2016GPF、女子SP 不可解採点の時代がまたやってくるのか

2016-17の女子シングルはメドベージェワとポゴリラヤが好調で、女王争いもこの2人に絞られそうな感じですが、このGPFは2人の直接対決ということで、世界選手権を占う意味でもとても興味深い大会です。
というわけでまずはSPの様子をざっと振り返ってみたいと思います。

上にいるロシア女子たちを虎視眈々と狙う宮原知子は、マルセイユにまで来てくれた日本ファンの「がんば!」の声のなか、浮き立つように『ラ・ボエーム』を滑り始めると、軽快な2A、細かくて技巧的なステップシークエンスではプッチーニの音楽をしっかりととらえ、まるでオルゴール人形のよう。
雰囲気が高揚してくるなかでの後半3Lz+3Tもしっかり着氷し、てきぱきとしたコンビネーションスピン、表情の演技とバレエジャンプを挟んでターンからの3Loは素晴らしい勢い。
締めは完璧なキャメルスピン、精巧なメカニックからのビールマンで上々の出来栄え!
あいかわらずの完成度と小気味よい滑りは職人芸と呼びたくなりますね。
SPは74.64(TES40.99・PCS33.65)でパーソナルベスト!
後半に3回転ジャンプを集めた難しい構成を(審判ともども)ついにねじ伏せましたね。
キスクラの宮原さんも納得したような表情に見えました。
ロシア勢の背中ははっきり捉えた!

得意の腕の演技も鮮やかに『パリの空の下』をスタートさせたケイトリン・オズモンド(カナダ)は軸をやや外しながらも3F+3Tを豪快に決めると、伸びやかなスケートから複雑なステップを踏んでの3Lzも無事着氷(エッジは微妙)、そこからイーグルで繋いだキャメルも大胆。
大柄な体を上手く躍らせて入った後半の2Aは降りをステップで彩り、パワフルなビールマン、大胆かつ的確なステップシークエンスでは体もよく動いて大いに魅せる演技でした。エッジワークも上手いので緩急も自在ですね。ここは本当に見応えがありました。
そうして歌い上げるようなコンビネーションスピンで演技を終えたケイトリンは晴れ晴れとしたいい笑顔。
勢いが凄いのはもちろん、繋ぎも多く、演技全体がシークエンスのようになっていて、瞬きも忘れる演技でした。ブラヴォ!
SPは75.54(38.55・34.92)。
ルッツのエッジがOKだと凄い点数になりますね(3LzのGOEは1.50)。

170cmを超える長身のマリア・ソツコワは冒頭の3Lz+3Tを丁寧に降りると、大きなキャメル、ターンを駆使して入ったステップでも体格を生かして大きな演技。片足ステップもよく伸びていました。ただ、もうちょっとスピードが欲しいところ。
後半は3F、演技のなかでの2A、締めは安定したコンビネーションスピンと背の高いビールマン。
シニアデビューとは思えぬ落ち着いた『Butterflies Are Free』でしたね。
そんな感じで全体的によくまとまっていたのですが、緩急が足りず、見せ場も作れぬまま、一本調子で何となく終わる演技なので、印象に残りません。何か特徴があれば飛躍しそうなんですけど…。
SPは65.74(33.31・32.43)で、あどけない表情を曇らせるソツコワ。
後半の2本のジャンプがともに回転不足(UR)を取られていてスコアは伸びませんでした。
成長した体を自分のものにするのはこれからです。

リンクインしてすぐに躓いて苦笑いを浮かべるアンナ・ポゴリラヤですが、冷やかしと応援の歓声を浴びると堂々と胸を張り、すぐに会場を静かにさせるのですから、なかなかの風格。
そうして音楽を全身で浴びるような振り付けで『セント・オブ・ウーマン』の幕が降りると、すぐさまトップスピードに移り、豪快な3Lz+3T。
ディープエッジを見せつけてからのコンビネーションスピンも物凄い迫力で、一気にリンクを自分の舞台にしてしまいました。
音楽に合わせて回るキャメルで前半を終わらせ、後半の3Loは珍しくオーバーターン(URの心配も)、続く2Aはやや慎重に跳んで、降りを足上げで彩ると、そこからは攻めに攻めるステップシークエンス。
ここはエッジの力強さ、ボディバランスも抜群で、自信に満ち溢れた、情熱の塊のようなタンゴでした。
最後は鋭いヘアカッターからゆったりしたビールマンで貫録のフィニッシュ。
3Loはもったいなかったもののまずまずの内容といっていいでしょう。荒さもありますけど演技のパワーが際立っています。
他の選手を薙ぎ払う勢いがありましたね。
SPは73.29(38.55・34.74)。

