2017世界フィギュア、男子FS(後) 最高の2人

(続きです。)
SPでのリードがあるものの、羽生結弦の321.59を超えるためには、FSのパーソナルベストを19点ほど上積みしなければならない宇野昌磨。
これは普通に考えれば現実的な数字ではないので、金博洋の303.58を捉えての暫定2位、すなわち”表彰台”を確実にしたいところです。宇野くんはまだ世界選手権のメダルを取ったことがありませんし、これは”五輪メダル候補手形”にもなりますからね。
しかし、その暫定2位のために必要な約199点も宇野くんのPB198.55よりわずかに上なんです(直前のB級大会では199.37)。
いまの宇野くんのFSはノーミスならば210点以上が期待できるものの、新時代の男子シングルは4回転や3Aでミスをすればあっという間に10点20点と削り取られるのですから、表彰台に届かなくたってなんの不思議ではありません。
ジュニア時代からのライバルに勝って五輪表彰台候補になるか、はたまた昨年のように悔し涙を呑むか、ここが宇野昌磨の分水嶺です。

そんなふうに私も演技前から手に汗握っていたのですが、リンクインした宇野くんは気負った様子もなく、タンゴと時計の針のリズムを融合させた動きですぐさま『ブエノスアイレス午前零時』の世界を作ると、冒頭の4Loをしっかり決めた!シーズン後半から導入したとは思えぬ完成度!
続く4Fは身体の開きで上手く着氷し(ドキッとしまたした)したものの、3Lzは踏み切りがずれたようなステップアウト。
さすがの宇野昌磨も緊張があるかと思いましたけど、スピンやステップでは体もよく動き、滑りはいつもに増して攻撃的。
その気持ちの強さが栄光に向かう時計の針を加速させる!
安定のスピンで前半を締め、後半冒頭のイーグル3A+3Tを豪快に決めると、しっかりした振り付けで一端間合いを取り、勝負のジャンプパートは4Tの降りでターンが入ったものの、最も重要な4T+2Tは見事に成功!よっしゃああ!
そこからイーグルで氷を切り裂き、天駆けるような3A+1Lo+3F、最後の3Sも力強く決めた!
この終盤の強さに痺れる!
ジャンプが終わってほっとした笑顔をこぼした宇野くんは、そこから代名詞のクリムキンイーグルで会場を沸かせ、コンビネーションスピンで演技をまとめると、片手を突き上げ、勝利のポーズ。
大事なジャンプで食らいつく執念、最初から最後まで音楽表現を途切れさせなかった集中力、本当にお見事でした。私も観ていてぐいぐい引き込まれました。
暫定1位は「現実的ではない」なんて書きましたけど、宇野昌磨はてっぺんが取れる男です。
FSは214.45(TES・120.03・PCS94.42)でPB、トータルも319.31でパーソナルベスト!
わずかに羽生結弦に届かなかったものの暫定2位!表彰台確保!
思ったより点が伸びましたけど、点数など関係なしに情熱溢れる演技でした。気迫でひとつひとつビッグジャンプを乗り越えてゆくからこその男子フィギュアであり、心技体を揃えて成功に向かう姿にこそ競技としての興奮があるのです。
宇野昌磨はそれを完璧に満たしていました。
そして、”演技の力強さ”という課題も、そんなものあったなあ、という感じで、すでに世界のトップと比べてなんの遜色もありません。
4回転を次々と修得してゆくなかで、演技全体の質と完成度も決しておろそかにしない姿勢、これは王者の資質といっていいでしょう。
宇野昌磨は間違いなく新時代の旗手だ!

そして、残るは最終滑走のハビエル・フェルナンデス(スペイン)。
羽生結弦のスコアは観ていないかもしれませんが、直前の宇野昌磨のスコアと会場の爆発的な盛り上がりを目にした現王者の胸中やいかに。SP1位(109.05)とはいえ優勝は容易ではありません。
そんな状況のなか、百戦錬磨の男は表情ひとつ変えずに『エルビス・プレスリー』になりきると、ロケットがついているような4T!圧倒的な迫力!
これで一気に会場を味方につけたフェルナンデスですが、4S+3Tはしゃがみ込むような着氷、次の3A+2Tはしっかり決めるも、やや不安な立ち上がり。
深いシットスピンの後のコレオシークエンスでは悪の香りを漂わせるイケメンな滑りで会場を魅了し、振り付けの巧みさで休息を取ると、そこからは勝負の後半、伸びあがるような4S!…でしたけど豪快な転倒。
しかし、そこからすっくと立ちあがったフェルナンデスは何食わぬ顔で3Aを決め、降りにイーグルをつけたところに王者のプライドが溢れていました。
そうして続く3Lzは伸びやかに跳んだものの、3連続が2F+1Lo+3Sになると、3Loはステップアウト。
こらえるジャンプや転倒から足にきていたのかもしれませんし、4Sの大きなミスで「優勝はない」という諦めから、集中力が落ちたのかもしれません。
終盤での勢いががっくり落ち、燃え尽きたような演技になってしまったフェルナンデス。会場が欧州ヘルシンキだっただけに悔しさの残る世界選手権になってしまいましたね。
それでも表彰台は確保するかと思いましたけど、出てきたスコアは192.14(98.62・94.52・減点1)、合計301.19。金博洋にわずかに及ばず4位。
この悔しさは五輪で晴らせ!

この結果、優勝は空前絶後の大逆転劇を演じた羽生結弦、2位は嬉しい初表彰台の宇野昌磨で、日本男子のワンツーフィニッシュ!
本当におめでとう、最高の気分です!
それにしても2人が歌う君が代の美しいこと。来年の五輪でもこれが見たいものです。
もちろん、そのワンツーの順番はどうなるかわかりません。宇野昌磨の爆発的な成長力ははっきりと羽生結弦を捉えています。来季の我々は嬉しい悲鳴を上げながら男子シングルを楽しむことになるでしょう。
金博洋が見事なスコアで3位になったように、この2017世界選手権は新4回転時代到来とともに世代交代の気配も感じさせるなか、日本の2人が男子シングルを引っ張っている、これは本当に誇らしいことです。
そんな2人が切り開くフィギュアスケートの未来は想像不可能、限界はまだまだ見えません。
わかっているのは、そこに素晴らしい興奮と歓喜が待っているということだけです。
2人には我々がどれだけ期待したって、それを叶えてしまう力がある。
私も最高の気分のまま来年の冬を待つことにします。
ありがとう、最高の2人!
人気ブログランキングへ
スポンサーサイト
プロフィール

かつしき

Author:かつしき
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード