2016GPSNHK杯、男子FS 羽生結弦がいることの幸福

SPで2位に約16点の差をつけたことによって優勝をはっきり視界に捉えた羽生結弦ですが、日本のファンが求めるのは羽生結弦らしい圧勝劇。
今季から取り組む4回転4本のFSを完遂し、札幌真駒内に伝説を打ち立てることができるのか、2016NHK杯の注目はそこに尽きるといっていいでしょう。
では、そんな期待に胸膨らませつつ視聴した男子FSをざっくばらんに。

初のGPS、初のNHK杯をいい思い出にしたい日野龍樹くんは、4Tに果敢に挑むも転倒スタート(回転不足)、続くジャンプも3Lz+1Lo+2S(3S予定)になってしまって、繋ぎの振り付けも硬さが見られました。やはり緊張していたのでしょう。
しかし、3A+3Tをなんとか着氷すると、3Loも決めて、流れを掴むと、『キダム』の表現を取り入れたスピン、シルク・ドゥ・ソレイユ風マイムで彩るコレオ、そして後半冒頭の3Aもよし!
これで盛り上げて行きたい後半でしたけど、次は悔しい2Lz、3F(エラーか)は着氷、ステップでは丁寧なボディコントロール、手先の演技もよく作り込まれていました。
そこから3S+2Tを降りると、最後はアップライトが鋭いコンビネーションスピンで両手を広げてのフィニッシュポーズ。
観客の温かな声援のなか、気持ちの入った滑りでした。ただ、4Tは仕方ないにしろ、2ヶ所のジャンプの抜けは悔しかったですね。
FSは134.65(TES66.37・PCS69.28・減点1)、合計207.15。
年々少しずつ少しずつ良くなってきていると思うので、全日本でも頑張って欲しいですね。2月に冬季アジア札幌大会があるので、そこに出場するチャンスもあると思います。

ジェイソン・ブラウン、ナム・ニュエン、ミハイル・コリアダ、オレクシイ・ビチェンコといった表彰台を狙うクラスの選手たちが軒並みミスを連発したことで、初の表彰台が見えてきたのは第2グループの田中刑事くん。
残りの選手はあと2人なのでこの演技終了時点で暫定1位ならばメダル確定なのですが、そのために必要なスコアは約150点。
これは刑事くんにとって、簡単そうであり、そうでもないという微妙な数字(前のロシア大会ではFS155.78)。
とにかく落ち着いて、しっかり要素を仕上げてゆくしかありません!(と書いている私自身がワクワクドキドキで落ち着かなかったです。)
ポケットに手を入れて、『フェデリコ・フェリーニメドレー』をお洒落にスタートさせた刑事くん、冒頭の4Sはお手つきしてしまうも、次の4S+2Tは気合の着氷!これはでかい!
この成功で気持ちが守りに入ったのか、続く3Aは慎重な助走からの両足着氷、シットスピンも硬い。何だか嫌な予感…。
けれども、音楽が急にアップテンポになって、会場からも手拍子が起こると、ステップでは生きのいい動き、足元も丁寧で、刑事くんらしい品の良さが見え隠れしていたのもまたよし。
これで会場も大いに盛り上がり、そして運命の後半、音楽が落ち着いてからの3F+3Tは根性で着氷、3A+2T+2Loも決めた!よっしゃあ!
疲労が出るなかでの3Lzも着氷、必死のキャメル、がんばれここからだ、3Loよし、応援手拍子の起こるなかの3Sもいった!よっしゃあ!
ジャンプが終わったことの解放感と会場の後押しでコレオでは力強い動きとスケーティング、のりのりでしたね。
最後のコンビネーションスピンも何かに突き動かされるように回って、「どうだ!」といわんばかりのフィニッシュ!
会場も爆発したようなスタオベ!私もテレビの前でスタオベ!
刑事くんは軽くガッツポーズ!充実した表情でしたねえ。
FSは167.95(87.79・8016)はパーソナルベスト、合計248.44もパーソナルベストで表彰台確定!
ついに田中刑事がきました。これを飛躍にきっかけにして欲しい!