曲がかかるやいなや体を上手くくねらせて『ポーギーとベス』の慌ただしい雰囲気を作ったエレーナ・ラジオノワは、冒頭の3Lz+3Tを強引に着氷すると、しなやかなキャメル、独創的で演劇的なコンビネーションスピンで曲の世界をより明確に。
そうしていい流れで入った後半でしたけど、ステップからの3Loは低空になって危うい着氷(回転微妙)、次の2Aもやや詰まってしまって、さあ大変。
しかし得意のステップシークエンスでは、エッジを上手くコントロールしながら緩急を付け、体の動きも個性的で面白い内容。ボディバランスの良さが光ります。
締めのビールマンもぴんとした姿勢で、終盤は盛り返しましたね。
ラジオノワの演技は全身で音楽を表現しようという意欲に溢れ、濃密でパワフルな印象を残します。まだ17歳ですけど、すでに成熟した表現者ですね。
SPは68.98(35.07・33.91)。
FSでの心配はジャンプだけ。

ここまでの選手がいい演技をし、最終滑走でプレッシャーがかかりそうなものですけど、現世界女王エフゲニア・メドベージェワ
はいつものほんわかとした表情。
そこからの巧みな芝居とマイムで『River Flows in You』をスタートさせると、柔らかいキャメルで持ち味を見せつけ、体を大きく舞わせてのステップシークエンスでは、軽いエッジとしなやかな体の使い方。
他の選手に比べて踏み込みの力がないのが気になりましたけど、曲の雰囲気は出ていました。
後半はタノ3F+3Tを”うんしょ”という感じで跳ぶと、芝居とイーグルを挟んで、力んだ踏切の3Lo、足上げからのタノ2Aでジャンプはノーミス。
そこからはウォーレイでひとつ跳ねると、テクニカルで線の細いコンビネーションスピン、I字スパイラルで繋いでのビールマンのあとは、水鳥が飛んで行くのを目で追う芝居でフィニッシュ。
相変わらずの安定した内容はさすがでしたけど、ジャンプのぎこちなさや、スケートの非力さはやはり気になりました。
特にジャンプは昨季に比べても踏み切り時の力みや捻りが酷くなっているように見えますね。成長期もあるので大変なのかもしれません。
なんて心配していたら、SPは79.21(42.55・36.66)という異常なハイスコア。
これは私の見る目がおかしいのでしょうか…。
プロトコルを見ると、PCSはもちろん全技術要素のGOE(出来栄え)が他の選手の上という評価でしたけど、私はどうしてもそうは思えません。
スピンでいえば宮原さんやラジオノワと同程度でしょうし、3F+3Tはオズモンドが上、3Loは宮原さんが上だと思います。
ステップなどはポゴリラヤやオズモンド、ラジオノワより上と評価する理由が私にはわかりません。
PCSの面でもこのSPだけでいえばポゴリラヤとオズモンドを評価するべきでしょうし、メドベージェワのそれはラジオノワと同程度でいいと思います。
そのような考えを基準に私が採点したスコアは”74点”。
こちらの方が多くのフィギュアファンに納得していただけるのではないでしょうか。

いまのメドベージェワはどこに向かっているのか、本当に心配になります。
このままではあの半島選手のように、悪い意味でアンタッチャブルな存在になってしまいます。
あの選手と違って、素晴らしい才能と素直な人柄を我々に見せているだけに本当にもったいない。

このGPFも接戦のSPだったはずなのに、FSが急につまらなくなってきました。
これはいまの女子シングル全体にもいえることかもしれませんね。
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