2016GPS中国大会、女子FS 混戦の結果

SPを終えて、表彰台争いが混沌とする2016GPS中国大会。
3強のうち、ワグナーの調子が悪いことがその主原因ですが、そのお蔭で日本の三原さんと本郷さんにもメダルのチャンスが出てきました!
とくに三原さんは前のアメリカ大会で3位になっているので、GPFの可能性も残しています。ここでワグナーを倒して、彼女のポイントを奪うことができれば、そのチャンスはさらに広がるわけです。
では、そんな期待を込めて見守ったFSをざっくばらんに。

SP4位のエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)は、FSのプログラムを昨季の『ペール・ギュント』に戻し、衣装も昨季着ていた黒いひらひらのシースルーに。
まずはタノ2Aでスタートすると、3T+3Tは軽々、3Fは慎重に降りて、シットスピンとレイバックスピンはレベル取りを意識する感じ。
ヴォーカルが響くなか、ゆったりと滑ってからの後半3Lz2Lo+2Loはしっかり決め、3Loもよし。
彼女らしい腕の演技で衣装をひらひらさせてからの3Lz予定は力んで2Lzになるも、すぐに気持ちを切り替え、ステップシークエンスでは朗らかな表情を見せながらのあっさり軽い滑り。
最後の3Sは危うい着氷になるもこらえて+2Aに、加速してのコレオでは音楽の盛り上がりに合わせて腕の演技で彩ると、締めのコンビネーションスピンも集中して回って、ほっとした笑顔。
大きなミスは2Lzのところくらいで、あとの技術要素はレベルも加点(GOE)もしっかり取れていたと思いますし、まずまずの内容だったのではないでしょうか。気持ちも入っていましたね。
FSは127.69(TES63.11・PCS64.58) 合計192.57。
ジャンプの技術が高いので、要素が決まるとスコアは伸びます(演技は手抜き)。やはりまだまだ実力者ということでしょう。
この演技を上昇の兆しにして、次は3Aを入れての爆発だ!

SP5位のアシュリー・ワグナー(アメリカ)は静かなマイムで、一気に『エクソジェネシス』の空気を作っての2A、力を込めた3F+3T、ステップからの2Aを跳ぶとそのままFシットスピンに。いい流れの序盤戦。
ステップでは音楽を全身で浴びながら、足元も丁寧に、心地よく観客を曲の世界に誘うと、加速して入った後半は3Lo+1Lo+3Sをやや潰れ気味に着氷、3Fは助走が乗らずに力技、3Loはステップアウト、3Lzも回転不足で両足着氷(エッジも微妙)。
後半はスケーティングスピードが上がらず、ジャンプがその場跳びになっていましたね。
それでもベテランの意地で、自分に鞭を入れた終盤は安定したコレオスパイラル、イーグルは綺麗、締めはコンビネーションスピンを2つ重ねて、しっとりとした静謐のなかで演技終了。
後半はぐだぐだになりそうなところをどうにか流れだけはキープし、作品としての完成度をそこまで落とさなかったのはさすが。
FSは117.02(48.46・68.56)、合計181.38。
ジャンプの回転不足が目立ってスコアはあまり伸びず、GPF進出に暗雲が漂ってきました(アメリカ大会は優勝)。

そうしてにわかに表彰台の可能性が高まるなか、SP6位の本郷理華はやや強引な3F+2T+2Loでスタートすると次のジャンプが完全にパンクした2Lo(ダウングレード)になって我々を心配させるも、3Lz(エッジは微妙)は思い切りよく跳んでほっと一安心。
キャメルスピンのあとは、『アラビアのロレンス』の流転の日々を演じるステップシークエンス。
体を柔らかく使い、エッジも繊細に使いながら、決して弱々しくならないように注意しているのがよくわかります。
後半は気持ちを込めた2A+3Tの2連発、これでパワーを使いすぎたのか3Fではステップアウト。これはもったいない。
そこからビールマンを回り終えると、唐突に盛り上がる音楽に合わせて攻めのコレオ。ここは本郷さんの大胆さがよく出ていました。
そうして終盤の3Sはしっかり着氷すると、大団円のコンビネーションでフィニッシュ。
このFS『アラビアのロレンス』は、大作映画を4分で表現するという欲張りなプログラムで、演技の細かさや場面転換の工夫など主演の本郷さんに求められるものが本当に多くて、かなりの難題だと思います。正直いって、まだまだこなせているようには見えません。
振付けの鈴木明子さんはまさに”鬼監督”ですね。
FSは118.12(56.51・61.61)、合計181.75。 
カナダ大会よりは良くなってきましたけど、今季の本郷さんは演技全体のスピードが落ちているのが気になります(スピンも緩いです)。
全日本までにもうひとつギアを上げねばなりません。
表現面では一段と磨きがかかっていると思うので、それをもっと楽しみたいものです。

