横浜市の原発避難児童いじめ 傷は深く、枷は重く

3・11大震災による原発事故のため福島県から横浜市に自主避難していた小学生(当時)が、同級生による”いじめ”にあっていた問題ですが、第三者委員会を調査に当たらせた横浜市教育委員会は昨年(2016年)11月にその報告書を公表しました。
そこで市教委は、被害児童が放射能に由来するであろう”菌”を付けたあだ名で呼ばれるなどしていたことは”いじめ”と認定したものの、150万円(被害児童側主張)もの額を恐喝されていた疑惑については「8万円分のみ確認した」「自主的におごっていた」として、”いじめ”とは認めませんでした。

この”おごり”という名の”恐喝”があった時期の被害児童たちは小学校5年ですから、8万円でも十分におかしな額ですし、これが異常だと思わない市教委の方がどうかしています。
しかも、被害児童によると加害児童ら(調査では10人)は、「原発事故の賠償金があるだろう?」といって脅したというのですから、かなり悪質です。
この問題とその報告会見の内容にはマスコミからも世論からも厳しい声が上がりましたし、被害児童側もさらなる検証や謝罪などの対応を要望したので(12月)、問題がより注目を集めたのはいうまでもありません。

そして年が明け、昨日2月13日、記者会見を開いた横浜市教育委員会は、それまでの主張を覆し、お金を払っていた行為を”いじめ”と認め、謝罪することとなったわけです。
その理由について、岡田優子教育長は「生徒の気持ちを受け止められず、お詫びします」といって頭を下げ、林文子市長も「再発防止にしっかりと取り組むためにも金銭の支払いを”いじめ”だと受け止めたものだと認識しています」と説明したいましたけど、私にはちょっとわけがわかりません。

まず、調査というのは、当事者や周囲の話を聞いたり、金や物の流れを追うことで事実を浮かび上がらせるものであって、被害者の意見だけを聞くものではありません。
今回の問題で、”おごり”を”恐喝”という認識に変えるのであれば、お金の使われ方を洗い直し、加害者とされる児童への聞き取りも再度行わなければならないはずです。
それを「やった」ともいわず、被害児童の話をそのまま受け入れるのであれば、調査も何もあったものではありません。世論の圧力に音を上げて、取りあえずの謝罪に逃げただけです。
また、そのような変節を”再発防止”という綺麗な言葉で取り繕う林市長にも大いに疑問を感じます。
世論が騒ぎ、被害者側が粘らなければ、横浜市は”おごり”で押し通すつもりだったんですよね?
こんな市長と組織に再発防止など不可能だと思いますぜ。

ただ、横浜市が”おごり”にしたかった気持ちもわかります。
これは”おごり”でなければ、立派な”恐喝事件”です。
それも150万円という大金だったら(加害者10人でも)、成人ならば逮捕されても不思議ではありませんし、強要の度合いや回数などによっては実刑を食らう可能性もあるはずです(被害者が示談に応じなければなおさら)。
もちろん、加害”児童”は少年法で守られていますから”刑事処分”は課せられません。
しかし、事件は事件、罪は罪ですから、立件することは出来ますし、そうなれば加害児童は”触法少年”(14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年)となり、家庭裁判所で審判される場合もあるわけです。
これは”前科”にはなりませんけど、警察や裁判所に記録が残りますし、進学時の”申し送り”にも記載されてしまうので、加害児童の将来にとって重い枷になってしまうことは間違いありません。
横浜市はそれを避けたかったのでしょう。

しかし、そのためにあったことをなかったことには出来ないのです。
そして、あったことをなかったことにしていては再発防止は出来ません。
横浜市の隠蔽工作によって、被害児童の傷はより深く、加害児童の枷はより重いものになってしまったのではないでしょうか。
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