力士も自分たちを自分たちで守らねば

今日3日目にようやく御嶽海に白星がついて信州中が安堵した平成29年9月場所ですが、今場所は初日から3横綱と平幕2力士が休場するという寂しい状況。
しかし、これは他の力士にとっては番付を上げるチャンスであり、大相撲全体にとっても世代交代のきっかけになるかもしれませんし、ニュースターはこういうときに誕生するものです。
…ところが、その候補の一番手たる大関・髙安が2日目の土俵で足を怪我して今日から休場、小兵で人気の宇良も同じく休場となってしまって、番付表はもうスカスカです。取組編成会議も頭が痛いでしょうね。
また、休場はしていなくても、日馬富士や照ノ富士、琴奨菊や栃煌山など慢性的に怪我を抱えている力士も多く、サポーターやテーピングをしていない力士の方が少ないくらいなのですから、明日また誰かいなくってもおかしくはありません。

今場所は顕著ですが、ここ数年の大相撲は「怪我が多い」という声がメディアでもファンの間でもよく聞かれます。
私も統計を取ったわけではありませんが、そういう印象です。
若手有望株が怪我で番付をエレベーターのようにしたり、実力派のベテランが怪我で番付を落としながら、十両で粘り強く相撲を取り続けているのを見ているとどうしてもそう思いますよね。

その原因として、相撲解説者や記者などが指摘するのが「力士の大型化」です。
身体が大きいと自分にも対戦相手にも負担になる、上手く相手の攻めをかわせない、というわけです。
確かに一理あります。
幕内力士の平均体重でいうと、10年前は約150キロだったのが、いまは約160キロになっているのでその影響は否定できないでしょう(平均身長は約185センチで変わらず)。

ただ、ここで興味深いのは、平均体重がぐっと増え、150キロ代後半に突入していったのが、”平成23年”だということです。
これは、忘れもしない〈八百長問題〉が発覚した年です。”3月場所が中止”になるという、大相撲始まって以来の恥ずべき年でした。
そして、そこからの大相撲は”ガチンコ”(真剣勝負)へとシフトしていったわけですが、力士の大型化というのはそのガチンコに対応したものと考えるのが妥当です。
”負けないため”に身体を大きくした結果といっていいでしょう。

私は怪我が多発する原因はむしろ、その”負けないため”だと考えています。
土俵際で粘る、投げを打たれても耐える、そうしていれば身体に負担がかかるのは当然です。
身体のために力を抜いてすんなり負ければ、「八百長だ!」といわれかねないわけですから、力士だって必死です。
八百長問題前は15日間をトータルで考えていたのが、その日その日で全力を尽くさねばならない力士たちの負担は想像を絶するものがあります。

ガチンコ時代になってからは番付を守るのが本当に大変です。
一番わかりやすいのは大関陣です。
把瑠都(25年9月)と琴欧洲(平成26年3月)は休場を繰り返した後に引退してしまいましたし、琴奨菊は大関陥落、豪栄道と照ノ富士も角番が多くて毎場所ヒヤヒヤです。
ここで一昔前を思い出してください。
魁皇や千代大海が君臨していた時代です。
あの2人は大関在位記録の1、2位ですし、時代が重なっていた琴欧州が4位、琴奨菊が10位だということを考えれば、八百長問題の前と後では大相撲の質そのものが劇的に変化したことがよくわかります。

力士の怪我を防ぎたいのだったらそこから目を背けてはなりません。
ガチンコで年6場所はきつすぎるんです。
相撲協会も「土俵の充実」いうのだったら年4場所に戻すべきです。
しかも、相撲協会は八百長問題からの人気回復のためか、ここ4年で巡業数を倍増させています。
力士は休む暇もありません。
実は一昨年、白鵬が会長を勤める〈力士会〉(関取の親睦団体)から巡業の改善要請がなされましたが、残念ながら今年も巡業も過密さは変わりません。
相撲協会は力士の声に耳を傾けることはしないんです。

世界にも日本にもプロスポーツ組織はたくさんありますけど、日本相撲協会ほどブラックな組織はないといっていいでしょう。
なにしろ力士(選手)の労働組合を認めていないんです。
力士は常に相撲協会のいいなりで、待遇も労働環境も改善されることがなく、使い捨てです。
なにかあっても誰も力士を守ってはくれません。立場は常に危ういのです。
わかりやすいところでいうと、八百長問題のときに協会から解雇判定を受けた蒼国来は裁判で解雇無効を勝ち取りましたけど、彼は個人で戦いました。
また少し前の大麻問題のときも、露鵬と白露山は刑法犯でなかったにも関わらず、「外国で吸引した」というだけで解雇されてしまったのです。
力士の契約がどれだけあやふやで、どれだけ相撲協会が強い権力を持っているかよくわかる事案です。
こういうとき、普通のプロスポーツ組織ならば”組合”が選手を助けるものです。簡単に解雇などされません。

力士の怪我を防ぐためには、まず組合の設立です。
自分たちの身は自分たちで守るんです。
残念ながら、大相撲ではメディアも解説者も記者も力士の味方ではありません。
彼らは相撲協会の代弁者にすぎないんです。
そして、悲しいかな、ファンも力士の味方ではありません。
これまでファンが相撲協会の決定に反対運動をしたことがあるでしょうか?
私は〈カムバック蒼国来! 署名運動〉くらいしか知りません。
ようするにファンも無意識のうちに相撲協会の決定を絶対視しているんです。

力士を守るためにはファンの意識改革も必要です。
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