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2017GPS中国大会女子シングル(後) 五輪争いだけではなく

(続きです。)
昨季16-17は四大陸女王に輝き、世界選手権でも日本人最上位の5位に食い込んだ三原舞依は新エースの地位を確立したいシーズン。
しかもGPS初戦となるこの中国杯はライバルの樋口新葉や新鋭の本田真凛との直接対決ということもあって負けられない一戦です。
ところがそんな大事な試合、SPの6分間練習でトゥクタミシェワと衝突するアクシデント。
その影響からか、SPではジャンプの軸が乱れたり、ステップの途中から勢いがなくなるなど、三原さんにしては珍しく不安定。
後に右太ももを負傷していた報道されていました。
SPは3F+3Tに回転不足(UR)を取られ、ステップもレベル3に留まったことで66.90(TES34.66・PCS32.24)の7位(※本田さんと同スコアながらTESが低かったので順位は下に)。
ただ、演技全体でいうと動きと滑りが洗練され、スケーティングスキルも他の出場選手と比べて明らかに上でしたし、昨季からのレベルアップは確かです。
しなやかな動きと緩急自在なスケート、そしてシニアらしいアダルトな魅力もを見せてくれたので今後に期待が持てる『リベルタンゴ』でしたね。
巻き返したいFSでは冒頭の3Lz+3Tをしっかり決め、滑りの伸びるコレオで『ガブリエルのオーボエ』の世界をすっと作り出すいいスタートを切り、負傷の影響はないかに思われたものの2Aで詰まってちょっと不穏な気配。スピンもいつもの切れがないかも。
そうして不安が高まるなかでの後半でしたけど、綺麗な3Fと2A+3T、スパイラルを挟んでの3Lo、音楽に乗っての3Lz+2T+2Loもよし、止めは両手タノでの鮮やかな3S!怒涛の連続成功!
そのいい流れのまま入ったステップシークエンスでも身体を柔らかく大きく使えていてとても優雅(終盤やや勢いが落ちたか)、舞い納めのコンビネーションスピンも安定していて、うっとりする内容でした。
このプログラムは三原さんの素直で伸びやかなスケート技術を際立たせてくれますね。いい選曲だと思います。
FSは139.17(74.45・64.72)、トータル206.07。
第1グループでの演技だったせいかPCSが思ったより伸びなかったのは残念ですけど、コンディションに不安を抱えながらここまでスコアを伸ばしたのは本当に立派。
表現面での進化といい、技術的にも精神的にも昨季からの成長を見せてくれました。
ひとつひとつの動きの美しさと高いスケート技術は世界の若手でもナンバー1でしょうね。

初戦のロシア杯で3位に入った樋口新葉は、この中国杯で2位以上ならばGPF出場の可能性がぐっと高まりますし、それは同時に三原さんと本田さんを蹴落とすことにもなりますから(優勝候補筆頭はザギトワ)、是が非でもいい演技をしたい大会です。
SPでは迫力のある出だしから大きな2A、スピンも気合が入っていて、『ジプシーダンス』の雰囲気はばっちり。
後半は得意の3Lz+3Tしっかり決めたものの、3Fはエラー気味。
ステップシークエンスでは腕を伸びやかに激しく使うと同時に印象的なポーズも織り交ぜてキレのある演技。
全体的にも疾走感がありましたね。
SPは70.53(37.68・32.85)で2位(フリップはEではなく!で助かりました)。
こうして三原さんと本田さんに3.63差をつけて”日本選手首位”に立った樋口さん。五輪出場権争いのためにはこの順位をFSで”守る”必要がありましたが、演技の方は”攻め”の意識。
大きな2Aで『007スカイフォール』の幕が下りると、切れのある身のこなしを挟んでの3Lz+3Tはよし、シンプルながら勢いのあるスピン、パワフルなコレオではボンドガールになって妖艶に微笑んだかと思うとワカボンドに変わってバッキュン!
そうして余裕の3Sで前半を締めると、自分を落ち着かせるようにスケートを加速させ、後半冒頭の3Lz+3Tを成功、パワーのある3Lo、2A+2T+2Loも鮮やか、ウォーレイを挟んでの3FはエッジもSPのときより大丈夫そう。
あまりエッジエラーを気にしなくなりましたね。その方が逆に取られないってものです。
終盤はやや疲れが見えて、スピンとステップに勢いがなくなっていましたけど、スパイラルから繋いだ最後のヘアカッターの気迫には勝負への執念を感じさせましたね。
こうしてノーミスの演技に樋口さんは豪快なガッツポーズ!
いい演技でした!ブラヴォ!
FSは141.99(74.10・67.89)、合計212.52はで日本人首位確定!
この好スコアにキスクラでもガッツポーズをしそうになった樋口さんですが途中で自重。「品がない」とかいって振付師に注意されているのでしょうか。私はいいと思いますけどね、樋口さんらしくて。
それにしても今季の樋口さんは素晴らしいすねえ。昨季後半に得た自信からか演技が安定していますし、今季は表現面でもかなりの努力をしているのがわかります。
少し悪口のようになるかもしれませんが、樋口さんはすらっとした体型でもないですし、手足も短いですし、柔軟性もありません。
これはフィギュアスケートの表現面・芸術面においてはかなり不利なことです。
それを昨季は”表情”や”雰囲気”でごまかそうとしているように見えましたけど、今季は腕の使い方の工夫や身体全体の動きとスケーティングのキレ、それに印象的なポーズという客観的かつ具体的な演技で魅せようとしているのは本当に好感が持てます。
自分に足りないところと真摯に向き合っている姿勢がひしひしと伝わってきます。
これも2年前の世界ジュニアで本田さんに苦杯をなめさせられ、シニアデビューの昨季はジュニア時代に歯牙にもかけていなかった三原さんの後塵を拝するという屈辱が、樋口さんを成長させたのでしょう。
いまの謙虚さとひた向きさがあれば五輪出場も見えてくるというものです。
”樋口新葉のフィギュアスケート”も確立しつつありますし、今季は大いに期待しています!

