安倍・トランプ首脳会談 したたかなABE

アメリカで行われる日米首脳会談といえば、”日本からの手土産”だの”アメリカからの無理難題”だのと、まるで”朝貢”のようなイメージがありますけど、安倍晋三総理とトランプ大統領が初めて行うそれについては、私はそうは思っていませんでした。
その理由としては、まず、いまの日米間に大きな課題がないこと、そしてトランプ大統領が先進国のなかで孤立気味だということがあります。
トランプ大統領が日本に対して、防衛費の増額を求めたり、為替政策のための円安誘導をするなといったり、アメリカの雇用を奪うなと主張していることを不安材料に上げている識者もいましたけど、安倍内閣では防衛費を年々上げていますし、円安はデフレ対策ですし、多くの日本企業はアメリカで現地生産しているわけですから、説明をすれば向こうも理解してくれるはずです。

トランプ大統領は、接戦の末勝利したこともあって、就任後もマスコミを中心としたリベラル勢力からの猛バッシングに合い、イスラム7ヶ国からの入国制限の大統領令を司法が停止したことも、絶好の批判材料になっています。
この入国制限や難民の受け入れ停止措置は、EU各国の首脳や国民からも猛烈な反発を受けていますし、兄弟国であるカナダのトルドー首相も、「カナダは難民を歓迎する」といってトランプ大統領を腐しています。
そんななか、トランプのアメリカと関係が良好な先進国は、EU脱退が決まっているイギリスと長年の同盟国である日本だけです。
先日、イギリスのメイ首相と会談をした際のトランプ大統領がとても親しい態度を見せたように、いまの彼は”仲間”を求めているのです。
大統領としてもドナルド・トランプ個人としても、世界から孤立するのは好ましいことではないはずですからね。

そうしてアメリカにやってくる安倍晋三総理。
先進国のトップとしてはドイツのメルケル首相に次ぐ在任期間の長さを誇り、その前にも1期総理を務める経験豊富な政治家であり、国民からも65%を超える支持を集める盤石さがある上に、”日米同盟重視”を掲げているのですから、トランプ大統領にとって、これほど頼りになるパートナーがいるでしょうか。
トランプ大統領は、国内外から批判の的となっているなかで、日本からの支持があればもちろん嬉しいでしょうけど、黙認してくれたり、批判されないだけでも大いに心強いに違いありません。

ようするに、日本は”仲良くしてあげる”だけで、トランプ大統領を助けるわけです。
こんな有利な状況で日本の総理がアメリカの大統領と会談をしたことがかつてあったでしょうか?私はちょっと記憶にありません。
2月10日(2017年)からの安倍総理のアメリカ訪問は、首脳会談の後にトランプ大統領のフロリダの別荘に行って、2泊しながらゴルフを楽しむ予定となっていますが、これだけでも向こうが下手に出ているのがわかります。
経験豊富な安倍総理ならば、このチャンスを大いに生かし、譲歩を最小限にしながら、様々な要求を通してくれるはずです。
私にはそういう期待しかありませんでした。

そして10日に安倍総理がアメリカに到着すると、就任前にも一度会っているトランプ大統領は、まるで旧友を迎えるかのような笑顔とハグ。
首脳会談も友好ムードで終わったらしく、記者会見に出てきた両首脳は和やかな表情を見せ、安倍総理などは上機嫌で声も弾み、トランプ大統領よりも話している時間が長いくらいでした。
在日米軍の駐留費負担や為替の話や貿易赤字の話は出なかったようですから、安倍総理もほっとしたのでしょうね。
ちなみに、この首脳会談の日本の”手土産”は「貿易や財政・金融など分野横断的な経済対話の枠組み」。簡単にいえば日本からアメリカへの投資ということでしょう。
これは日本に損がある話ではありません。投資して儲けたり、アメリカの好況が日本へ好影響を及ぼせば、安倍総理のいう「Win‐Win」というわけです。
そして、アメリカからの”お返し”で最も大きかったのは、「尖閣諸島がアメリカの対日防衛義務の適用対象である」と共同声明に”明記”されたこと。
これまでは言葉だけでしたけど、文書になったことで尖閣の防衛はより強固になったわけですから、安倍総理の大手柄といえるでしょう。上機嫌の理由はこれかもしれませんね。

また、安倍総理はエイブラハム・リンカーンの話を元に(渾名がAbe、自分もABEをエイブと発音されることがある)、アメリカの民主主義の素晴らしさを語り、トランプ大統領も「誰でも大統領になるれる民主主義のダイナミズム」の体現者だと褒めると同時に、日本企業のアメリカ進出など、アメリカが外国にとっても「チャンスの国」であることを強調していました。
リンカーンといえば丸太小屋で生まれ育ったというだけではなく、黒人奴隷の解放者としても有名ですし、チャンスの国というのはどんな国からも自由に人々を受け入れるということです。
安倍総理は、トランプ大統領に気を使いながらも、”自由と民主主義”の大切さを説いたわけです。
これで”反トランプ勢力”にも一定のエクスキューズとなったことでしょう。
このしたたかさに私は舌を巻きました。

こりゃあトランプ大統領も頼りにするわけだ。
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