2017冬季アジア大会 男子フィギュアは男の戦い

今年2017年のアジア冬季大会は札幌と帯広が開催地ということで、JOCは金20個の目標を立て、各競技団体もトップ選手を派遣するという力の入れようでした(※ノルディック勢は世界選手権と日程がかぶるためそちらを優先)。
花形種目であるフィギュアスケートでも、スケート連盟は全日本チャンピオンの派遣を早々に決め、四大陸選手権から中一週間という強行日程を強いたわけです。
そんななか、全日本女王の宮原知子が怪我での欠場を発表すると、代役に選ばれたのはジュニア女王の坂本香織さん、…だったのですが、坂本さんも直前になってインフルエンザを理由に棄権。時間がないせいか代役は選ばれませんでした。
これで女子シングルの出場選手は本郷理華さんのみとなったわけですが、本郷さんは四大陸に宮原さんの代役で急遽出場したことで調整ペースが狂ったのか、四大陸に続いて札幌でも思うような演技が出来ずにまさかの4位。
日本からの出場が自分だけになってしまって、プレッシャーもあったことでしょう。試合後の悔し涙には胸を締め付けられました。

こうなれば男子はその敵討ちです。ここでやらねば男じゃない!
しかし、日本王者・宇野昌磨はSPで4Tにミスが出て92.43。首位の金博洋(中国)とはわずか0.43差とはいえFSに不安を残す内容でした。
ただ、無良崇人は90.32の4位という好位置。
3位は91.56の閻涵(中国)だったわけですけど、FSの日中対決を制すれば、優勝もメダル2つも夢ではありません!

そうして始まったFS最終グループ。
まずは無良くんが4T+2T、4T、3Aを確実に決める抜群のスタート。
ステップシークエンスの動きも軽く、ガチガチだった全日本が嘘のよう。
無良くんは後半冒頭の3A+3Tでステップアウト(回転不足UR)するも、あとのジャンプは無難にまとめ、終盤のコレオも集中した滑りで観客を総立ちにさせる『ピアノ協奏曲第2番』(ラフマニノフ)でした。
FSは172.99(TES90.19・PCS82.80)、合計263.31。
大事な試合でこの演技が出来れば、悲願の五輪出場も見えてくる!

これで無良くんのメダルは決まったか、という雰囲気のなか登場した閻涵は、大きな3A+3T、的確な4T+2Tと4Tというこれまた抜群のスタート。
表現の面でも得意のスケートを武器に『ロミオ+ジュリエット』の静かに燃える情熱を描き出し、自己陶酔しているような滑り。
しかし後半冒頭の3Aが1Aに抜ける手痛いミス。
これで崩れることも多い閻涵ですが、この日は気持ちを切らすことなく、そこからのジャンプは全てクリーン。コレオの演技も力が入っていました。四大陸のときとは別人でしたね。
これは無良くんとは僅差の勝負か…、と思われたものの、FSは180.30(9300・87.30)、合計270.86。
PCSにかなり差がついていたこともあって完敗でした。TESでもジャンプの出来栄えの差が大きかったですね。
悔しいけど、負けを認めざるを得ません。この日の閻涵はいいときの彼でした。
そして、このくらいの内容も維持しなければいけないレベルの選手だとも思います。

これで頼みの綱は宇野昌磨のみ。
中国勢の圧力を跳ね返せ!
観客からの宇野くんへの期待が、張り詰めたような緊張感へと変わり、それがテレビを通してもひしひしと伝わってきます。
この雰囲気はチャンピオンシップ並。
その空気を切り裂いて滑り始めた宇野昌磨、まずは新たに導入した4Lo!…でしたけどUR気味の転倒。
最終滑走の金博洋を考えるともうミスが許されない、そんな重圧が空気をより重くするなかの4Fはフリーレッグで上手く捌いて成功!よし!
ただ、続く3Lzをステップアウトしてしまって何とも不穏な立ち上がり。
しかし、宇野くんは得意のステップシークエンスで流れを自分に引き寄せると、後半冒頭の3A+3Tをしっかり決め、気を練ってからの4T+2Tも成功、次の4Tは着氷を乱すも基礎点は取れています。
後半は連戦の影響からか、いつもより疲れるのが早い印象。残り2本のジャンプに足は残っているのか…。
観客の不安と祈りが入り混じるなか、3Aは成功!さすが宇野昌磨!
最後の3S+1Lo+3Fも決めてくれ!
そんな我々の願いも虚しく、ここは転倒。
それでもすっくと立ちあがった宇野くんは終盤のコレオとスピンを何食わぬ表情でまとめてみせ、『ブエノスアイレス午前零時』をクールに締めくくってくれました。
FSは188.84(103.14・87.70。減点2)、合計281.27。
今回はミスも多かったですけど、大事なところで食らいついて、失点を最小限に抑えていたと思います。強行日程を考えれば十分な内容でした。全日本王者の看板は守りましたね。立派でした。

こうして宇野くんが人事を尽くしたあと登場したのはジュニア時代からのライバル・金博洋。
ただ、今季は調子が上がらず、SBも182.37しか出せていないので、宇野くんに勝つのは簡単ではありません。
金博洋は、その不調の要因たる4Lzを鮮やかに決めてスタートしたものの、次が2Sに抜けてがっかり。
しかし3A+1Lo+3Sはしっかり決めてきます。
コレオでは『道』のピエロで笑いを作り、自分の緊張をも解きほぐすと、後半は4T+2Tを成功させ、4Tは乱したものの、3Lz+3Tと3Aはしっかり降りた!最後の3F(エラー気味)といい、終盤でも大きなジャンプが跳べるのは本当に凄い。
ステップシークエンスでも疲れた体に鞭うってよく動いていましたし、締めのスピンも素早い回転で、印象よく演技をまとめましたね。
これで勝負はかなり微妙。
宇野くんとはジャンプの基礎点も同じくらい、ミスでのマイナスも同じくらい、あとは成功した要素の出来栄え勝負か…。
そうして観客も視聴者も固唾を呑むなか表示されたスコアは、FS187.22(103.62・83.60)、合計280.08。
宇野くんが上!
互いにいえることですが、ステップアウトひとつが勝敗を分けたといっていいでしょう。
いやあ、ほんと痺れました。互いに4回転4本という凄まじい構成でしたし、これぞ男子シングルという戦いでした。
2人とも手に汗握る興奮をありがとう!
そして、表彰式では閻涵も含めた3人で、笑顔で称え合っていましたし、いいライバル関係です。
中国勢とは四大陸でも鎬を削りますし、切磋琢磨して互いに高め合ってゆきたいものです。
もちろん勝つのは日本ですけどね!

というわけで、宇野くん優勝おめでとう!初のビッグタイトルですね!これで世界選手権では”アジア王者”として臨める!
また、最終日最後の種目で宇野くんが金メダルを獲ったことで、日本チーム全体としても、この2017冬季アジア大会での金メダルの合計が”27”となり、国・地域別のトップに輝きました。
この勢いを来年の五輪へ!
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