2016GPSNHK杯、女子シングル(後)

(続きです。)
衣装からのぞく切れ上がった背中の筋肉が、日々の稽古の凄まじさを語る宮原知子は、軽快で伸びやかなスケートからの2AでSP『ラ・ボエーム』をスタートさせると、ワルツのリズムに乗って、正確に制御されたステップシークエンス、ここはリンクも広く使い、これでもかと技術をアピール。もう”レベル0”にはさせないというジャッジへの怒りを感じる滑り。
そうして勝負の後半3Lz+3Tだったのですが、これを3Lzで回転が足りない感じの転倒。私もびっくりして頭が真っ白になっちゃいました。
しかし、日本女王・宮原知子は、気高く立ち上がると、何事もなかったかのような緻密なコンビネーションスピン、バレエジャンプを挟んで、ステップからの3Lo+2T!しっかりリカバリーしたのはさすが!
終盤もほどけ方が大胆なキャメルスピン、美しく伸び上がるようなビールマンスピンで堂々のフィニッシュ。
宮原さんも悔しそうでしたけど、私も本当に悔しい。
動きを見ても、今季における、ひとつの”コンディションの山”を作ってきたのではないかというくらい演技が輝いていたのに…。
ただ、3Lzの転倒も、後半加点1.1倍を狙ったリスクが高い構成ということで、ミスはある程度仕方ないと思います。さしもの宮原さんでもいつもノーミスとはいかないわけです。我々は宮原さんがリスクを背負った攻めをしていることだけを理解しておきたいですよね。
SPは64.20(TES32.08・PCS33.12)。
FSでは前に滑ったポゴリラヤがトータル210.86を出してしまったことで、優勝は絶望的になった宮原さんですが、あとはもう全日本女王としての意地を見せるしかありません。
そんななか始まった『惑星』では、冒頭の3Loを軽々決めるも、次の3Lz+3Tでややバランスを崩した着氷(回転不足URか)、エッジが気になってSPでは外した3Fも意識しながらの着氷、エッジは大丈夫だったと思います(判定は!)。
コンパクトなキャメルスピンのあとからは音楽が大きくなって、それに合わせて見たことのないような派手な振り付けでステップに入った宮原さんは、いつもの正確な動きに大胆な動きを組み合わせるて要素を盛りだくさんにするのはもちろん、リンクも広く使って「
これなら文句ないだろ!」という滑り。
そうしてポジション変化が明確なレイバックスピンで前半を締めくくると、曲調を柔らかく変わるなか入った後半は3Lz+2T+2Lo、
優しく滑っての2A+3T、3Sと連続成功!さすが!
このジャンプパートを終えてもスタミナはまったく落ちることなく、綺麗に加速してのコレオスパイラルは安定感抜群、世界を大きく広げていっての2Aも鮮やか!小さく見える空の星も、実は大きな『惑星』だいうことを我々に見せつける!
最後は代名詞の両回転コンビネーションスピンで会場を沸かせて、ほぼノーミスの内容、これぞ宮原知子だ!
それにしても本当に痺れる演技でした。
前回大会のジャッジからの嫌がらせ、SPでの転倒からの不安、そういうものを実力で薙ぎ払うメンタルの強さ、日々の精進が作る強靭な肉体、飽くなき努力で積み上げてきた技術。
宮原知子という選手は、鍛錬と練磨によって出来た”鋼の女王”です。
しかし、FSは133.80(64.64・69.16)、合計198.00とあまり伸びず、キスクラの宮原さんも厳しい表情。
私ももう少し出るかと思いましたけど、プロトコルを見ると、前半の+3Tと3F、後半の3Lzが回転不足判定だったのが伸び悩みの原因でした。
テレビで観ていてもこの3本はちょっと危ないかな、という印象でしたけど…。
私も宮原さんのファンですから「判定は厳しい!」といいたいところですけど、宮原さんは”空中できっちり回って降りてくる”というタイプではないのもまた事実ですから、ある程度回転不足を織り込んで、あとは思い切って踏み切るしかありません。
我々は声援と応援で追い風を送るのみです。

