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2017全日本フィギュア男子シングル 素晴らしき敗者たち

今年2017年の全日本フィギュア男子シングルは羽生結弦が欠場したことで宇野昌磨の優勝が確実といった情勢。
ただ、五輪代表選考の方は混沌としていて、実績のある羽生結弦と宇野昌磨は内定といっていいものの、残りの1枠が誰になるかはまったくわかりません。
世界ランクやシーズンベストといった選考項目では田中刑事くんがリードはしているものの、決め手になるほどの成績を残してきたわけではないので、無良崇人くんや村上大介くんが全日本で逆転する可能性も十分にあるといっていいでしょう。むしろ全日本一発勝負を思った方が正しいのかもしれません。

そうして行われた12月22日の男子SPは、1位宇野くん(96.83)、2位刑事くん(91.34)、3位無良くん(85.53)、4位村上くん(80.99)という並びになり、3人目争いでは刑事くんがアドバンテージを掴みます。
無良くんも村上くんも今季一番の内容でしたけど、無良くんは4Tお手つき、村上くんはセカンド2Loというミスが残念でした。歯車がちょっと狂っただけのことですけど僅差の状況では大きいミスになってしまいます。
ただ、現在の男子シングルはFSに複数の4回転が組み込まれ、これが成功すればハイスコアになりますけど、ミスをするとあっという間にロースコアです。SP10点差以上からの大逆転も珍しくはないんです。昨季の世界選手権の羽生結弦がそうでした。
無良くんも村上くんもSPの点差を忘れ、とにかくノーミスのFSをやることが大切です。

それぞれが人生をかけることとなった24日の男子FSは、テレビを通しても言葉に出来ないような緊張感が伝わってきました。
そのなかでまず登場した村上くんは冒頭に4Sを決めるも、次が悔しい1Sになって早くも大勢が決するも、気持ち切らさず3A+2T、独創的な足運びから入るステップシークエンス。
しかし、後半も3Aオーバーターン、3Lz+1+2S(3S予定)など取りこぼし、演技を終えた村上くんは、ちょっと無理かなあという表情。
FSは149.96(TES72.58・PCS80.99)、合計230.95。
この時点で上に3人がいて万事休す。
今季は肺炎にかかるなど不運でしたね…。

五輪挑戦もおそらく今回が最後になるであろう無良くんは、コーチである父に「俺も応援に回る!」と背中を押されてリンクインすると、4Tをなんとかこらえて着氷し、3Lz+3Tと3Loはいい流れ。
ただ、意外なことに4Tは1本のみ。SPで刑事くんに6点近い差をつけられていることに加え、刑事くんはFSで4回転3本構成だというのにジャンプの難度を下げるという判断は私には難しすぎます。まとめにいって相手のミスを待つという戦略なのでしょうか…。
しかし、無良くんはその戦略に迷いがないようで、気持ちのこもったステップシークエンスではスケートが氷をよく捉え、『オペラ座の怪人』の雰囲気がどんどん盛り上がってゆきます。
そして全てがかかる勝負の後半、3A+2T成功!3Aも大きい!得意のジャンプが火を噴いた!
そこからも3F+1Lo+2S、3Sをしっかり決め、最後の3Lzはぎりぎりの着氷でステップアウトしたものの、終盤のコレオでもまったく気持ちを切らさず、演技スピードも落とさないまま、競技生活のすべてを絞り尽くすようなコンビネーションスピンでフィニッシュ。
まさに”魂がこもった演技”といっていいでしょう。今季はずっと酷いFSばかりだったので、ここまで仕上げてくることに驚きました。よく頑張りましたね。ブラヴォ!
キスクラでの無良くんは目に涙を浮かべ、ほっとしたような、やりつくしたような表情。
楽しみなスコアは、FS172.88(88.80・84.08)、合計258.41という高得点!
4回転ジャンプを削った判断は成功といっていいかもしれません。
すぐあとに滑る刑事くんに十分なプレッシャーを与えたことでしょう。

そうして刑事くんはやや硬い表情でのスタート。
ちょっと嫌な感じ…でしたけど、冒頭の4Sを軽々と成功!今日の刑事くんはなにかが違う!…はずでしたけど次の4Sがステップアウトでコンボならず。
それでもそのミスを引きずらずに3Aを成功させたのは立派。
ブラスバンドが高鳴ってのステップでは滑らかで品がある刑事くんらしい演技。緊張しているようで落ち着いているという不思議な雰囲気。
そして次が最も大事なジャンプ、勝負がかかる後半冒頭は4T!これを見事に決めた!よっしゃあ!
ところが3Aでステップアウトしてコンボならず、3F+3Tも軽くステップアウト。
このままずるずるいってはいけない。
そういう思いを根性に変えてターンからの3Lo成功、3Lzも決めた!(出来ればコンボをつけて欲しかった。)
最後も全身全霊をこめたコンビネーションを回り切り、ほっとしたような表情の刑事くん。
FSは175.81(87.67・91.34)、合計267.15!軍配は刑事くんに上がりました。五輪も決まりでしょうね。
難度の高い構成に挑んだ刑事くんが、まとめにいった無良くんに勝ったというのもスポーツとしては正しい結末だったかもしれません。

最終滑走の宇野昌磨は、しっかり大会を締めくくり、五輪金メダル有力候補であることを国内外に見せつけて欲しいところでしたけど、4Fで転倒、2A+4Tに挑んでの+2T、バランスを崩した3A1Lo+1Fなど後半が大いに乱れてしまいました。
演技が進むにつれて失速していったのも残念でしたね。
FSは186.47(94.21・93.26)、合計283.30。
優勝という責任は果たしたものの、調子がなかなか上がってこないのは本当に気がかりです。
五輪では羽生結弦とのワンツーフィニッシュを頼みますぜ。

というわけで、男子シングルはシーズン中そのままの結果になりましたけど、
無良くんと村上くんの両ベテランが熱のこもった演技を見せてくれたおかげで、質の高い大会になりました。
こういう積み重ねが日本全体のレベルを上げてゆくのだと思います。
素晴らしき敗者たちこそが我々の財産なのです。
選手のみなさん、おつかれさまでした!ありがとう!
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