たまたま神話

昨日5月3日は憲法記念日ということで、報道各社が憲法に関する世論調査を発表していましたけど、改憲の是非だけではなく、夫婦別姓や同性婚についての項目など、なかなかに興味深いものでした。
そんななか、私が(毎年)首を傾げてしまうのは、「日本が戦後、海外で武力を行使しなかったのは憲法9条があったからだと思うか?」という項目と、それが75%(東京新聞)の支持を集めていたことです。
そういうひとたちというのは、「9条がなければ海外に派兵していた可能性があった」と考えているわけですよね?
しかし、具体的にどういう戦争に、どういうタイミングで、と聞かれて、はっきり答えられるひとは少ないと思います。

まず、第2次世界大戦後の世界というのは国と国とが真向ぶつかり合うような戦争はほぼ見られなくなります。
いわゆる米ソの冷戦時代であり、世界はイデオロギーで対立し、どちらの陣営に付くかという代理戦争の様相を呈し、陣営間の引っ張り合いが戦争を生んだわけです。ベトナム戦争がわかりやすいですよね。
そんななかで、日本が戦後、”普通の国”として軍を再建していたとしても、アメリカ側として参戦した可能性があるのはベトナム戦争くらいではないでしょうか(朝鮮戦争は敗戦から間がなさすぎ)。
でも、それだって、当時のアメリカは友好国や同盟国を無理やり手伝わせたわけではなかったので、日本国民がどれだけ”反共産主義”に共鳴するか、参戦にどんな”利益”があるかが重要な判断材料になったはずです。

そして、冷戦崩壊後、普通の国・日本が海外派兵する機会があったとすれば、湾岸戦争やアフガン戦争、イラク戦争が考えられます。
しかし、地政学的にいうと中東はだいぶ距離がありますし、歴史的・政治的な繋がりも薄いので、その可能性はかなり低かったことでしょう。
実際これらの戦争はアメリカとNATOが中心になって行ったものです。
9条がなかったとしても、日本の役割は後方支援や戦後の治安維持活動になっていたと思います。

戦後というのは、陣営同士の対立の時代ですから、独自に戦争を起こす国などはめったになく、陣営の決定した戦争に参加するかどうかを、そのときどきで各国が判断するということになったわけです。
戦争の大義や地政学的要因、ボスとの関係(強化)などが、その判断理由といっていいっでしょう。
ですから、有識者やメディアがよくいう、「9条がなければ戦争に巻き込まれる」も、現実を見ればそうではありません。
たとえば、アメリカとの関係において、日本と似たような状況にある韓国も、アメリカが起こした戦争の全てに派兵しているわけではありませんからね(※ベトナム戦争などは自ら積極的に派兵。巻き込まれるのではなく喜々として飛び込んで行きました)。

しかし、どんな国だって、”派兵しなければいけない戦争”というのがあると思うんです。
無法者が起こす侵略戦争、収集がつかないほどに激化した内戦、テロリスト集団の武装蜂起や政権の略奪。
それらが自国の近くで起きたり、同盟国や友好国が巻き込まれたりしているのに軍隊を派遣しないというのならば、その国は間違いなく世界から見捨てられます。

”海外で武力を行使しなかったこと”を誇るのは、”戦争を未然に防ぐ努力”をした場合のみです。
憲法が戦争を防ぐわけではありません。
2017年のいま、朝鮮半島情勢が緊迫するなかで、日本国民ひとりひとりが九条神話を見つめ直す必要があります。
戦後、我々日本が海外派兵しなかったのは”たまたま”でしかありません。
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