2016GPF、女子FS(後) 茶番劇と真の勝者

(続きです。)
ポゴリラヤを上回るためにはノーミスしかないという痺れる状況のなか登場した鋼の女王・宮原知子(SP3位)は、指先まで気持ちの籠った振り付けで『ジュピター』とスタートさせると、切れ味鋭い3Lo、低空ながら軸がコンパクトな3Lz+3T、綺麗に加速してからの3Fはややバランスを崩すもなんとか着氷(URか)。
なんとも緊張感のある立ち上がりでした。
しかし、宮原知子はそれを厭うことなく、張り詰めた空気のままキャメルスピン、ステップシークエンスでも妥協を許さぬしっかりした振り付け、足元も強く踏んで迫力を出し、何かの怒りをエネルギーに変えたよう演技。
そうして正確無比なビールマンで曲を落ち着かせ、迎えた後半冒頭は3Lz+2T+タノ2Lo!
大きく滑って跳んだ2A+3Tは気持ちのこもった着氷、バレエジャンプを挟んでの3Sもばっちり。
後半だというのに体が切れまくっていてスケートも深い。なんというスタミナか。
終盤のコレオも一切の乱れのないスパイラル。足腰がしっかりと氷を捉えた滑りには鳥肌が立ちました。
まとめはウォーレイからの2A、代名詞の両回転スピンはI字もお見事!
ミスを最小限に抑えた気迫の演技でした、ブラヴォ!
宮原さんもこの内容には満足したのか珍しく笑顔でのガッツポーズ。こういう表情がもっと見たい!
しかし、演技を終えても宮原さんには”審判”という名の敵が待っています。
本人もコーチも、我々も気を揉むなか出てきたスコアは、FS143.69(73.24・70.45)でパーソナルベスト!
合計218.33もパーソナルベスト!この時点でトップ!
このようにFSはPBとなったわけですけど、内容でいうとこの前のNHK杯(133.80)とそんなに変わらないように思えます。違いは2本のルッツで回転が認定されるかどうかです。そこだけで約6.4もの差がありましたからね。
宮原さんのジャンプは、ポゴリラヤやオズモンドのように”回ってから降りてくる”みたいなものではないのも事実でしょう。はっきりいってジャンプは小さいです。回転もぎりぎりかもしれません。
だからこそ、本人もいっているように、「思い切って滑ること」が大切なんだと思います。
そうして、判定に惑わされることなく、強靭なメンタルで立ち向かっていった宮原さんは我々の誇りです。
やはり宮原知子は小さな巨人だ!

最終滑走のエフゲニア・メドベージェワ(ロシアSP1位)は、手を振って見送る芝居から細く長い四肢を優雅に操って『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の幕を開けるも、最初のタノ3Fで転倒寸前のステップアウトという珍しいミス、続くタノ3Lzもエッジはエラー気味。
しかし、足の長いコンビネーションスピン、ヴォーカルが入って緊迫感が高まってきたステップシークエンスでは持ち前の柔軟性と芝居も鮮やかで動揺は見られません。ただし、エッジは浅くて、強弱も緩急もなし。
ステップの流れで跳んだ後半3Lo、マイムで雰囲気を作ってからの3F+3Tは力んだ踏み切り、ややスピードの落ちてくるなかでの足上げタノ2A+2T+2T、3S+3Tも強引。
タノ2Aでジャンプを締めくくり、、イーグルや足上げで彩るコレオはスピードがなし、最後は独創的コンビネーションスピンと柔らかいビールマン、電話で悲報を受け取って愕然とした表情でフィニッシュ。
こうして演技を終えたメドベージェワはかなり不安げ。
ジャンプで珍しいミスをしただけではなく、ジャンプ全般の着氷がやや折れたような感じでしたし、演技全体もいつもに増してのっぺりして抑揚もありませんでしたから、調子が悪かったのかもしれませんね。
観客もそんな演技をあまり評価しなかったのか、採点の待ち時間も「MIYAHARAとどちらかが勝ったのだろう…」という固唾を飲むような雰囲気。「どちらが勝つにしろ僅差」と思ったことでしょう。
しかし、出てきたスコアは148.45(74.23・74.22)、合計227.66。
紙の上では笑ってしまうようなメドベージェワの圧勝劇。氷の上とは世界が違いました。これがフィギュアスケートです。

この茶番劇に会場はシーンと静まり返り、優勝者を祝福することをすっかり忘れたようになっていました。そんな冷えた空気にメドベージェワも動揺した表情。ちょっと可哀想なくらいでした。
このFSだけを観たひともそうかもしれませんし、SPと2日連続で観たひとならなおさら、優勝は宮原知子だと思ったに違いありません。要素の面でも表現の面でも、技術の正確性が圧倒的でしたからね。
もちろん宮原さんだってかなりのスコアが出ていました。
けれども、メドベージェワへの採点がおかしすぎるんです。
一番わかりやすいのはエラー気味の3Lzの判定でしょうね。”e”(基礎点3割減)がつかずに”!”に留まっているだけではなく、GOEが+0.6ももらっちゃっているんです。これはもう成功扱いですぜ。
他の要素のGOEの高さもPCSの評価も、”メドべ加点”なのか”ロシア加点”なのか知りませんけど(ポゴリラヤも!フリップに+0.3)、二重加点されているようなものです。
これじゃあ他の選手に勝ち目はありません。
なんでこんな優遇をするのか私にもわかりませんけど、わかっていることは、女子フィギュアはかつての暗黒時代に逆戻りしたということです。
いまの女子フィギュアは、FSで3回転7本が当たり前というくらいにレベルが高くなるなかで、トップ選手同士の力が拮抗し、本来ならば、”ひとつのミスが勝敗を分ける”という白熱の戦いを楽しめるはずなのに、現実のそれは失笑しか出ないような茶番劇になってしまっているんです。
こんなにもったいない話はありません。
勝者を作る行為は競技を衰退させるだけです。
国際スケート連盟ISUは根底の部分に自殺願望でもあるのか、ときおりこういうことをしたがりますけど、選手を巻き込んでの心中だけは勘弁して欲しいものです。
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