金正男氏、わけのわからない暗殺

北朝鮮の故・金正日総書記の長男・金正男氏といえば、日本では東京ディズニーランド好きの”金正男とみられる男性”として有名ですし、後継者争いから脱落してからはマカオを根城に風来坊のようになって、ときおり世界のマスコミから取材を受けては、「3代世襲に反対」とか「日本が北朝鮮のミサイル実験に反対するのは自衛のために当然」とか、およそ北朝鮮人らしからぬまともなコメントを残して、我々を感心させてきたものです。

しかし、1、2年はその動向がさっぱり聞かれなくなっていましたよね。
北朝鮮に詳しいジャーナリストや学者によると、後継者争いに敗れた正男氏は”何かあったときのカード”として09年から中国共産党の庇護下に置かれていたものの、ここ数年は中国との繋がりも薄れていた上に、13年12月に正男氏の貢献人と目されていた張成沢氏(正日氏の妹婿)が金正恩氏により粛清されたことで、正男氏はお金にも困っていたというのです。
それでカジノなどで豪遊できなくなって、マスコミもキャッチできなかったのかもしれませんね。

そんな正男氏が、”2月13日にマレーシアで毒殺された”というニュースが昨日2月14日夜(2017年)に飛び込んできたときは、私も本当に驚きました。虚をつかれたといっていいでしょう。
「なぜ、いま、彼が?」というのが率直な感想でした。
実行犯がすぐに捕まらなかったことから(15日に確保)、”誰が指示したのか”はわからないところでしたけど、もちろん世界中のひとびとが”弟”を疑ったのはいうまでもありません。
15日になると、”北朝鮮専門”といっていい韓国の情報機関もそう断定したので、おそらく黒幕は金正恩氏なのででしょう。
しかし、最近の北朝鮮を見ていれば、金正恩体制は盤石といった雰囲気でしたし、逆に正男氏は存在感も影響力も消えそうなまでに薄くなっていたので、”殺す必要があったのか?”という疑問は残ります。

いまの正男氏は中国が全ての面倒を見ていたというわけではないのかもしれませんが、世界各国が”中国のカード”と認識していただけに、それが暗殺されたとなれば中国の面子は丸つぶれです。
そして、現場となったマレーシアは北朝鮮にとっての数少ない友好国なんです。マレーシアからすれば、工作員を送り込まれ、暗殺を実行されるなど、許しがたい裏切りと感じているはずです。
そのように、外交関係がおかしくなりかねないリスクを冒してまで金正男氏を排除する理由が私にはわかりません。
ましてや2月16日は故・金正日氏の誕生日、北朝鮮では最大の祝日のひとつなんです。
金正恩氏はそれを兄の血で汚すことに抵抗がなかったのでしょうか?

ちなみに金一族の血に連なる人物が殺害されたのは、今回が初めてです。
金正日氏と後継争いを演じた弟の平一氏だってまだ生かされています。

そんな疑問について、韓国の情報機関は、「金正恩委員長の執拗な性格のせいではないか」という、何の根拠もなく、それでいてどこか信憑性のある見解を述べていました。正男氏は五年前から命を狙われていたそうです。
世界中の専門家たちがあれやこれやと理由を考察していましたけど、北朝鮮のことならば韓国の情報機関が最も詳しいに違いありません。
今回の事件によって、”何をするかわからない男”という金正恩氏の国際的評価は確立したといっていいでしょう。

しかし、北朝鮮国内での評価はどうなのか。
”兄殺し”が儒教の国に与える影響を、我々は見逃してはなりません。
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