中村俊輔の移籍と顧客満足度

日本代表の”レフティー”といえば、我々にいくつもの栄光と歓喜をもたらしてきた、まさに”スターの系譜”なわけですが、そのなかの2人、「中村俊輔と名波浩が同じクラブで仕事をする」と聞いても、昨年までは誰も信じなかったことでしょう。ミスターマリノスとミスタージュビロが交わるなど夢物語としかいいようがありません。
ところが、今日2017年1月13日、名波浩監督のジュビロ磐田に中村俊輔が入団することで、それが現実のものとなったのです。

中村俊輔のマリノス退団は今オフ最大の話題でした。
その背景にあるのは、2014年からマンチェスター・シティFCを運営するシティ・フットボール・グループ(CFG)が横浜F・マリノス の経営に参画するようになったことと、それに伴う”経営の合理化”。
当時のマリノスの社長が、「日産自動車への依存度を相対的に低下させ、入場者数の増加を目指す」と語っていたように、親会社の経営状況に左右されないクラブ作りという方針を掲げたわけです。
その流れのなか、マリノスは2015年に〈マリノスタウン〉という他クラブの羨望の的になっていた素晴らしい練習施設から離れることとなり、この2016年オフにはレギュラー格のベテラン数人を放出し、中澤佑二や栗原勇蔵といった長年クラブを支えてきた功労者にも50%もの年俸ダウンを提示したのですから思い切ったものです。

CFGの肝いりで2015年から指揮を執るエリク・モンバエルツ監督と選手たちの関係がぎくしゃくしていることもあって、2016年のマリノスは不穏な空気に包まれていました(7月には監督と松永成立GKコーチが喧嘩をする騒動も)。
そのせいか、今季のマリノスはタイトル争いにもほとんど絡まず、リーグ戦の順位も久しぶりに10位と二桁に。
これでモンバエルツ監督が退任するかと思われたものの、マリノスが下した決断は”続投”。
株式を20%しか持っていないCFGがクラブの意思決定権を握っていることが明らかになった瞬間でした。
そこに”俊輔の移籍話”が持ち上がり、それが実際のものとなったいま、マリノスはもう”合理化”の方針のまま前へ進むしかなくなったといっていいでしょう。

もちろん、この合理化は悪いことではありません。
身の丈経営は持続性や安定性に繋がりますし、ベテランを年功序列ではなく実力で査定するのもグローバルスタンダードだと思います。
育成型といわれるモンバエルツ監督のもとで若手が伸びているという評価もありますし、行く行くは有能な若手を海外のクラブに売ることで得る移籍金を収入の柱のひとつにしようとしているのかもしれません。
マリノスが選んだ道が正しかったのかどうかは、あと3年は見る必要があると思います。

そのように、マリノスの最終目標が”独立採算”なのはいうを俟ちませんが、それを至上命題にすることで失うものはないのでしょうか?
中村俊輔は、幼い頃に憧れた日産(マリノス)のプレースタイルについて、「みんな紳士っぽく見えて、団結心があってね。自分勝手なプレーがなくて、全員で勝利を目指していく感じに惹かれていった」(Number Web)と語っていました。
その俊輔が「純粋にボールを追いかけてもう1回勝負したい。信頼とか、そういうものを感じながらサッカーをやりたい」(同)という苦渋の決断をしたのですから、いまのマリノスにクラブとしての伝統があるのかどうかは甚だ疑問が残ります。
サポーターたちは本当にこれでいいのでしょうか?

独立採算の鍵はなんといっても”観客動員”です。
純粋な利益(チケット、グッズ)というだけではなく、ひとが集まればそれだけ”人気”ということですから、スポンサーがつきやすくなりますし、テレビ・ネット放映に繋がる可能性も広がるわけです。
そして、その観客の多くはサポーターという名の顧客です。
私にはいまのマリノスは”顧客満足度”を蔑ろにしているようにしか見えません。

昨今流行りの経営セミナーで常識となっている言葉があります。
それは”従業員満足度=顧客満足度”。
従業員が生き生きと働いている会社は、業績も顧客満足度も高いみたいですぜ。
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