トランプ大統領誕生とGreat America

2017年1月20日(日本時間21日)、第45代アメリカ大統領に就任したドナルド・トランプ氏は”暴言王”とも呼ばれているだけに、式典でのスピーチには注目が集まりましたが、その内容は選挙戦での訴えを踏襲したものだっただけにやや拍子抜け。
ただ、あらためてその主張を聞いていると、ひとつひとつが力強く、一定の層の心を鷲掴みにするものだとも思いました。だから大統領選に勝ったのでしょうけど。

「権力を支配階級から国民へ」「忘れられた中間層の声を聞く」「発展の遅れた内地の都市を再生する」
「他国の国境ではなく自分たちの国境を守る」「世界へ分配されたアメリカの富を中間層に戻す」
「貿易・税金・移民・外交といった問題はアメリカ人のためになるかどうかで判断を下す」
「国中の至るところのインフラを整備する」「アメリカ製のものを買い、アメリカ人を雇え」
「イスラム教のテロを地球から撲滅する」「我々はアメリカファーストでやるから他国も自国ファーストでやれ」
「肌の色が何色でも我々には愛国者としての真っ赤な血が流れている」

決まり文句の「We Will Make America Great Again」で締めくくられたこの20分弱のスピーチのなかには”自由”や”平等”、”人権”、そして”世界平和”といったアメリカっぽい言葉がなく、どこまでも「America First」でした。
そのトランプが大事にしている”アメリカ人”というのは、日本の我々が想像するような、表舞台に立つ輝かしいひとたちではないように思います。
おそらくその祖先が、まだアメリカが世界一の国ではない頃に移民してきて、国を発展させ、大きな戦争や不況を乗り越えてきたひとたちのことなのでしょう。それも主に地方(内陸部)に住む。
チャンスの国アメリカで自分の力を試したい、大都会で一旗揚げたいという野心家や成功者たちのことではなさそうです。

メディアでは「トランプは差別主義者で分断を生んでいる」と盛んに訴えていますけど、トランプは人種や宗教を差別するよりも、アメリカに厳然と存在する階級格差や地域格差を浮き彫りにさせようとしているように見えます。
これまでのアメリカで優遇されてきたのは、支配階級と”弱者”を売りにしている階級であり、今後はその間にいる声の小さいひとたちに焦点を当てようというのがトランプ流なのでしょう。
そうしてトランプは選挙に勝利した。
多くのアメリカ人がトランプの主張を支持したわけですから、それに則った政権運営をすればいいと思います。
日本の私たちが何かいう話でもありません。

ただ、外交や貿易、安全保障といった面だけは、アメリカの勝手を許すわけにはゆきません。
”アメリカ第一”と”自分勝手”は違うはずです。
トランプは就任式を終えるとすぐに、カナダとメキシコに対して北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを求め、TPP交渉からの離脱も表明しました。これまで訴えていた”保護貿易路線”は本物のようです。
しかし、締結前のTPP離脱はまだわかりますけど、NAFTAの方はめちゃくちゃです。「アメリカが儲からないから見直せ、そうでなければ協定を破棄する」などというのは責任ある国家のやることではありません。保護主義ならぬ反故主義です。
この横暴なトランプのアメリカを世界はどう扱うのか、各国が連携してなだめすかすしかないように思います。
アメリカのような大国が保護主義で豊かになるなどありえません。

そして気になる安全保障政策ですが、オバマの”責任放棄”路線から”力による平和”路線へと変更し、軍事費も増強するとのことです。
”Great America”の力の源泉はやはり軍事力なのだと最初に宣言したわけです。
これに震え上がる国や組織は多いことでしょう。
しかし、その軍事力を行使する際の動機はいったい何になるのか?
自由や平等、人権という言葉は就任演説にもなかったので、違うものになるのは間違いありません。
いまのところトランプが示唆しているのは、”リビアからの撤退””イスラム過激派の打倒”、そして”台湾との対話と武器供与”という中国への牽制です。
ようするに、アメリカやアメリカ国民が直接被害に遭うかどうか、軍事力を背景に経済的イニシアチブが取れるかどうか、ということですよね。
これも自分勝手ではありますが、「世界の警察を辞める」といったオバマのように後ろ向きな姿勢ではありませんし、行動原理もわかりやすいので、世界も日本もトランプの方が付き合いやすいかもしれません。

ただ、”自由と民主主義を世界に広げる”というアメリカの基本方針が揺らぐのは確かです。
このことで、世界各地にたくさんの”見捨てられたひとびと”が生まれることでしょう。
トランプは自国の見捨てられたひとびとを助けるかわりに、彼ら彼女らを切り捨てるわけです。
はたしてそういう人物を”世界のリーダー”と呼べるのでしょうか?
アメリカだけではなく、世界の平和と人権を守るからこそ、”Great America”なのだと思います。
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