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飲酒と文化財と教育委員会

「品格のある方の入店をお断りします。当店では品格のない商品を取り扱っております。」

これは長野県・松本駅前のとある居酒屋が店の入り口に掲げた張り紙の一文ですが、もちろんこれはいまちょっとした話題になっている”松本城での飲酒禁止”に対する皮肉です。
この居酒屋さんは2014年から松本城公園で開催されている〈ビアフェス信州クラフトビールフェスティバルin松本〉に参加しているそうですが、城を管理する松本市教育委員会が「飲酒は松本城の品格に相応しくない」との指針を出したため、今年9月のイベントが中止になってしまったわけです。
しかも、市教育委員会はビールフェス実行委員会と事前に話し合いを持つわけでもなく、いきなり飲酒を否定するのですから、まさに騙し討ちといっていいでしょう。
いくら松本城が戦国時代の様式を残しているとはいえ、現代では乱暴すぎますぜ。

ちなみに、教育委員会が城の決まりに口を出すのはおかしいようですが、お城は文化財ですので、文化財保護法で規定されているように、その管理権限は市町村の教育委員会が有することになっています。
「文化財は国民共通の貴重な財産であり、一旦滅失・毀損すれば現状回復が不可能であるといった特性を踏まえて、開発行為との均衡を図る必要があることから、行政の中立性が強く要請される」との理由で教育委員会に委ねているそうです。
しかし、昨今ではその文化財を使って地域を活性化させることが盛んですから、”保護”だけではなく”利用”を考えねばならず、教育委員会だけではちょっと難しくなっているのかもしれませんね。

その文化財の文化でいえば、日本の文化のひとつであるお花見も毎年春に松本城で行われていて、そこでも酒類の販売を行っているんですけど、それも中止になっちゃうんでしょうか?
急にお酒がダメとなればイベントの形態自体が変わってしまうでしょうし、1999年から続くお花見イベントだけに、戸惑う市民や業者も多いと思います。
また、松本城には〈月見櫓〉という他の城にはあまりない特別な櫓があるんですけど、そこで江戸時代を彷彿とさせる月見の宴を開こう、なんて提案があったとしても、それも出来ないことになってしまいます。
とても品のいい催しになると思うのですけどね…。

私は松本城で飲酒トラブルがあったという話を聞いたことがありませんし、調べてみてもわかりませんでした。
ビールフェスで「飲酒後に本丸庭園や天守閣へは行かないように」と促しているせいかもしれません。
そのように市民が自主的に品よく楽しんでいるのに、「品格がない」と頭ごなしにいわれれば、居酒屋の亭主のようにヘソを曲げるというものです。
そうして、この問題にはかなりの数の批判が集まったようで、昨日8月1日にビールフェス実行員会と面会した市教育委員会は、「調整不足があった」といって、来年以降の開催を認める方向のようです。
ただ、”飲酒禁止”という指針は変更しないみたいです。

教育者と呼ばれるひとたちというのは、口では「話し合いが大切」といっても、やっていることは独善的なものです。
そして”謝る”ことも絶対にしません。
私は文化財の保護や利用というのは”議会”で決めるべきだと思います。
教育委員というのは「地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する」(地方行政教育法)ことになっているように、有権者が選んだわけではないのです。
しかも、教育委員会での議論というのは公開されるわけではないので、”誰が提案して、どうやって決まったか”はまったくわかりません。
こういう組織が”無責任”になってしまうのは必然といっていいでしょう。

今回の一件は、お城での飲酒がいいのか悪いのかはもちろん、教育委員会がその是非を決めていいのかどうかを考えるべきですし、もっといえば教育委員会のあり方そのものを見直す機会にしたっていいはずです。
日本の教育委員会制度というのは、戦後にアメリカを真似て出来たものですが(アメリカからのお仕着せ)、本家とは大きな違いがあります。
日本では首長が委員を任命するのに対し、アメリカでは市民が直接選挙で委員を選ぶんです。
しかもアメリカの教育委員会には公聴会や審議会という制度があるので、委員は常に市民の目を気にせねばなりません。
そういう委員会で決定した指針ならば市民も従うのではないでしょうか。

ただ、市民に監視された委員は居酒屋で酔っぱらうこともできなくなるかもしれませんがね…。
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