今季がシニアデビューのマリア・ソツコワは170cmを超えるすらりとした長身が目を引きます。
そのSPは蝶をあしらった衣装での『Butterflies Are Free』。
冒頭の3Lzはやや軸が曲がるも上手く+3Tを付けると、しなやかなキャメル、腕で舞うようにしながらのステップでは靴が重くて詰まる感じながら、真面目に要素をこなそうという姿勢が伝わってきます。いまは足の長さが邪魔ですけど、このまま頑張り続けていれば良くなりそうですね。
後半は3F、スピードがないままの2A、こいでからのコンビネーションスピンではポジションが柔らかく明確、最後はピンと伸びる背の高いビールマンでフィニッシュ。
ほぼノーミスの内容ながら、スケーティングのぎこちなさが演技にブレーキをかけているような印象でした。
SPは69.96(37.78・32.18)で2位。
前のフランス大会のPCSは30.15だったのにわけのわからない増量。”ロシア”って凄いですね…。
メダルどころか優勝までもが見える位置で始まったFS『アダージョ』では、音楽に合わせて美しく体をたなびかせると、きっちりした3Lz+3T、高さのある3Fで上々の立ち上がり。
柔軟性で回るキャメル、生真面目ながらたどたどしいステップで前半を終わらせると、後半は軸ぶれを上手く抑えた3Lo、助走しての3F+1Lo+3Sはぎこちなくも丁寧に、しっかり演技で繋いでの3Lzはこらえる形。
後半に入ってがっくりとスピードが落ちてくるも、2A+2Tは気迫の着氷。
音楽に置いて行かれるコレオスパイラル、足上げからの2Aも根性で降りると、締めは長身をコントロールしたコンビネーションスピン、背の高い美しいビールマンで演技終了。
大きなミスがなく、ソツコワもほっとした笑顔。成長期で背が伸びすぎて大変でしょうけど、技術の安定感は素晴らしいですね。自分なりに体型変化と向き合っているのでしょう。
ただ、演技の方は、真面目で丁寧というのは印象はいいものの、いまはまだ”たどたどしさ”の方が目立ってしまっています。
今後は大人の体に馴染むと同時に、思い切った演技をして欲しいですね。
ポテンシャルは本当に凄いものがあると思いますから、この”未完の大器”がどこまで伸びてゆくか、楽しみで仕方ありません。
FSは125.92(58.83・67.09)、合計195.88。
思わぬ高得点にびっくり。後半あれだけ失速したのに、このPCSはいくらなんでも高すぎ。ちなみに前のフランス大会は63.87ですぜ。私は演技自体は前の方が良かったんじゃないかと思うくらいすけどね。
ソツコワは将来有望なスター候補なんですから、ジャッジからの変な”色付け”は必要ありません。こんなことをされると逆に人気が出てきませんよ。
ロシアの若手には点数を盛らなければいけない決まりでもあるのかもしれませんが、それが女子フィギュアをつまらなくさせ、ひとりひとりのロシア女子を使い捨ての駒にしていることに、早く気が付いて欲しいものです。

こうして終わった2016NHK杯女子シングルは、優勝ポゴリラヤ、2位宮原さん、3位ソツコワとなり、この3選手はGPF進出も決定!おめでとう!
それにしても、この大会ではポゴリラヤの強さが目立ちました。その美しさと迫力で他を圧倒したといってもいいでしょう。間違いなく今季の世界女王候補だと思います。
宮原さんとポゴリラヤは同世代なので、今後も手強い相手になりそうですね。
同世代でいえば、ソツコワも樋口新葉さんのひとつ年上なので、この2人もこれから何度も火花を散らすことになるわけですが、いまは向こうが一歩前にいるのは確かですから、置いて行かれないようにせねばなりません。
がんばれ、大和撫子たち!
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