て吐き出してしまいました。
しかし、安定したキャメルとレイバック、そして後半への繋ぎで心を整えると、3Lz+2T+2T、3Loは確実に着氷。
これで表彰台もまた見えてきたものの、イナバウアーを挟んでの足上げ2Aがややふらり、3S+2Aがオーバーターンで嫌な雰囲気。
音楽が高鳴ってのステップでは細かく足を使うも披露は明らか、それでもなんとか粘って力強さをキープして、アップライトのコンビネーションスピンで演技を終えたデールマンは何とも微妙な表情。
この時点で首位のメドベージェワ、2位のソツコワには届かないでしょうけど、3位の樋口さんとの差はなんともいえません…。
そして出てきたスコアは119.40(55.26・65.14・減点1)、合計192.10。勝ったのは樋口新葉!
キスクラのデールマンは涙目。SPでかなりのリードがあっただけにこれは本当に悔しいでしょうね。前のスケートカナダも4位でしたし…。
まあ、カナダ選手権でがんばって!

これにて樋口さんは初のGPSで見事な3位。
デールマンの思わぬミスでの棚ボタといえばそうなんですけど、内容は十分表彰台に値するものだったと思います。
結果は結果!
これを弾みに次のNHK杯でも活躍して、目指すはGPファイナルだ!
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