大統領選挙とフランス人の迷い

イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領誕生など、予想不可能な国際情勢のなか、”グローバリスト×ナショナリスト”といって注目されていた2017年フランス大統領選挙は(現地5月7日)、グローバリストであるエマニュエル・マクロン氏が66:34という大差で勝利しました。
敗れたマリーヌ・ルペン氏がいっていたように「フランス国民は変わらない政治を選んだ」ということなのでしょう。

ちなみに市場調査会社Ipsosによると、無効票と白票は全体の25.3%という過去最大級の割合であり、世論調査でもマクロン氏に投票した内の4割が「彼の政策に賛同したわけではない。ルペン氏に反対するためだった」と答えていたことからも、フランス国民が”変わらない政治”に諦めつつも、ルペン氏を選ぶ勇気がなかったことがよくわかります。投票率も、いつもは80%ほどもあるのに、今回は注目されるなかでも74%しかありませんでしたしね。
ルペン氏を選ぶということは、すなわちフランスのEU離脱であり、イギリスに続いてフランスが欠けてしまえばEU崩壊に繋がることは濃厚だったわけですから、フランス人も慎重になるというものです。

そして、当選したマクロン氏ですが、投資銀行で優秀な結果を出し、その手腕を買ったオランド大統領にスタッフとして雇われた後、経済・産業・デジタル大臣に抜擢され、今回39歳という”最年少記録”で大統領に選ばれたのですから、夢のような出世街道です。
しかし、その閣僚時代の政策は、国内では歳出削減と公務員削減という緊縮財政(財政健全化)、経済は規制緩和とグローバリズム促進というのですから、一般国民には厳しすぎて夢がありません。
緊縮と競争による”疲れ”が今回の投票でもよくわかるというものです。

グローバリストというのは地球主義者とも訳されますが、それは理念の上での言葉であり、マクロン氏などは新自由主義者と呼んだ方が正しいのかもしれません。
国境を超えて、”ひと・もの・金・情報”が自由に行き交い、それを上手く利用したものが勝者となる世界。
競争が大好きで、誰かを打ち負かすのが大好きなひとたちによる世界。
強者と弱者がはっきりとする世界。
マクロン氏はそういう世界のリーダーに相応しい人物なのでしょう。
そして、それがわかっているからこそ、多くのフランス人がマクロン氏を心から支持することができなかった。
そんななか、マクロン氏が自分の推し進めるのか、それとも国民との融和を選ぶのか、それはフランスの今後だけではなく、EUの今後を占う舵取りとなるに違いありません。

自由・平等・友愛の旗を掲げるフランスは、その理念を守ってこそのフランス人であり、人種や宗教などは二の次というお国柄です。
また、政治的には自由主義・共和主義・多文化主義の国ともいわれています。
これはつまり、”個人の権利”を何よりも大切にする国ということです。
”個人の集まりが国であり、国は個人を守るためにある”という考えといってもいいでしょう。
こうやって言葉にすればまるで理想郷のようです。
しかし、そんな国の現実は、高い失業率と地域格差、イスラム過激派によるテロです。
はたして国は国民を守っているのでしょうか?
フランス主義はEUの理念やグローバリズムにも繋がっているだけに、フランスの現実は理想の限界を感じさせます。

今回の選挙でマクロン氏が更新するまでの最年少記録はナポレオン3世(ルイ・ナポレオン)の40歳でした。
そのナポレオン3世でフランスの第2帝政時代が終わったことを鑑みれば、マクロン氏も何かを終わらせる大統領になるかもしれませんね。
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