2016全日本フィギュア、女子シングル(後) 撫子たちに風を送る

(続きです。)
SPで7点以上ものリードがあっても浮ついたところのない鋼の女王・宮原知子は、3Loを力強く跳んで『惑星』の大きさを醸し出すも、、3Lz+3Tで回転不足気味のステップアウトという珍しいミス。3Fもやや詰まり気味になって、これが全日本のプレッシャーというところか。
しかし、正確なキャメルスピンで自分ペースを取り戻すと、音楽の盛り上がりとともに入ったステップシークエンスでは大きな滑りと高度な身のこなし。動きもキレキレで、隙はまったくありません。
その流れのままのビールマン、いったん曲調を落ち着けてからの後半3Lz+2T+2Loはちょっと抜けた感じながら3連続に繋げたのはさすが。
次の2A+3Tはしっかり決め、バレエジャンプを挟んでの3Sもよし!これで優勝は確実!
終盤はスケートを加速させてのスパイラル、この体力が凄い!そしてウォーレイから繋ぎのような2Aを降り、代名詞の両回転コンビネーションスピンで堂々のフィニッシュ。
FSは138.38(TES68.32・PCS70.06)、合計214.87で暫定トップ。
私はもうちょっと低いスコアかと思いましたけど、審判たちが女王に敬意を表したということでしょう。
宮原さんもこれで気持ちよく世界選手権に旅立てるはずです。
待ってろロシア勢!

宮原さんが高得点を出したことで、次に滑る樋口新葉さん(SP68.74)の優勝は事実上不可能。
こうなれば狙いを暫定2位の三原さん(198.17)に絞りたいところですけど、これもワンミスほどの内容が求められますし、スコアを落とせば最終滑走の本郷さん(SP69.20)に食われかねないという緊張感のある状況。
初の世界選手権出場のためにはここで踏ん張らねばなりません。
寝物語から始まった『シェヘラザード』、まずは切れ味鋭い3Lz+3T、3Loも大きな飛翔、足上げのコンビネーションスピンも正確でいい流れ。ところが続く3Sでまさかのダウングレード転倒…。がんば!
この影響からかステップシークエンスではいまひとつ攻めきれず、後半がちょっと不安でしたけど、2Aを軽々降りると、頬をなでながら大きくリンクを回っての3Lz+3Tも決めた!これはでかい!
キャメルスピンの後でひとつ微笑んでの3Fはエラーエッジながらしっかり着氷、終盤とは思えぬスピードからの2A+2T+2Loも成功させると、大きく踊るコレオスパイラル、最後はヘアカッタースピンから何かに縋りつくようなポーズで物語の終幕。
前半はリズムが掴めませんでしたけど、後半はよく建て直したと思います。3Lz+3Tは2本ともお見事でしたね。
しかし、この内容だとおそらく三原さんには届かないかなあ、と思っていたら、FSは199.49(66.17・63.58・減点1)、合計199.49で暫定2位。
樋口さんは目標の200点にわずかに届かなかったことを悔しがっていましたけど、会場はなんともいえない空気。
「三原さんの勝ちだよね…」という想いがそうさせたのでしょう。三原さんはFSだけではなくSPでもノーミスのクリーンな演技だったので、お客さんがそう感じるのも無理はありません(両日観戦のお客さんも多いでしょうし)。
ところが結果は三原さんの負け。
これは樋口さんの点数がやや甘め(FSのフリップが”!”で加点0.2)ということもありますけど、それよりもこの大会のジャッジが三原さんに辛かったといった方が正しいように思えます。
SPからざっと見ていると、ほとんどの選手が国際大会よりやや多めに得点をもらっているのに対し、三原さんだけがやや少なめなんです。SPなんかはGPS中国大会(68.48)と似たような内容だったのに、65.91しかありませんでしたからね。
これはおそらく”国内序列”の問題なんだと思いますけど、フィギュアスケートってこういうところがわかりにくいですよね。

そしていよいよFSの最終滑走、世界選手権に出るためには130点に近いスコアが求められる本郷理華さんですが、今季のベストは118.12という心もとない数字。
しかし、大会前にプログラムを昨季の『リバーダンス』(PB129.26)に変更したことで可能性は広がりました。
執念を見せろ!
というFSだったんですけど、出だしの3Fがややふらりでコンボならないと、次が2Loに抜けるまさかのミス、慎重に跳んだ3Lzもエッジは微妙。緊張からか動きも硬く、華やかなはずのステップシークエンスも昨季のような勢いがありません。
しかし後半冒頭は2A+3T(回転不足か)+2Tを気持ちで跳ぶと、2Aのあとの3Fにはきっちり+2Tをつけるリカバリー。ここはお見事。
ただ、後半もスピードは上がらず、見せ場のコレオシークエンスも名前のような華やかさは出ず、終盤には気迫の3S+3Tで会場を沸かせるも、最後のビールマンを回り終えた本郷さんの表情は冴えませんでした。
今季はどうも調子が上がりません。このFSでも気持ちは感じましたけど、体は思うように動いてくれなかったようです。
FSは125.08(61.39・63.69)、合計194.28。

この結果、優勝は宮原さん、2位は樋口さん、3位は三原さん。
3人ともおめでとう!そして世界選手権での活躍を祈っています!
五輪の枠取りがあるので、プレッシャーもかかるでしょうけど、若い2人は宮原さんという絶対エースがいるのですから、ゆったりとした気持ちでヘルシンキに入って欲しいものです。そうすれば結果はついてきます。
がんばれ大和撫子たち!君たちならできる!

…という2016全日本フィギュアだったわけですが、我らが浅田真央は、怪我の影響からか、SPでは3Aが1Aに抜けるなどがあって8位(60.32)。FSでも3AのDG転倒で始まると後半の3Sでも転倒、3Fからの3連続も1Fになってしまって12位(114.10)、総合12位という寂しい結果でした。
ただ、当の浅田さんは表情も明るく、血色もよかったですし、身体も絞れていて、調子は上がってきているように見えます。
SP・FSの両方で3Aを組み込んだだけではなく、FSで3F+3Lo(UR)にも挑戦したのはかなり驚きました。
ただ、ステップの動きからも膝の状態がそう悪いように見えなかったものの、ジャンプに不安があるのか、ジャンプパートのところでスピードが上がらず、演技全体の勢いが出ませんでしたね。
おそらく滑り込みが足りないのでしょう。
怪我の状態については情報もないのでどの程度のものなのか私にはわかりませんけど、浅田さんの目標は”来季の五輪で納得のゆく演技をすること”のはずですから、そこに向けたベストの選択をして欲しいものです。

今大会の結果と内容で、浅田さんに対しては厳しい意見も目立ちます。
スポーツ選手というのは負ければ批判されるものですから、私もそれを否定しません。
しかし、スポーツ選手、とくに浅田さんのような女王は、出処進退を自分で決められる。そして何より、勝てば官軍なんです。全てが裏返ります。
そういう意味では、浅田さんと我々ファンは、すでにバンクーバー五輪のシーズンを経験しています。

今季は不死鳥が伝説を作るための序曲です。
我々は、その美しい翼が羽ばたくための追い風を送るのみ!
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