ここ数年毎年のようにロシアから送り込まれてくる”天才少女”ですが、確かに素晴らしい選手は多かったものの、私は大した脅威を感じたことがありませんでした。
それは他の選手と隔絶したものを感じさせる選手がいなかったからです。
高いレベルでの団栗の背比べに過ぎなかったといっていいでしょう。
しかし、今季デビューのアリーナ・ザギトワは違う。
彼女は本当の天才だと思いますし、誰からも認められる女王として一時代を築く予感がしています。
SPでのザギトワは代名詞である3Lz+3Loの転倒(UR気味ながら取られず)で6944(39.01・31.43・減点1)の4位と出遅れたものの、繋ぎが満載のプログラムと見事な両手タノ3Fなど大器の片鱗は存分に見せていました。
逆転を狙うFSではガチャガチャよく動くコレオ、独創的な入り方のFキャメルスピン、ステップではバレエ『ドンキ・ホーテ』の動きをよく模し(衣装もバッチリ)、ロシア芸術の伝統がその体に流れていることを証明すると、ジャンプを固めた後半は幅のあるクリーンな3Lz+3Lo、ブラケットからの2A+3T、タノ3F+2T+2Loと、コンビネーションを連続成功!すげえ!
形のいいビールマンの後のタノ3Lzはやや詰まり、繋ぎのバレエジャンプも飛び切れず、スタミナ切れかと思われたものの、勢いのある3S、曲が盛り上がりに負けない両手タノ3Fはお見事!
最後はロシア女子っぽいちょこんとした2Aでジャンプをほぼノーミスで終わらせ、テクニカルで美しいコンビネーションスピンでフィニッシュ。
繋ぎのないところがないという濃厚な演技内容には現在の女子フィギュアの極限を見た思いがします。
FSは144.44(7609,.68.35)、合計213.88でGPS初出場初優勝!おめでとう!
ザギトワは美しい姿形と柔軟性、後半に難度の高いジャンプを固めて成功させるというテクニックの高さとフィジカルの強さ、それに加えて曲調を理解し、プログラムの流れも作り出せるセンスも持ち合わせているのですから、まさに理想的なフィギュアスケーターということが出来るでしょう。
しかも3Lz+3Loは歴代の女子選手でも数えるほどしか成功させたことがないジャンプなのに、それを高確率で成功させることができるのですから、まさに”特別な選手”です。
ただ、いまのところは動きやスケートが荒削りで、まだまだジュニアっぽさが残っているのも確かです。
女王メドベージェワを脅かすポテンシャルのある選手ですが、おそらく今季は勝てないでしょう。
しかし、体型変化を無難に乗り越えれば、来季以降はとてつもない存在になるはずです。
ザギトワは、メドベージェワのような”圧倒的安定感”とかいうわけのわからないものではなく、”リアリティのある強さ”を持っています。
久しぶりにワクワクする選手が出てきましたよね、私も興奮しています!

…っと、忘れてはいけない最終結果は、優勝ザギトワ、2位樋口さん、3位ラジオノワの表彰台。
三原さんは0.75及ばない悔しい4位、本田さんは大健闘の5位。
ロシア女子の強さが際立つ大会でしたけど、日本女子もそこに怯むことなく戦って、日本女子らしい洗練されたスケートを見せていたと思います。
五輪出場争いも大切ですけど、打倒ロシアも忘れてはなりません。
世界一を取り戻せ、日本女子!
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