学芸員さんたちがんばって

山本幸三地方再生大臣から、文化財で稼ぐための「一番のガン」と名指しされ、「一掃しなければならない」とまでいわれた”学芸員”ですが、タイミングがいいのか悪いのか、ここ最近、学芸員に関するなんとも間抜けな話が伝えられていますよね。

そのひとつが4月17日(2017年)に神奈川県が発表した棟方志功のコピー版画。
これは県が1974年に本物を300万円で購入したものが、いつの間にかカラーコピーとすり替えられていて、2014年に鎌倉市の現代美術館に展示していたところ、”観客”からの指摘でそれが発覚したというのです。
そらから指定管理者である〈神奈川芸術文化財団〉が血眼になって探し回ったものの、結局本物は見つからず、今回の発表になったそうです。
報道では”いつ”すり替わったかは伝えられていませんが、本物と見紛うようなカラーコピーみたいなので、何十年も前というわけではないでしょう。
その間にこの偽物は県内外の色んな展覧会に貸し出されていたと思うんですけど、普通はその度に財団の学芸員と借りる側の学芸員が状態をチェックするはずです。
そうでなければ何か問題があった際にどちらの責任かわからなくなってしまいますからね。
それなのに偽物と気付かないということは、学芸員の能力が甚だしく低いか、怠慢からチェックを蔑ろにしたかのどちらかということです。
いうまでもなく、作品は県民の財産ですから、神奈川県のひとは怒っていいと思いますぜ。

そして、もっと怒りたいのは高知県香南市の市民たちでしょう。
2010年に地元の宝である絵師・金蔵作の『鎌倉三代記 三浦別れ』など5点を熊本市現代美術館に貸し出したところ、防虫処理処理のミスで緑色の部分が黒く変色し、それから今年2017年まで熊本市美術文化振興財団が努力の限りの修復作業をしたものの、ほとんど直っていないんです!
香南市といえば毎年夏に行われる〈絵金まつり〉で有名ですが、それを彩る絵金の屏風を台無しにされ、しかも6年以上も戻ってこなかったのですから、地元のひとびとの悲しみと憤りは想像を絶します(祭りの様子は細野不二彦先生の『ギャラリーフェイク』がわかりやすいです)。
しかもその変色の理由がお粗末で、熊本の学芸員が防虫業者に使用してはならない薬品を伝えていなかったのみならず、何が禁止薬物かも知らなかったというのですから、衝撃的な事実といっていいでしょう。
日本画もそうですけど、油絵だって化学反応で変色してしまいますから、細心の注意をするのは学芸員なら当然の知識だと思うんですけどね…。

山本大臣の発言にもあるように、日本はいま、国と地方を挙げて文化財を観光資源にしようとしていますが、その前に学芸員のレベルを上げる必要があるのかもしれません。
もちろん、人手不足がミスの原因かもしれませんから、もっと予算をつけてもいいでしょうし(観光で賄って)、学芸員ひとりひとりの給与や待遇の改善も必要だと思います。そうでなければ優秀な人材は集まりません。

そして問題となっているカラーコピーや変色した屏風ですが、コピーと本物(見つかれば)を並べて展示すればいい教訓になりますし、観客にすればその差を楽しむのも一興というものです。コピー技術に感心するかもしれませんが…。
また、屏風もそのままお祭りで使って、「きちんと管理せねばこうなってしまう」というのを未来を担う子供たちに教えるのも大切だと思います。曰くがついたことで話題にもなるでしょうしね。

何事も、間抜けではなく、抜け目なく。
西洋人が自分たちの文化を上手いこと金に換えるのを見ていると、本当にそう思います。
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