2016GPSNHK杯、女子シングル(前)

日本の我々にとって、この2016GPSNHK杯女子シングルは、宮原知子が優勝し、樋口新葉さんも表彰台に立ち、2人揃ってファイナルへ進出してくれるのが理想ですけど、そうはさせじと立ちふさがるのがポゴリラヤとソツコワのロシア勢。
この2人もまた3位以内でファイナル進出が確定するのです。
しかもこの4人でいうと、宮原さん(98年3月)とポゴリラヤ(98年4月)が同じ18歳、樋口さん(01年1月)とソツコワ(00年4月)が同世代ということで、今後も争ってゆかなければならない関係なのです。
では、そんな楽しみな戦いを熱く振り返ってみたいと思います。

そんな上記の選手たちの争いに注目が集まるところですが、そこに割って入りたいのが松田悠良さん。それだけのポテンシャルは
持っている選手です。
SP『ピアノ・レッスン』では、初のNHK杯とは思えぬ落ち着いた滑りを見せ、ジャンプも2A、珍しい3Lo+3Lo、3Fと決めたかに見えましたけど、残念ながら回転不足がついてスコアは60.98(TES31.33・PCS29.65)と伸び切りません。
ただ、ステップなどどは曲の世界に完全に入って、全身からピアノの音がこぼれてきそうでしたし、集中して自分の力を存分に発揮していたと思います。SP6位でFS最終グループに残ったのは立派。
FS『スパニッシュ・キャラバン』でも冒頭に大技の2A+3T+3Loを着氷すると、3Lzも丁寧に降りて、キャメルスピン、ステップでは片足で伸びやかに滑ってリンクも大きく使っていました。
後半は3Fにターンが入るも、集中した2A、さらりとしたシットスピン、曲調がスリリングになって、ウォーレイからの3Lo+2T、ハイドロを挟んでの3F+2T、かなり疲れているようでしたけど、それを見せないコレオスパイラル、気迫と集中力が凄い、最後の3Sも決まった!
ビールマンスピンを慈しむように回った松田さんは、ほっとしたようないい笑顔。
会場もとても温かい雰囲気に包まれていましたけど、私もテレビの前で大きな拍手を送っていました。
FSは117.28(57.15・60.13)、合計178.26で総合7位。
いくつか回転不足(UR)を取られたのと、スピンとステップで得点を稼げず、少し残念なスコアでした。
判定は厳しいといえば厳しいんですけど、松田さんの弱点を指摘していることもまた事実。
そこに立ち向かっていって、もう一段上の選手になることを楽しみに待っています!

樋口新葉さんは気持ちの入った振り付けから、いい流れの2A。着氷が音がしないほどスムースなのは凄い。
スピンは柔軟性ではなく正確性と体のラインの確かさで魅せ、ステップでは作り込まれた振り付けで『ラ・カリファ』を存分に表現するも、要素的にはシンプルでやや物足りないか。
そして、勝負がかかる後半の3Lzでしたけど、UR気味のステップアウトで私は頭が真っ白。
しかし樋口さんは冷静で、次の3F(エラーか)にしっかり+2T。冷静な15歳です。
最後も力強いヘアカッターでフィニッシュ。
SPは62.54(32.04・30.54)で5位。ルッツにURがついていなかったのでそこそこ出ました。危ない危ない。
しかし、これで表彰台は厳しい状況。
こうなれば思いっきり演技をして、あとは天命を待ちたいFS『シェヘラザード』では、色香漂うポーズからスケートを存分に伸ばしての3Lz+3T!
これで会場の期待は最大限まで膨らんだわけですが、次のジャンプが2Loに抜けて消沈。
それでも樋口さんは気持ちを真っ直ぐにしてのコンビネーションスピン、大らかに滑っての3S、演劇的な振り付けを挟んでのステップでは足元を一歩一歩しっかりと。
後半は2Aを前菜に、メインディッシュの3Lz+3T(ややURか)も強引に着氷!
シンプルなキャメルのあとも、加速しての3F(エラーか)、2A+2T+2Loと揃えたのはお見事!
疲れもあったのか振り付けがおざなりになってくるも、コレオスパイラルではいい姿勢、ヘアカッターで演技を締めると、腕を伸ばしての堂々たるフィニッシュ。
緊張感のある舞台でしたけど、まずまずの内容だったのではないでしょうか。
FSは122.91(61.62・61.19)、合計185.39。
それにしても、SP・FSともに作り込まれたプログラムながら、見せ場が作れぬままに終わってしまうのが何とももったいないという
印象です。
スケートの素直さと身ごなしの正確性で、演技全体が明確なのが樋口さんの良さだと思うんですけど、色々やりすぎてそこが生かせなくなっているのではないでしょうか。
樋口さんも振り付けをなぞるのに精一杯で、自分で演技をする、という感じになっていませんしね。
才能のある選手だからこそ周囲は色々やらせたくなるのでしょうけど、”やれることをしっかり”というのが基本だと思います。

表情にも自信を漂わせ、女王の風格をまとうアンナ・ポゴリラヤのSP『セント・オブ・ウーマン』は、大胆に体を躍らせ、慎重な助走から豪快な3Lz+3Tでスタート。
次のコンビネーションスピンとキャメルスピンの回転も力強く、もうこれだけで会場を完全に支配。
後半も強くて深い強いスケートから3Loを「どうだ!」といわんばかりに跳ぶと、音楽に乗りながらの流れのある2A、会場に視線をやってからのステップは伸びやかでダイナミック、踏み込みの強さと手足の長さがそのまま演技の大きさに繋がっています。
ここでは宮原さんのライバルだというのに会場からも大きな手拍子が鳴るのですからすっかり人気選手ですね(日本のフィギュアファンは最高!)。
終わりのビールマンはちょっとトラベリングしてしまいましたけど、会場はスタンディングオベーション。
それにしても、すっごい迫力でした。落ち着きと貫録も圧倒的でしたね。
SPは71.56(36.30・35.26)で1位。
優勝がかかるFS『モディリアーニ 真実の愛』でも大らかな踊りから入って、気迫溢れる3Lz+3T、3F(エラーか)、2Aと揃えていい流れを作ると、ヴォーカルがかかってのステップでは、抜群のスピードと深いエッジワーク、だなみっくな身ごなしで格の違いを見せつけ、コンビネーションスピンもパワフル。
後半も3Lz+1Lo+3Sと3Lo+タノ2Tをしっかり決め、長い腕を生かした振り付け、ボディバランスのいいコレオではざくざくと音楽を切り開き、そのままの勢いでの3Loは凄い迫力。
これでもう優勝は決まり、私ももうシャッポを脱ぎました。
ただ、疲れはあったのか、2Aでは詰まってお手つき、しかし素早く建て直し、足の長いI字スピン、鋭いヘアカッターからビールマンでも弱い自分は見せませんでした。
そうして演技を終えたポゴリラヤは、腰が落ち、膝に手をあてて疲労困憊でしたけど、一切手を抜くことのない彼女らしい熱演でした。
本当に素晴らしい選手です。
札幌のお客さんも大いに満足したことでしょう、そしてこのポゴリラヤを誰かに語りたくなったことでしょう。
彼女はもうそういう選手になったのです。
キスクラでは陽気な笑顔を見せ、出てきたスコアは139.30(68.62・70.68)、合計210.86。
今後のロシア選手権、欧州選手権、そして世界選手権が本当に楽しみになってきました!
(長くなりすぎたので後編に続きます。)
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト
プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード