民放も報じて欲しい公取委の調査開始

「芸能人の事務所からの独立や移籍に関するトラブルについて、公正取引委員会が調査を開始する」

昨日7月7日(2017年)、NHKがそう報じたとき、私は正直いってちょっと戸惑いました。
まず、日本の公正取引委員会はめったに動くことがなく、たまーに談合事件で名前が出るくらいですし、過去に芸能分野に関する摘発はなかったはずです。
確かにここ数年は能年玲奈さんやSMAPの騒動で、芸能人の移籍・独立問題は国民的関心事になっていましたけど、まさか公取委が乗り出してくるとは思ってもいませんでした。

今回、公取委は「独占禁止法に抵触する疑い」で調査を開始するようですが、前の事務所が業界に圧力をかけ、移籍・独立した芸能人から仕事を奪うのは”不当な取引制限”ということができるでしょう。
これを許していれば競争原理は働かなくなり、かえって業界が停滞するわけですから、公取委が是正を求めるのは当然です。

しかし、NHKの取材に応えた芸能事務所関係者(匿名)は、「突然、事務所を辞められれば、それまでの投資が無駄になってしまう」という事務所側の意見を代弁し、過去には「見せしめ」のために独立した芸能人に圧力をかけたことも認めていました。
その”投資”の内容というのは、「家賃や交通費、ボイストレーニングや演技のレッスンなど」とのことですけど、「数千万円かかるケースもある」というのですから驚きです。
いったい何年間育成しているんでしょうね?
私にはその投資の大部分が”売り込みのための実弾”としか思えません。
欧米のようなオーディションが機能していない日本の芸能界において、仕事を取るためには、芸能人の能力や個性よりも、事務所の”がんばり”がものをいうのではないでしょうか。
だから、事務所の方が芸能人よりも力を持っているのだと思います。

対して欧米では芸能人がエージェント(事務所・代理人)を雇うので芸能人の方が力を持つことになります。
芸能人はエージェントと話し合って仕事の方向性を決め、エージェントはそれに則した仕事(オーディション)を探してきたり、契約内容やギャラの交渉したりして、そこから何割かの手数料を受け取る仕組みというわけです。
当然ですけど、欧米では”家賃やレッスンの費用”は本人が持つので、その意味での投資はありません。
事務所(エージェンシー)が行う投資というのは、例えば歌手を売り出すためのプロモーションがそうなるでしょう(レコード会社と一緒に)。
そこには当然、歌手との契約があって、一定期間に何枚のアルバムを出すとか、コンサートをいくつやるとかが決まっていて、事務所はその売り上げから投資を回収するわけです。
そこにはヒットしないというリスクもあれば、大ヒットのチャンスもあるから”投資”なんですよね。
もちろん、歌手が勝手に契約を放棄すれば違約金が発生するのはいうまもでもありません。

欧米のエンターテイメント産業というのはとにかく競争です。
逆に日本の芸能界はとにかく談合です。
同一資本の芸能事務所と映画会社があったり、事務所とテレビ局が株を持ち合っていたりするので、事務所が”制作”に関わっているケースも珍しくありません。
アイドル事務所などでは”育成”をやっているところも多いので、本業であるはずの代理人業と併せて、まさに独占状態です。
ちなみにアメリカでは半世紀以上前にこれを禁止しています。
ひとつの事務所の力が大きくなりすぎることは競争の停滞を生み、ひいては業界の衰退に繋がるという考え方のためです。
対して、日本では半世紀以上前の〈五社協定〉の理念が連綿と受け継がれ、事務所による支配が変わりません。

どちらが正しかったのか、もう答えは出ていますよね。
今回の公取委の動きは私も大歓迎ですけど、我々国民の側も考え方を変える時期にきていると思います。
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