同学年の刑事くんが作ったいい雰囲気のなか登場したのは羽生結弦。友達の好演を自分のパワーに変えるのがこの男。
『Hope & Legacy』の美しい調べそのままに滑り始めただけで会場を支配すると、冒頭は新技の4Lo!やや軸が曲がるも膝で上手く吸収した着氷!SPのミスは繰り返さない!
4Sは羽が生えたような軽さ、ビールマンで終わるコンビネーションスピンも素晴らしいメカニック、ステップシークエンスでは深くて綺麗なスケート、左右のバランスがいいターン、透き通るような流れに羽生結弦も自然な笑みを浮かべ、素晴らしい時間でした。
そして、そこからの3Fはズバっと着氷、これで雰囲気をがらりと変えると、恐ろしいまでに張り詰めた空気を作り、後半へ。
ここの羽生結弦を観たとき、私は鳥肌が立ちました。「これは歴史に残るような演技になるかも…」という期待と興奮で生唾を呑みこみました。
しかし後半冒頭のコンビネーション予定は4Sで転倒して+3Tにならず。勢いはありましたけど、アドレナリンが出過ぎたか…。
誰もががっくりするところですが、すくっと立ち上がった羽生結弦はイーグルから4Tを気迫の着氷!ここはちょっと危なかったけどよく耐えた!
そして3A+3T(+2予定ですがさきほどのリカバリー)、続いては3A+1Lo+2Sに。
3Aは羽生結弦の最大の武器ですが、ここのジャンプにいつものキレが見られませんでした。転倒の影響でしょう。しかし普通の選手ならば跳ぶことさえ出来ませんよ。これを足に来ているなかで決めてくる羽生結弦の凄み。これには脱帽するより他ありません。
シットスピンも疲れのなかで食らいついて回り、会場からの熱のこもった応援に力をもらったコレオでは、気迫のハイドロ、美しい身ごなし、ひとつこいで、必殺のイナバウアー、そこから会場(私も)の祈りのなか3Lzも決まった!さすが羽生結弦!
最後のコンビネーションスピンも疲労はあったにせよ、それを感じさせない技術の高さと誇りの高さを見せつけると、透き通る笑顔で「ありがとうございました」といって演技終了。
そしてSPに続いて、指で「もうちょっと」という仕草。
本人からすれば悔しさと清々しさの残る2016NHK杯だったことでしょうけど、会場の観客とテレビ視聴者を十分に満足させる内容だったと思います。
本当に素晴らしかった。
今季の羽生結弦は4Loにばかり注目が集まりますが、スケーティング技術は確実に向上していますし、演技全体の繋ぎはもちろん、FS前半のステップも決して手を抜くことなく、ひとつの作品になっているところなども、”点取り選手”ではないことを証明していると思います。
スコアや成績だけではなく、観客に喜びと興奮を与えてこそのフィギュアスケーターであり、絶対王者なのだと、羽生結弦は我々に強く訴えているのです。
世界最高点を出そうが決して満足することなく、さらに上を求め続けるこの男の姿こそが”世界最高”なのです。
FSは197.58(106.06・92.52)、合計301.47。

羽生結弦がトータル300点を叩きだしたことで、計算上優勝は絶望となったSP2位のネイサンチェン(アメリカ)ですが、次世代の王者を目指せる逸材であることを証明する演技がしたいところ。4種類の4回転を日本の我々に見せてくれ!
そうして滑らかな助走から入った4Lzでしたけど、これを転倒してしまってコンボならず、いったかと思っただけに残念。
しかし、続く4Fは軸を乱しながら着氷するとそこに+3T!すげえ!
次の4Tも軽くステップアウトするも、絶対に決めなきゃいけない4T+2Tはなんとか成功。心臓に悪い選手です。
そこからイーグルで入ったコレオではゆったり、あっさり滑って休憩タイム。前半がハードすぎますね。
後半はまず苦手な3Aで大きく着氷を乱し、早くもスタミナも尽きてきたように見えましたけど、3Loで気を取り直してからの3F+3T+2Tはお見事。
けれども疲労は明らかで、3Lzは完全に詰まった形、キャメルでもバランスを取るのに四苦八苦。
私も、これはもうやばいかなあ、と思ったんですけど、終盤のステップでは音楽の盛り上がりに合わせて気迫の攻め、『ダッタン人の踊り』だったんですけど、闘争心に溢れていましたね。心が挫けぬいい選手です。
最後の2つのスピンも攻めの姿勢だったネイサン・チェンには会場から褒め称えるような拍手。
17歳の挑戦は心を打ちましたね。
FSは180.97(97.91・84.06・減点1)、合計268.91。
この選手は4Lzと4Fを跳べるというだけではなく、その両方に+3Tを付けられるというのも驚異の才能です。
また、ジャンプだけではなく、スケーティングやスピンやステップの基本技術もしっかりしているのですから、どこまで大きくなるのか本当に楽しみでなりません。
課題の表現面でも意欲だけは感じさせるので絶対に伸びてくると思いますしね。
怪我だけには気をつけて!

こうして2016NHK杯男子シングルは、羽生結弦の連覇、2位のネイサンと3位の刑事くんはこれがGPS初表彰台、おめでとう!
上位選手はいい演技を見せてくれたので観客も満足度の高い試合だったと思います。
そしてまた羽生結弦のの勝利インタビューが最高でしたね。
観客を喜ばせ、刑事くんを称える(竜樹くんへは「もっとこいや」)姿は日本のエースであり、日本フィギュアの座長といった風格でした。
続く表彰式でも、にこやかな笑顔と誇らしげな『君が代』。
羽生結弦がこの日本にいて本当に良かった。
その幸福を噛みしめたい。
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