SP2位からの逆転優勝を狙うエレーナ・ラジオノワ(ロシア)は、このところ跳びにくそうにしている3Lz+3T(URか)を強引に着氷すると、エッジが微妙な3Fは思い切りよく跳び、豪快なウィンドミルのコンビネーションスピン、ステップとコレオでは全身を大きく使い、スケーティングも滑らか。上半身の良さに、ようやく下半身が追いついてきましたね。
そうしうて存分に『トゥーランドット』の世界を広げ、後半はぎこちない3Lz+1Lo+3S、3Lo+2T、2Aは折れるような着氷、3Loも同じ、2Aはまずまず。
ジャンプはどれも出来があまりよくありませんでしたけど、基礎点はしっかり拾っていました。
ただ、後半は疲れからかスケートがあまり進まず、中弛みした印象ながら、終盤のコンビネーションスピンで必死に食らいつき、最後のビールマンはぴんと伸びるような姿勢で、高らかに曲を歌い上げるようなフィニッシュ。
ぐちゃぐちゃしたところもありましたけど、粘りを感じる演技。大きな拍手を送りたいです。
FSは135.15(65.50・68.65)、合計205.90。
ラジオノワはいまの若手には珍しく、”魅せる”意欲のある選手ですし、応援したくなります。体型変化に苦しみながらも、それに抗い続ける姿も胸を熱くさせますしね。
その体型変化でいうと、ジャンプにはマイナスかもしれませんが、本当に見栄えのいいスタイルになったわけですけど、体を屈めるクセが気になります。それがなくなれば演技もより大きく、華やかになると思うんですけどね。

美しい滑り出しから冒頭の3F+3Tが軸ぶれするも、持ち前の強引さで着氷させたケイトリン・オズモンド(カナダ)。
次の2A+3TはSP1位から一気に優勝を掴むような鮮やかさだったものの、エッジが気になる3Lzはおかしな形のダウングレード着氷。
そこからは大柄な体格を生かした迫力のあるビールマンとキャメルでリズムを取り戻したかに見えるも、後半の3Loは嫌な気配の助走からの転倒(UR)、続く3Fはやや後傾するも上手く抑えて着氷、3Sオーバーターン+2T、2Aは流れのある着氷。
オズモンドらしいドタバタの演技、『ラ・ポエーム』の雰囲気は何処へ。
終盤のステップは、ジャンプで七転八倒したせいか足が動かず、本来得意のパートなのに見せ場を作れず、コレオスパイラルも疲労は明らか、最後のコンビネーションスピンは力を振り絞っていましたけど、ドタバタと失速という彼女の悪いところが出る演技となってしまいました。
それでもスコアは思ったより高くて、FSは123.80(57.27・67.53)、合計196.00。
今季のカナダ陣営の”ケイトリン推し”は本物です。世界選手権でメダルを獲らせて、来季の五輪のメダル候補に祭り上げたいんでしょうねえ。

最終滑走の三原舞依さんを前に、ここまでの暫定順位は1位ラジオノワ、2位オズモンド、3位トゥクタミシェワ。
三原さん(SP68.48)のPB125.92から計算すると、現実的に捉えられるのはトゥクタミシェワの192.57。
しかしそれも本当にぎりぎりのところですから、ミスは最小限に抑えねばなりません。
そんな緊張のなか、可憐な『シンデレラ』となった三原さんは、冒頭の3Lz+3Tを無事成功!
ファーストでやや跳び過ぎて制御を失うも、セカンドでバランスを取り戻した技術が凄い。
そこからは流れるようなスケートから雑味のない3F、スパイラルを挟んでの2Aもフリーレッグがピンと伸びて綺麗。
ステップでは朗らかに愛らしく、スケーティングも正確。腕はまだバランスを取るのが主になっていましたけど、レベルを取るための
技術要素は抑えているように思います。
そうして丁寧なコンビネーションスピンで前半を締めくくると、勝負の後半は2A+3Tをすぱっと成功!
私はこれで表彰台を確信!
しかし、油断大敵という言葉そのままに次がまさかの1Lzに、コレオスパイラルでもエッジが深い滑りを見せるもやや動揺が感じられました。
そしてシットスピンのあとのコンビネーション予定の3Loも着氷を大きく乱し、「あかん!」と思われたものの、ぎりぎりで転倒を逃れます。
こうなると次の3Sはドキドキものでしたけけど、きっちり着氷したのは日頃の練習の賜物か(リカバリーはせず)。
最後は綺麗なI字とビールマンのコンビネーションスピンでフィニッシュした三原さんですけど、さすがに頭を抱える演技でしたね。
FSは122.44(59.87・62.57)、合計190.92で惜しくも3位に届かず。悔しいけど仕方ありません。
この表彰台を狙うFSでは、2A+3Tまでが本当にいい流れだったので、3Lzを大事に行き過ぎたのかもしれませんね。
この苦さもまた経験です。
三原さんは、自分自身で課題を見つけながら練習しているのが見えるような選手ですから、これを飛躍の糧にしてくれるはずです。
全日本でも台風の目といっていいでしょうね。
シンデレラストーリーはまだまだ始まったばかりだ!
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